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空港ロビーで肩を落とす女性「海外で買ったお土産が没収されて…」知らないと危険な“検疫の落とし穴”を元国際線CAが解説!

  • 2025.6.25
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

海外旅行の楽しみの一つといえば、現地ならではのお土産選びですよね。

しかし、残念ながら、どんなお土産でも日本に持ち帰れるわけではないことをご存じですか?

実は、日本に持ち込んだ物によっては、罰金などの刑罰の対象になることもあるのです。

そこで今日は、元国際線CAが、知っているようで意外に知らない“検疫の落とし穴”について解説します。

せっかくのお土産が没収される悲劇......

国際線フライトから帰国し、空港の到着ロビーを歩いていた時のことです。

フライトでご一緒した女性のお客様が、とても沈んだ表情でお連れ様と話されている姿が目に留まりました。

「どうかされましたか?」と声をかけると「現地で食べたハムがおいしかったから、家族にも食べさせてあげたくてお土産に買ったけど、没収されちゃったの。加工品でも駄目なのね」と肩を落とされていました。

お客様によると、入国審査前にいた検疫探知犬(旅客の荷物から肉製品や果物などを嗅ぎ分けて発見する訓練を受けている犬)がこのハムの匂いに反応して、お客様の荷物の中にハムが入っていることが分かり没収されてしまったそうです。

残念なお気持ちは痛いほど分かりますが、お客様には検疫に関してご説明して納得していただくしかできませんでした。

そのお土産、本当に大丈夫?意外と知られていない「持ち込み禁止品」

先ほどのお客様のように、大切に持ち帰ってきたお土産を、到着地空港で没収されてしまうケースは少なくありません。

特に、次のような物は、日本への持ち込みが法律で厳しく禁止されているため、お土産を購入する際には注意が必要です。

  • 果物類
  • 野菜類
  • 肉類(肉製品・加工品を含む)
  • 土がついた植物
  • 生きた昆虫
    など

また、これらの禁止品を日本へ持ち込んだ場合、没収されるだけでなく、悪質と判断された場合は3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は5,000万円以下)の罰金等の対象になる可能性もあります。

厳しく持ち込みを制限している理由は、植物へ悪影響を及ぼす病害虫や家畜への伝染病が海外から日本へ侵入するのを防ぐためです。

もし、病害虫や伝染病が日本に入り込んでしまえば、日本の農作物や畜産業に甚大な被害をもたらしてしまいます。

私たちの食卓を支える日本の「食」と豊かな自然を守るため、空港では“水際対策”として海外からの持ち込み品を厳しく制限しているのです。

「空港で買ったのに!?」「機内食なのに!?」意外な“検疫の落とし穴”とは

「これも没収されちゃうの?」と驚かれる代表的なお土産は、海外空港の売店や免税店で購入したビーフジャーキーです。

知らずに購入してしまい、日本の空港で没収されてしまった方からは「空港で買った物だし大丈夫だと思った」「売店の人が、日本に持ち込んでも大丈夫と言っていた」といった声が聞かれます。

しかし、たとえ空港の売店で購入したビーフジャーキーであっても、日本への持ち込みがNGなのです。

また、機内食も“検疫の落とし穴”になることがあるので注意しましょう。

例えば、機内食で提供されたハムが挟まれたサンドイッチカットフルーツなども、検疫の対象となります(肉や果物、野菜などが含まれない物であれば基本的に問題ありません)。

機内食で出されたものは、食中毒の観点からも機内でお楽しみいただくのが賢明ですね。

どうしても持ち帰りたい場合は?特別なケースと注意点

「どうしても海外のおいしいビーフジャーキーやソーセージを、お土産に買って帰りたい」という方もいらっしゃるかもしれません。

実は、渡航先の政府機関(日本の動物検疫所に該当する機関)から発行された「検査証明書」があれば、家畜への伝染病を広げるリスクがない物に限り、持ち込みが許可されるケースがあります。

具体的には、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの一部の肉製品がこれに該当します。

植物に関しても、日本への持ち込みには現地の政府機関が発行した検査証明書が必要です。

ただし、現地のお土産物店や空港売店などでも、“検査証明書のような物”がついた商品(実際は、正規の検査証明書ではない)が販売されているケースも多いので、くれぐれも注意しましょう。

安易に信用せず、ご自身でしっかり確認することが大切です。

「ちょっとくらいなら……」という甘い考えは禁物!

到着地空港の係員から悪質だと判断された場合には、警察への通報もあり、実際に逮捕される人もいます。

「ちょっとくらいなら……」という甘い考えは捨てて、日本の動植物を守るために検疫に協力する姿勢が大切です。

「これはお土産として日本に持ち込めるのかな?」など、検疫に関して不明点がある場合は、農林水産省のこちらのサイトなども参考になさってください。
参考:農林水産省 特集「旅先のお土産も注意!肉や果物などの持ち込み 空港の手順」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2311/spe1_02.html

楽しい海外旅行の思い出を台無しにしないためにも、検疫のルールをしっかりと理解しておきましょう。

それでは、楽しい空の旅を!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。