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35年前、日本中が度肝を抜いた“異色のヴィジュアルロック” 和の融合を成功させた“伝説のアニメ主題歌”

  • 2025.9.5

「35年前の夏、どんな音楽が耳に残っていた?」

1990年。街はまだバブルの光を引きずりながらも、その眩さの裏には次第に翳りが忍び寄っていた。テレビからは新しい時代の息吹が生まれ、音楽と視聴者の心が重なり合う瞬間が生まれていた。

そんな年の夏、子どもたちが中になったアニメのエンディングで流れたのが、歌舞伎メイクのロックバンドが放った“異色の一曲”だった。

カブキロックス『虹の都』(作詞:有村一番・作曲:青木秀麻呂)——1990年8月21日発売

彼らにとって2枚目のシングルであり、フジテレビ系アニメ『ドラゴンクエスト』の2代目エンディングテーマに起用されたことで、多くの視聴者の記憶に深く刻まれた。

和とロックの融合が放った衝撃

カブキロックスの存在を語るとき、まず思い浮かぶのはその強烈なビジュアルだろう。歌舞伎を彷彿とする白塗りの顔に隈取を施した姿は異彩を放っていた。デビュー曲『お江戸 -O・EDO-』で見せた和風ロックの衝撃に続き、『虹の都』では一歩進んだファンタジー性を打ち出した。

当時の日本のロックシーンは、バンドブームの盛り上がりの中で洋楽的要素を取り入れる方向へと進んでいた。そんな中で、あえて日本古来の演劇文化をロックに持ち込むというアプローチは、単なる奇抜さを超えて“文化の融合”そのものだった。

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2024年、結成35周年ライブを開催したカブキロックス (C)SANKEI

“勇者の物語”を締めくくった短い輝き

アニメ『ドラゴンクエスト』のエンディングテーマとして、徳永英明『夢を信じて』(作詞:篠原仁志・作曲:徳永英明)からバトンを受け継いだカブキロックス。勇者たちの旅が続き、戦いと希望が交錯する物語の終幕に、この曲が流れると、幻想的なメロディが映像と重なり、視聴者を包み込んだ。

ただし、その登場期間は決して長くはなかった。バトンを受け継いで間もなく第一部が終了し、翌年放送された第二部では別の楽曲がエンディングを担ったため、『虹の都』が番組を締めくくったのはわずかな時間にすぎない。

それでも、冒険の余韻を届ける大切な場面に、この異色のロックバンドのナンバーが響いたことは、多くの子どもたちに強烈な印象を残した。今もなお「エンディングでカブキロックスの曲が流れた衝撃」を語るファンが少なくないのは、この楽曲が持つ確かな力と余韻があったからにほかならない。

“一発ネタ”では終わらなかった理由

前作『お江戸 -O・EDO-』のヒットによって一躍注目された彼らだが、続く『虹の都』は単なる続編的な路線ではなく、より深い音楽性を見せた。アニメ主題歌という枠を超えて、幻想的なメロディは、聴き手を“異世界”へと連れ出すような力を持っていた

一見すれば奇抜な出で立ちが注目を集める存在に思えるが、そこに確かなロックの基盤があったからこそ、彼らは一過性の企画ものではなく、時代を語るうえで外せないバンドのひとつとなったのだ。

今も心に残る幻想的な余韻

『虹の都』が響くとき、視聴者はテレビ画面の冒険と日常の狭間に立たされる。勇者たちの戦いが続く緊張感の中で、この曲がそっと日常へと引き戻してくれる。だが同時に、その幻想的な響きは現実と物語の境界を曖昧にし、聴く人の心に独特の余韻を残した。

あの夏、テレビから流れたこの曲は、単なるエンディングテーマ以上の意味を持っていた。カブキロックスの奇抜な姿と共に、日本の音楽史とアニメ史の交差点に確かに刻まれた“異色の一曲”。

35年経った今でも、『虹の都』は90年代初頭の空気を鮮やかに映し出している。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。


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