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殺人は「オンエア中の3分間」——。31年経っても色褪せない『古畑任三郎』、視聴者が選ぶ“狂気回”

  • 2025.7.8

 

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古畑を演じた田村正和さん/(C)SANKEI

「31年前、“推理ドラマ”の常識をひっくり返すドラマが誕生した」

1994年の春、1つのドラマが革命を起こした。田村正和さん主演の『警部補・古畑任三郎』(フジテレビ系)だ。

『古畑任三郎』の“常識破り”なところは、アメリカのサスペンスドラマ『刑事コロンボ』に代表される「倒叙ミステリー形式」とは、冒頭で犯行シーンが描かれ、犯人が明かされた状態で物語が進む手法だ。視聴者は「犯人は誰か」ではなく、「犯人がどのように古畑に追い詰められ、自白に至るのか」を楽しむ。

古畑は全身黒の装いで金色のセリーヌの自転車を乗りこなす。。そして観察力の塊と言える彼は、犯人と初めて接触したシーンで感じた小さな“違和感”を、古畑は絶対に見逃さない。そこから執拗に何度も接触を図り、追い詰めていくのである。

また、このドラマの魅力の1つは、犯人役を演じるのが日本を代表する豪華役者たちだ。それだけでなく、第2シーズンではお笑い芸人の明石家さんま、スペシャル版ではSMAPや、プロ野球選手のイチローが本人役で演じたこともある。

第1シリーズ『警部補・古畑任三郎』の人気回アンケートを実施

TRILLでは、第3シーズンとスペシャル版を含め2006年まで制作されたこのドラマの中から、記念すべき第1シリーズ『警部補・古畑任三郎』で誰が犯人の回が人気だったのかをアンケートを過去に実施し記事化している(記事枠外より閲覧可能)。

当時は回答者の声を中心に掲載したが、今回はその結果から第2位と人気だった第11話「さよなら、DJ」の中身を深堀りしていきたい。

【人気第2位】桃井かおりが“殺人DJ”を

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犯人役を演じた桃井かおり、1999年/(C)SANKEI

過去の人気アンケートで第2位となったのは、第11話で桃井かおりが犯人役を演じた『さよなら、DJ』

ストーリーは、人気歌手でありラジオパーソナリティの“おたかさん”こと中浦たか子(桃井)が、恋人を奪われた腹いせに付き人の女性をラジオの生放送中に抜け出し、駐車場で付き人を殺害するシーンから始まる。殴った際に「痛い?」と聞くたか子に戦慄した視聴者も多かったはずだ。

ちょうどその日、脅迫状が届いているというたか子からの依頼を受け、ラジオ局に警護に来ていた古畑と部下の今泉(西村雅彦。現・西村まさ彦)。たか子は、赤いカーディガンを着た被害者がたか子と間違われてストーカーに殺されたように偽装する。

事件現場を検証した古畑は、落ちていたタバコの吸殻が慌てて消されていることから、犯人は被害者が気を遣う必要がある相手なのではないかと違和感を持つ。また、殺人を犯し平静を装っているつもりでも恐怖から手の震えが止まらないたか子は、番組内でレコードをかけようとするが震えてうまくいかないため、アシスタントに針を落としてもらっていたことなど、たか子への古畑の疑いは強まっていく。

そして、本トリック最大のテーマだったのは“犯行時間”。『サン・トワ・マミー』が番組中に流れる間のたった3分という僅かな時間で、たか子が犯行現場への往復と殺人が可能か、という点が焦点であった。今泉が全速力で検証した際には時間がかかったが、ラジオ局の構造を熟知していたたか子であれば、最短ルートを使って短時間で往復できたと考えられた。そして、その途中でたか子はその時にしか知り得ない情報を番組で口走ってしまうという致命的なミスを犯してしまい、古畑に問い詰められ自白することになった。

シリーズ名物の小咄“赤い洗面器の男”も見どころ

余談だが、この話の本編の中に「赤い洗面器を頭に乗せた男」という話題が登場するが、これは以降古畑任三郎シリーズにおいてことあるごとに出てくる定番の小咄となっている。結局、良いところでいつも流れが途切れてしまい、男が赤い洗面器を頭に乗せた理由を古畑が知ることはないのだが…。

31年が経過しても全く色褪せることのない『古畑任三郎』。FOD(フジテレビオンデマンド)で配信が行われているので当時の視聴者で懐かしく思った方、まだ観たことがないが気になった方はぜひチェックしてみてほしい。