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子どもが「残しておいて」と言った分まで食べてしまう…“食い尽くし系”夫なぜ?公認心理師の指摘に…驚愕

  • 2025.8.19
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

家族と囲む食卓。一人での食事とは違う楽しさがある一方で、思わぬトラブルになることも。

現在SNSで、「大皿に出した料理を、夫が子どもの分まで食べてしまった」といった趣旨の投稿が話題になっています。

家族と暮らしていて料理作りを担当している方からはしばしば、「作り置きとして小分けにしておいた分までパートナーが食べてしまった」「『明日の子どものお弁当用』とメモをつけているのに冷蔵庫のタッパーの中身をたいらげてしまう」「何度言ってもやめてくれない」という声が聞かれます。

こういった、いわゆる「食い尽くし系」 の家族に困ったというエピソードは、SNSを中心に頻繁に話題になっているため、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、食い尽くしてしまう人の心理について、公認心理師さんにお話をお伺いしました。弊社が募集した「食い尽くし系」パートナーに困っているという体験談とともに紹介します。

ちゃんと伝えてあるのになんで食べちゃうの!?

今回は、家族やパートナーと一緒に生活をしていて、料理を作る担当をしているという方限定で、家族の「食い尽くし」で困ったエピソードを募集しました。

寄せられたコメントから、いくつか紹介します。

子どものものまで食べてしまう

家族で夕食を食べている時、4歳の長男が「トイレ行くから戻って来たら食べるよ!残しておいてね」と言っていたのに、夫が自分のごはんを終えてそのまま無言で長男のご飯を全て食べてしまった。
夫は「いらないと思って」とのことでした。
(20代女性・個人事業主・愛知県)
手作りしたクッキーを子どもが帰ってきたら食べさせようと冷蔵庫に入れておいたら、仕事から帰ってきた夫が勝手に無断で全部食べてしまっていました。
いつもそんな感じで、ごめんごめんと軽く謝るだけ
なので、子どもは夫のことを嫌っています。
(30代女性・主婦・兵庫県)
私がお取り寄せしてみんなで食べようと思っていた宇都宮餃子。元夫が食べ尽くしてしまい、娘の分がなくなってしまった。
注意すると、お前がこんな小さい餃子頼むから悪いんだ!と逆ギレ
された。結果離婚しました。
(40代女性・パート・北海道)

すべて自分のものだと思い込んでしまう

たまにつくるお菓子や、特別な日に凝った料理を出すと夫が自分のためだけに作られたと勘違いして食い尽くしになります。
大皿で出さず個別の皿に分けて出すことにより回避しています。
(30代女性・会社員・愛知県)
個人の皿に盛るのを基本とし、多めに作った料理は大皿で出して取り分けて食べるように取り皿も出しているのに、大皿ごと自分の前に持っていって一人で全部食べてしまったときは、あきれしか残らなかった。何のための取り皿か考えられないのかと怒りがおさまらなかった。
(30代女性・神奈川県)
二人で食べるランチとしてハンバーガーとチキンとポテトとドリンクを二個ずつ買って帰ったら、最初にハンバーガーを一人でいきなり2個食べてしまい、あぜんとした。
(40代女性・会社員・福島県)

明らかに作り置きだとわかるものを食べてしまう

私が仕事と子どもの送迎で忙しい時に、数日分のお弁当のおかずと夕飯のおかずを作り置きしていたが、私が忙しいことをわかっているのに、子どもを迎えに行っている間に、帰宅した夫に食べられてしまっていた
(40代女性・看護師・熊本県)
1週間ぶんを作り置きをして冷蔵庫に入れて置いたら、私が外出しているときに、1週間分全部食べられていました。その後はもう同じことがないように、作り置きしたあとは「1週間分だよ」と口うるさく毎回言っています。
(30代女性・主婦・愛知県)
夫に、以前に冷蔵庫のなかの次の日の昼ご飯用に置いていたものを全部食べられてしまったため、お皿に「次の日の昼用」とメモを貼りました。それでも食べられてしまったため、「次の日の昼用、食べないで!」まで書いてようやく伝わりました。情けないです。
(30代女性・主婦・関西地方)

知っているくせに食べてしまう

我が家は日曜日にお弁当の副菜の作り置きをしています。それを何年も続けており夫は知っているのに、月曜日の夜、私が寝た後に帰宅した夫が、作り置きおかずを食べ切っていました。翌朝何もなくて青ざめました。
(30代・フリーランス・愛知県)
冷蔵庫に入れていた調理済みのもの、私や息子が食べたくて買ってきたものも、いつの間にかなくなっています。
問い詰めると「また買ってくるからいいでしょ」が口癖です。
(50代女性・主婦・北関東)

必要なことをしている隙に食べてしまう

ご飯を作り終え机に並べたところで子供が泣き出したのであやしながら下の子の離乳食を食べさせている間に、夫が全ておかずを食べていました。夫の言い分としては「残しておいて」と言われてないからだそうです。
(20代女性・事務員・四国地方)
まだ子どもが3ヶ月くらいの時、ご飯のタイミングで泣き出してしまった。私が別室であやして、寝かしつけて部屋に戻ると、夫がすべて食べてしまっていて、メインのおかずの皿が空っぽになっていました。何回かあったので夫とは話をして、大皿で料理を出すのをやめました。
(30代女性・主婦・大阪府)

私へのもらいものなのに一人で食べてしまう

つわりで食べられるものが限られていた時に、実母が私のために海苔巻きを買ってきて届けてくれました。「母が私のために海苔巻き買ってきてくれたよ」と伝え、少しずつ食べようと思っていたら、私がソファ寝込んでいる間に、夫が全て食べ尽くしていました。
ちゃんと私の分だと伝えていたのに。
(30代女性・公務員・静岡県)
私が友人からいただいた百貨店のいいお菓子などを、パートナーが許可なく食べてしまう。
私も食べたかったこと、食べる前に声をかけて欲しいことなどを伝えても何回も繰り返してしまう
(30代女性・主婦・和歌山県)

勝手に食べて文句を言ってくる

常備菜になりそうなひじきの煮物やきんぴらごぼうなど、明日用に多めに作っていて全部食べてしまいます。
で、「食べすぎた。作りすぎだ」と言われます。
(40代・主婦・岐阜県)

父がそのタイプです

私の家族は、父、母、妹、私の4人なのですが、夜ご飯でお刺身を出した時、父が半分以上食べてしまい、まだ私も母も妹も食べていなかったので「食べ過ぎ!」と怒ったら、機嫌を悪くして怒鳴られたことがあります。
(20代女性・フリーター・近畿地方)
母親が入院した時、一人残される父親のためにおでんを3日分作って渡したが、渡した1日で全て平らげてしまった。
それから1日分の料理だけ渡すようになった。
(40代男性・会社員・近畿地方)
両親の昼食を毎朝作って仕事に行くのですが、父がいつも9割(ひどいと全部)食べてしまい、母の分がないことが判明しました。
それ以来きっちり分けて、子どもみたいですが「母の分」と、紙に書いて貼るようにしました。
(50代女性・会社員・神奈川)

今回紹介したのは、寄せられたコメントの一部ですが、どの項目も複数の体験談が寄せられていました。

特に、「冷蔵庫にある、明らかに大量の作り置きだとわかっていてもすべて食べてしまう」「○日分の作り置きだと伝えていても1日で食べてしまう」「子どもの分まで食べてしまう」「食べてはいけない分だと伝えているのに食べてしまう」といった声が多くありました。

なぜ食べ尽くしてしまうのか?心理を専門家に聞いてみた

寄せられたコメントの中には、「自分が実家に暮らしていて保護者にごはんを作ってもらっていた時も『冷蔵庫にあるこのカレー、昼ごはんに食べていいかな?』『この缶の中のお菓子なに?食べてもいい?』と聞いていたので、なぜ自分が作った(もらった)のではない食べ物を、家族に尋ねることもなく勝手に食べてしまうのか、意味がわからない」という疑問の声も多くありました。

そこで、今回は、公認心理師のaiirococco先生に、「食い尽くし」をしてしまう人はどういった心理だと考えられるか、伺いました。

---まず、上記の実際の体験談をご覧になって、どのような感想を持たれましたか?

「おそらく、こういった体験をしたことがある方は結構いるんじゃないかと思います。悔しいのが、食べた人は、それほど重要なことだと感じていないところかもしれません。そのあたりの温度差もかなり感じますので、やられた方の気持ちはなかなか収まりづらいですよね」

---なぜ、自分のものだと言われていないのに勝手に確認もせず食べてしまうのでしょうか?

「食べ尽くしてしまう方のエピソードを見る限り、自己完結型の人が多いのではないでしょうか。なんでも自分勝手に想像してしまって、それを事実だと認識してしまうのです。『もう食べないのだろう』『(大皿を見て)自分の分だろう』『どうせ具合が悪いから食べられないだろう』といった感じで、頭の中だけで処理してしまい、相手に聞いてみるという行動が取れないのではないでしょうか」

---なるほど、何事も自分の考えたことを事実だと思い込んでしまうのですね…。

「何度言っても同じことをやってしまう人も、おそらく同様です。言われたことを忘れてしまい、その都度自分勝手な想像に基づいて食べ尽くしているのでしょう」

食い尽くし系家族にはどんな対策が有効?

---ご指摘いただいた通り、何度注意をしても同じことを繰り返すという体験談も寄せられています。こういった家族に対して、どのような対処をするのが良いと思われますか?

言ってもダメな人は、耳で聞いたことを記憶するのが苦手かもしれません。そのため、できればメモを大きく書いて貼り付けるなど目からの刺激に変えると良いかもしれません」

---耳で聞いたことを記憶するのが苦手。なるほど!今回のアンケートでは「タッパーに大きなメモを貼り付けてあるのに無視する」という体験談も寄せられました。

「メモをしても繰り返してしまう人に対しては、冷蔵庫の奥など出すのが面倒くさくなるような場所に入れておくのも手です。そういう方は往々にして面倒くさがりですので、ワンアクションを嫌います。冷蔵庫を開けてすぐ手に取れる目立つ場所に置くことは避けたほうがいいでしょう」

食い尽くしてしまう本人が求められる変化とは?

---「食い尽くし」をしてしまう人が、自分自身が今後それを繰り返さないために、どんな意識や行動の変化が必要でしょうか?

「もしご自身が食い尽くしをして家族を怒らせてしまい、反省しているのであれば、それは大きな一歩です。繰り返さないためには、食べる前に作ってくれた人や家族に一言『食べてもいい?』と聞く習慣を身につけることが大切でしょう」

---まずは確認する習慣を身につける、ですね。

「その一言があるだけで、勝手に食べ尽くしたりすることがなくなりますし、家族も安心できるのではないでしょうか」

「自分以外の人の分である可能性」に目を向けよう

作り置きや、他の家族への手土産、大皿に盛られたメニュー、他者の分として用意された食事などを食べ尽くしてしまうのは、「自分の分だろう」「もう誰も食べないだろう」とすべて自分勝手に想像してしまって、それを事実だと認識してしまう傾向が強いとのことでした。

一人暮らしであれば、好きなタイミングで好きな分量を食べても問題ありませんが、誰かと一緒に生活をしている以上、「自分以外の人の分である可能性」を考える力を身につける必要があります。

さらに、本来子どもの食事の面倒を見て、食事のマナーを教えるべき立場の保護者が、その責務を放棄するどころか子どもの分まで食べてしまっているケースが多数あることも大きな問題です。

子どもは大人の行動を見て学びます。食事を分け合うこと、相手への思いやり、適量を守ることなど、食卓で身につけるべき基本的なマナーや価値観を、保護者自身が破ってしまっては、健全な食育は望めません。

対策としては、メモの活用や保管場所の工夫などが有効ですが、根本的解決には食べる側の意識変革が不可欠です。

家族の食卓は、お互いを思いやる心を育む場でもあります。保護者がその手本を示すことで、子どもたちも自然と分かち合いの心や食事のマナーを身につけていくのではないでしょうか。

※こちらは、2025年1月18日の記事を再編集したものです



※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています

・調査方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・調査期間:2024/11/20~2024/12/3
・調査対象:全国/18歳以上/性別不問
・有効回答数:177



記事監修:aiirococco
公認心理師/臨床心理士として、総合病院にて勤務。小児科から緩和ケアまで、さまざまな年齢層の方の心理的サポートに長期間従事している。
「生きづらさを感じる人、傷ついてしまった人の心に、静かに寄り添って、少しでも笑顔で過ごす時間が増える助けとなれるような心理職を目指して日々頑張っています」