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医師「失神するケースも」→意外と知られていない『人いきれ』…お祭りや花火大会でおこる“体調不良の原因”とは?

  • 2025.8.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

花火大会や夏フェス、お祭りと、暑い季節は屋外イベントが満載。ですが、その会場の人ごみで起きる「人いきれ」という現象を正しく知っている人は意外に少ないのでは?密集した場所では、空気が急激にこもって暑さと酸素不足が重なり、体調を崩す人もいます。特に夏のイベントでは、救急搬送されるケースが珍しくなく、中には「失神するケースもある」と医師から注意が促されています。この記事では、人いきれがどんなものかをわかりやすく解説し、そのリスクと対策を紹介します。

人いきれの正体とは?密集がもたらす意外な危険

「人いきれ」とは、漢字で書くと『人熱』と書きます。読んで字のごとく“人の熱”のことで、特に暑い日に、狭い会場や公共交通機関などで多くの人がひしめき合うと、その場所だけ温度が高まったり、酸素が不足しがちになります。普通は屋外の風で空気が流れるので問題になりにくいですが、夏の大型イベントでは人込みが激しく、屋外でも風通しの悪い場合も。こうした環境では、体が熱をうまく逃がせず、熱中症や脱水症状を起こしやすい状態に。

講演会やライブ会場で倒れたり、顔色が悪くなったりする人が後を絶たない背景には、この「人いきれ」による影響があるわけです。

夏イベントで気をつけたい!具体的な対策と予防法

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、どうやってこの「人いきれ」の害から身を守ればいいのでしょう?まず大切なのは、イベント会場に入る前から準備をしっかりしておくことです。こまめな水分補給はもちろん、塩分も適度に摂ることが熱中症予防につながります。また、風通しの良い服装を選び、直射日光を避ける帽子や日傘も効果的です。

会場の環境に応じて、涼しい休憩スペースや冷房の効いた場所を確認しておくことも有効です。もし周りに体調不良を訴える人がいたら、すぐに声をかけて風通しの良い場所で休ませるなどの応急処置を。また、自分自身が少しでもめまいや吐き気、倦怠感を感じたら、無理をせずその場から離れ、人の少ない涼しい場所へ移動することが大事です。

公共交通機関や会場の入退場時も密集が生じやすいため、その時間帯は避けたり、時間をずらして行動する工夫もおすすめ。事前にイベントの混雑状況や気象情報をチェックし、身の安全を最優先に考えましょう。

体調が悪くない日でも注意して

「人いきれ」はただの暑さではなく、密集によって空気の流れが悪くなり、熱中症や酸素不足を招く危険な現象です。特に夏のイベントでは、一瞬の油断が体調悪化につながりかねません。快適で楽しいはずの夏の思い出を守るためにも、今回紹介した対策を心がけることが重要です。

水分と塩分の補給、涼しい服装、休憩の確保、そしてもし体調不良を感じたら早めの行動で対応すること。暑い夏でも安全第一で楽しみましょう!


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。