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裸で立ち尽くす認知症の母親を「早くしなよ!早く!」と怒鳴る娘…現役ケアマネが目撃した“お迎え先”での衝撃的な光景

  • 2025.7.15
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

認知症を患う家族の介護は、想像以上に過酷なものです。特に、身の回りのことが自分でできなくなった状態では、家族の負担は計り知れません。

今回は、現役介護士のAさんが語る、デイサービスのお迎えで目撃した「認知症の母親に怒鳴り続ける娘」のエピソードをご紹介します。

デイサービスのお迎えに行くと驚きの光景が…

週3回のデイサービスを利用されていた、80代後半の女性の利用者さんとの話です。

認知症がかなり進行しており、ご自身で身の回りのことや自宅での入浴をするのも難しい状態でした。排泄の処理も、自分ではできません。50代半ばの長女さんご夫婦と同居されていましたが、どちらかと言うと、あまり介護に積極的ではない印象です。

ある朝、いつものようにご自宅へお迎えに伺うと、中から長女さんの大きな怒鳴り声が聞こえてきます。チャイムを鳴らして中に入ると、そこには目を疑うような光景が広がっていました。

利用者さんが、裸のまま「何をしたらいいか分からない」といった感じで、部屋の真ん中に呆然と立ち尽くしていたのです。体には排泄物がついたままで、身支度もできていません。

そして、少し離れた場所から長女さんが「早くしなよ!早く!」と、怒鳴りつけていました。

本来、デイサービスへ行くための準備はご家族か、必要であればヘルパーが支援するのが通常です。しかし、この日の状況はあまりにも異常でした。本来なら、そのまま帰ってもいいのでしょうが、さすがにそうはいきません。

私は、すぐに利用者さんの手を洗い、体を清拭し、新しい紙パンツと衣類を身につけてもらいました。

その間も長女さんは一切手伝うことなく、ただその場に立ち尽くしています。準備に時間がかかるため、私は事務所に連絡し、他の利用者さんの送迎は別の職員に交代してもらいました。

今思えば、長女さんご夫婦は、お母様の認知症を受け入れられなかったのかもしれません。

しばらくしてご本人は体調を崩し、入院。そのまま帰らぬ人となったと聞きました。あんなにも大変な送迎は、後にも先にもあの日だけです。

家族介護の限界と支援の重要性

認知症の家族を介護することは、日常生活が一変するほどの大きな負担を伴うこともしばしば。特に、排泄や入浴といった介助が必要になると、介護者の心身への影響は深刻なものになり得ます。

支援を求める余裕もないまま限界を迎えてしまう家庭は、決して少なくないようです。介護を支えるうえで必要なのは、家族の思いやりだけでなく、制度や専門職による支援体制です。

介護保険制度を活用すれば、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどを通じて、家庭内の負担を軽減することができます。早い段階でケアマネジャーに相談することで、状況に合ったサポートを受けることも可能です。

「家族だけで何とかしなければ」と思いつめず、少しでも負担を感じたら外部の支援を取り入れることが、本人と家族の生活や安全を守る第一歩となるでしょう。


《取材協力》
現役介護士・Aさん
2010年に介護業界に入り、デイサービスやグループホームの管理者や施設長を経験。現在は、居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして勤務中。これまでに、多くのスタッフや利用者さんと関わってきた。