1. トップ
  2. なぜ、選挙の投票所では『えんぴつ』が多い?そこには“理由”があった「消えてしまうのでは」「書き心地がいい」

なぜ、選挙の投票所では『えんぴつ』が多い?そこには“理由”があった「消えてしまうのでは」「書き心地がいい」

  • 2025.7.18
undefined
画像;photoAC(※画像はイメージです)

2025年7月20日の国政選挙に向けて、各地で期日前投票が始まっています。SNSでは、「なぜ投票所には鉛筆が置かれているのか?」という声がたびたび見られます。「鉛筆で書くと消えてしまうのでは?」「油性ペンの方が安心なのでは?」といった疑問もあるようです。しかし実は、「鉛筆」が多くで設置されているのには「投票用紙」の特性が関係しています。

鉛筆が使用されているのは“投票紙の素材”

日本の投票所で鉛筆が多く使われているのは、実務上の安全性や合理性に基づいています。

新宿区の公式サイトでは、投票所の筆記用具について以下のように説明しています。

投票所において鉛筆をご用意しておりますが、ご自身の筆記用具を使用することも可能です。
※筆記用具は鉛筆・シャープペンシルを推奨しています。投票用紙は樹脂製で乾きにくいため、ボールペン・水性ペン等では、インクで他の投票用紙が汚れたり、投票用紙同士がくっついたり、文字がにじんで判読が困難になる恐れがあります。
出典:新宿区

投票用紙に使用されている「ユポ紙(合成樹脂製の特殊紙)」は、耐水性・強度に優れている一方で、インクが乾きにくく、水性ペンや油性ペンではにじみやすい特性があります

そのため、たとえばボールペンやマーカーを使って投票した場合、インクが他の投票用紙に写ってしまったり、重なった際に用紙同士がくっついてしまうなどのリスクがあり、結果として無効票と判断される可能性が生じます。

このような背景から、選挙管理委員会ではにじまず安定した筆記ができる鉛筆やシャープペンシルを推奨しているのです。

筆記具の使用に制限はないが「乾きやすいものを」

また、法的に筆記具の種類について制限されているわけではありません。総務省は次のように述べています。

投票に使用する筆記具については特に規定をしていま せん。そのため、実際の投票においては、各市町村において適切と判断する筆記具が用意されることになります。
出典:総務省

東京都選挙管理委員会は、SNS(X)上で「ためしがき参院線」というツールを公開し、日本の未来を決める大切な一票を“好きなペンで書いてみよう”と呼びかけています。

このように、有権者自身が使用する筆記具を選ぶことはできますが、ユポ紙との相性を考慮し、インクが速乾性のあるものかどうかには注意が必要です。投票所で用意された鉛筆を使うことで、そうしたリスクを避けやすくなります。

「書き換えられるのでは?」という誤情報の拡散

また、SNSなどでは「鉛筆だと消されて書き換えられるのではないか」という投稿が散見されますが、東京都選挙管理委員会は、公式X(旧Twitter)で次のように呼びかけています。

 

実際の選挙では、投票箱の施錠や封印、選挙管理委員会および立会人の立ち会いによる開票作業など、不正が極めて困難になるよう、厳格な管理体制が整備されています。

SNSでは多様な反応も

一方、SNS上では「書き心地が良い」「自分好みの鉛筆を持参する」など、筆記具についての様々な声も上がっています。

  • いつも思う、なんで鉛筆なのか?
  • 鉛筆だと消える可能性ありそう
  • 投票所の鉛筆、書きやすくて感動した
  • 鉛筆も置いてあったけど、ボールペンも配布していた
  • 自分好みの鉛筆を持参した

鉛筆は“合理的な選択肢”、ボールペンや油性ペンでも無効にはならない

投票所に鉛筆が置かれているのは、投票用紙に適した筆記具として、にじみや汚れによる無効票のリスクを避けるためです。公式には筆記具の制限はありませんが、ユポ紙との相性を考えた際に、鉛筆やシャープペンシルが適しているとされています。

ペンのインクが速乾性かどうかを確認したうえで「マイペンで投票したい」と考えている方も、こうした情報を知ることで、より安心して一票を託せるのではないでしょうか。