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偽警察官「LINE電話で事情聴取を」20代女性「なぜ元カレの名前を…」詐欺被害者が語る“犯行の一部始終”【実話】

  • 2025.7.10
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

あなた名義のキャッシュカードが、詐欺事件の犯人宅から見つかりました」そんな一言から始まる“警察官を名乗る詐欺電話”が、いま全国で急増しています。

スマホにかかってきた1本の電話がきっかけで、LINEビデオ通話に誘導され、警察手帳や“逮捕状”のようなものをを見せられて…気づいた時には大金を振り込んでいたーーそんな被害が実際に発生しているのです。

SNS上でも「私のフルネームと住所を知っていて、まさかと思った」「警察手帳を画面越しに見せられて信じそうになった」という声が散見され、誰もが狙われる可能性のある詐欺となっています。

今回は、未遂で済んだ被害者の証言をもとに、今回の事件について詳しくお伝えします。

30代女性が100万円の被害 「無実を証明するために振込を」と要求され…

では実際に、どのような被害が起きているのでしょうか。

三重県では、30代の女性が“警察官を名乗る人物からの電話を受け、100万円をだまし取られるという深刻な事案が発生しています。

三重県名張署が発表した内容によると、6月30日、名張市在住の30代女性のスマートフォンに、京都府警の警察官を名乗る男から電話が入りました。

マネーロンダリング事件を捜査中、あなた名義のキャッシュカードが見つかった」と告げられた女性。その直後、「京都府伏見警察署」を名乗る別の人物からLINEビデオ通話が届き、画面越しに“警察手帳”や“逮捕状”のようなものを見せられました。

あなたが無実であることを証明するため、資金調査が必要だ」と説明され、女性は店舗のATMから指定された個人名義の口座へ100万円を振り込んでしまいます。

翌日、再び同じ人物から振込を求められたことで疑念を抱き、警察に相談して詐欺と判明しました。女性は最初の電話で「この件は家族や知人に話さないように」と口止めされていたといいます。

「まさか自分が…」元彼の名前まで出された巧妙な詐欺電話の手口とは?

こうした詐欺電話は高齢者に限らず、若い世代にも広がっているようです。今回は、実際に同様の手口の詐欺電話を受けたという20代の女性のAさんからお話を伺いました。

---貴重なお話をありがとうございます。電話では具体的にどのようなことを言われ、どんなふうに返したのでしょうか?

このようなやりとりがありました。

警察(偽)『徳島県警本部2課のKと申します。この電話番号の持ち主はAさん(フルネーム)の電話番号で間違いないですか?』
私「はい、そうですけども」

『住所は××××で間違いないですか?』

「今は住んでいませんが、1か月前まではそうですね。合ってますね」

『実は、詐欺グループと思われる1人のB(フルネーム)という男を逮捕しました。その際にAさんのものと思われるキャッシュカードが見つかりました。我々はAさんも関与していると見ています。こちらまで出頭願います』

「いえ、心当たりもないし行けません」

『でしたら事情聴取のため、LINE電話でビデオ通話できますか?』

「今手が離せないから、後からかけ直します」

『どこにかけ直すんですか?』

「徳島県警本部に」

『こちらにではなく?こちらからまた電話かけるので、この話の続きはそちらで』

「いえ、よくわからないので、番号を調べて徳島県警本部にかけ直します」

と告げたら、電話を切られました。

---わざわざLINE電話に誘導するとは怪しいですね。電話の内容を聞いて、どんなふうに思われましたか?

「詐欺グループと思われる1人のB(フルネーム)という男」と、男性名のフルネームを伝えてきたのですが、それが私の元彼と同姓同名だったのです。

あとから警察に聞いたところ、私の元彼と同じ名前だったのは偶然だと思われるとのことでしたが、元彼のフルネームを出されたり、私のフルネームや住所、電話番号を言われたので、普通に信じそうになりました。

ですが、「LINE電話で事情聴取したい」と言われた時点で、「警察がそんなことをするかな?」と疑問に感じ、かけ直すという判断をすることができました。

本当の警察の方から「その電話は詐欺です」と聞かされるまでは、普通に信じてしまっていました。

---巧妙な手口ですね…。詐欺電話は徳島県警を名乗っていましたが、お住まいやご出身が徳島県なのでしょうか?

いいえ、全く関係ありません。

警察の方が言うには、むしろそれが狙いのようです。私の住所を把握していて、すぐには出頭できないことを知っていて徳島県警を名乗って連絡し、そこからLINE通話へ誘導。「今、あなたを逮捕するために向かっているので、それが嫌ならお金を振り込め」という流れに持っていくのが狙いなのだそうです。

---似たような事例に引っかからないために、どんなことに注意したら良いと感じられたか、アドバイスがあれば教えてください。

警察の方から教えてもらったことをお伝えします。

「警察から電話が来たら、まずその相手の名前とどこの何課の所属かを聞いて、電話はいったん切る。それから、ネットでその警察を調べて、出てきた電話番号にかけ直してほしい」とのことです。

実際に自分の電話にかかってきた番号にかけ直しても、かけてきたところに繋がらないことが多いそうです。これは、実際にかけている電話番号と異なる番号を、こちらに表示させる技術があるためだそうです。

警察の方からは「かかってきた電話番号にかけ直さないで」とも言われました。

---所属を聞いたらすぐに切るのが重要なのですね。貴重なお話をありがとうございました!

冷静に、そして慎重に対応を

Aさんのように、個人情報を知っている相手からあなたが関与している」と言われれば、多くの人が不安になってしまうはずです。

しかし、そこで冷静さを失えば、詐欺グループの思うツボ。

警察を名乗っていても、LINE通話を求めてきたら詐欺」電話で口止めされたら、すぐ誰かに相談する」そんな心構えが、自分の身を守ることにつながります。

詐欺の手口はますます巧妙になっており、誰が狙われてもおかしくない時代です。「まさか自分が」、そう思った瞬間が、もっとも危険だという意識を持っていてください。

“疑う勇気”と“すぐに相談する行動力”、これらを持つことこそが、被害を未然に防ぐ最大のカギなのです。