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ローソンの車中泊サービスが話題 そもそも『車中泊』って違法なの?弁護士に聞いてみた

  • 2025.7.30
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出典:photoAC(写真はイメージです)

コロナ禍を機に急増した「車中泊」。最近でも宿泊費用を節約することなどを目的として、ホテルなどに泊まらずに車中泊での旅行を楽しむ人も少なくないようです。

そんななか、大手コンビニ「ローソン」では、7月14日より『駐車場を使った車中泊サービス』が試験的に開始され、話題になりました。
これに対し、SNSでは「これは気になる」「素晴らしいアイデア」という声がある一方、「無断駐車対策では」「昔からコンビニ駐車場で車中泊してた人いるよね」などの意見も寄せられました。

そこで今回は、車中泊するのは法的に違法なのか?気になる疑問について、弁護士さんに詳しくお話を伺いました。

車中泊ってよく見かけるけど…違法なの?

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

ーーーローソンが車中泊サービスを始めるとのことですが、車中泊サービスを始めるのには何か条件があるのでしょうか?

ローソンがスタートする車中泊サービス(RVパーク)は、ただ「駐車スペースを貸す」だけではありません。以下のような一定の条件をクリアした施設であることが前提になっています。

1.日本RV協会のRVパーク認定を取得していること
「快適に・安心して車中泊が出来る場所」として、協会基準を満たすことが必要です。

2.24時間利用可能なトイレやゴミ処理設備の設置すること
利用者が夜間でもトイレ利用でき、ゴミ処理もできることが必須。

3.電源や受付・チェックイン体制の整備
ローソンでは専用タブレットによる予約受付や置き看板の設置、電源ドラム貸出、生ごみ回収などを実施しています。

4.有人店舗であることによる安全性の担保
コンビニスタッフが常駐することで安心感が提供されます。

ーーーかなり細かい条件を設けていますね。一般人が広い自宅の庭のあいているスペースでこのサービスを始めることも可能なのでしょうか?

一般の個人宅での運用は、以下の理由から難しいと考えられます。

1.RVパーク認定が取得できない
日本RV協会の認定は、24時間トイレ・ごみ処理・駐車スペースの区画化などの条件を満たす必要があり、認定を受けるには設備や運営体制の整備が求められます。

2.法律・条例の制約
自宅の土地を有料で貸し出す場合、「旅館業法」「民泊法」「食品衛生法」などの法規制をクリアする必要が出てきます。無許可での有料提供は、違法とされる可能性が高いです。

3.安全面・責任の問題
施設として第三者を受け入れる場合、事故やトラブルに対する責任問題、保険の加入といった課題があります。

ーーーたしかに難しそうですね。では、こういったサービスをしている場所以外で車中泊をすることは違法ではないのでしょうか?

結論から言うと、「車中泊自体は違法ではありません」が、場所や行為によっては法律違反や迷惑行為と見なされる可能性があります。

ーーーでは、どういう場所なら許されるのか教えてください。

以下のような場所では、ルールを守れば車中泊が可能(原則OK)です。

1.RVパーク(民間の車中泊施設)
日本RV協会の基準を満たし、正式に「車中泊OK」として運営されている施設ですので問題ありません。

2.道の駅(ただし注意が必要)
「仮眠・休憩」の範囲での利用は黙認されている場合もありますが、宿泊目的の長時間滞在は本来の目的外使用と見なされることがあります。近年は「車中泊禁止」と明記する道の駅も増えているので注意が必要です。

3.オートキャンプ場・キャンプ場
明示的に「車中泊可」とされており、安心して宿泊可能です。

4.車中泊専用コインパーキングやスーパー銭湯等の一部施設
「車中泊歓迎」「仮眠OK」と明示された施設もあり。

ーーー道の駅などは気を付けたいですね。逆に、許されない場所についてはいかがでしょうか?

 以下は、車中泊が許されない(違法・迷惑行為とされる)場所となります。

1.一般道路・高速道路の路肩
 道路交通法により「停車・駐車違反」「道路占有」とされる可能性が高く、危険でもあります。

2.商業施設・スーパー・コンビニの駐車場
 店舗利用者以外の無断駐車は、不法占拠・営業妨害に該当するリスクがあります。
ローソンのように「車中泊OK」と明示された店舗以外は避けるのが無難でしょう。

3.公園や公共施設の駐車場
多くの自治体では「宿泊目的の滞在」を禁止する条例があり、職員から注意・退去を求められる可能性があります。

4.私有地への無断駐車
当然ながら、不法侵入・不法占拠になります。

ーーー車中泊するうえで注意すべきことについても教えてください。

1.エンジンのかけっぱなしは、騒音や排ガスで苦情の対象になることがあります。
2.調理や洗面行為の持ち込みは、公道や施設駐車場ではマナー違反となります。
3.ゴミの放置・ペットの放し飼い:条例違反となったり、苦情の原因となったりします。
4.どんな場所でも、長期滞在はトラブルになりやすいです。

ーーー車中泊ができる場所を事前に確認する必要がありそうですね。

トラブルを避けるためにはどうしたらいい…?

ーーー車中泊をする人がトラブルを避けるために知っておくべきことを、法的観点から教えてください。

(1)無断駐車は「不法占拠」や「不法侵入」にあたるおそれ
私有地(例:空き地・店舗駐車場)での車中泊は、所有者の承諾がなければ違法になります。「夜間だから」「誰もいないから」といって停めるのは非常に危険です。トラブルや通報の原因になります。

(2) 路上での車中泊は「道路交通法」違反になることも
道路上での長時間停車・仮眠・就寝は、「駐停車違反」「道路占有」に該当し、道路交通法上違法となる場合があります。特に高速道路の路肩や都市部の幹線道路では、交通の妨げや事故の原因となるため厳しく取り締まられることも。

(3) 公共施設や道の駅も「利用目的外」だと退去命令の対象に
道の駅や公園の駐車場での長時間滞在・宿泊行為は、施設管理条例違反になる可能性があります。「仮眠」は黙認されても、「車中泊(宿泊)」はNGと明記している場所も多いです。

(4) 周囲への迷惑行為は「軽犯罪法」等の対象になる場合も
騒音、排ガス、車内での飲酒・喫煙、ゴミの放置などがあると、軽犯罪法や廃棄靴処理法、公害防止条例、迷惑防止条例などに触れる可能性があります。

(5)安全配慮義務と自己責任
事故・火災・盗難などのリスクもあるため、防犯意識を高く持つことが重要です。管理されていない場所で事故やトラブルが起きた場合、すべて自己責任となります。

ーーー詳しく知ることで安心して車中泊を楽しめそうです。教えてくださり、ありがとうございました。

「車中泊ができるかどうか」の確認を忘れずに

「車中泊ができる場所かどうか」をしっかりと確認しなければ思いがけずトラブルを招いてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

場所によっては「仮眠」なのか「車中泊」なのかによって許可するか決めている場合も。「車中泊可」と明記されている場所であれば問題ありませんが、分かりにくい場合は自己判断せず所有者などにしっかりと確認するようにしましょう。

また、なかにはノープランでの旅を楽しむ人もいるでしょう。しかし眠たくなってから車中泊ができる場所を探すのは運転の面でも心配です。事前に車中泊する場所をしっかりと確認してから、旅行に出発するようにしたいですね。

コンビニ駐車場での車中泊サービスが開始したことにより、改めて車中泊に関する違反行為やマナーについて理解するいいきっかけになるのではないでしょうか。

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