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「俺は年上やぞ!」看護師を厳しく叱り続ける患者さん…思わぬ人物からの“一喝”に看護師たち喝采!

  • 2025.6.18
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

皆さん、こんにちは!現役看護師のsaoriと申します。

毎日を過ごす中で「上下関係に厳しい人」「礼儀作法に厳しい人」に遭遇したことはありませんか?もちろん礼儀作法は大切ですが、何事も度がすぎると周囲を困らせてしまうこともあります。

今回は、私が病棟看護師として働いている時に出会った「上下関係にこだわりすぎる患者さん」のお話を紹介します。

他の部署から転棟してきた患者さんは「あること」にとても厳しい人だった

ある日、いつものように日勤で働いていると、他の部署からAさんという患者さんが転棟してこられました。

Aさんが入室したのは4人部屋。もう3人の患者さんがすでに入室されているお部屋でした。

交代の看護師への申し送り(引き継ぎの際に伝達すること)では、普段は、入院となった経緯や入院してからの流れ、何の点滴やお薬を投与しているかを伝えます。

しかしAさんについての申し送りでは「礼儀作法にすごく厳しい、独り言や少しでもため口を使うとすごく怒られるので気をつけてくださいね」といった内容が伝えられました。

その時点で「ん?少しやっかいそうだな…」と感じた私。その直感は的中してしまいました。

申し送りを終え、体温や血圧を測定するためにAさんのもとへ。会話の中で「うんうん、そうですね」と相槌を打った途端、Aさんから、

俺は年上やぞ!『うんうん』じゃなくて、『はい』やろ!

と、他の患者さんがいる大部屋であることも関係なしに𠮟責されたのです。

その瞬間「さっき申し送りで言っていた礼儀作法に厳しい人というのはこのことか…」と悟った私。謝罪すると、Aさんは「もう本当に…!」と怒りながらも、許してくれました。

急患のために部屋移動をお願いすると…

もはやAさんが怒ることは日常茶飯事。「『はい』は、もっと俺に聞こえるぐらいに元気よく!」「話を聞く時は俺の目線に合わせてひざまずけ!」など、まるで粗探しをしているかのように小さなことでも怒る日々が続いていました。

「自分の対応でまた怒らせてしまうのでは」と思って上手く対応できないと落ち込む子がいたり、委縮して返事が小さくなってしまう新人看護師もいるくらいでした。

そんなある日、その部屋に急患が来ることになったため、Aさんにも部屋移動をお願いすることになりました。

救急病院で急患がひっきりなしに来るため、ベッド調整で急遽部屋を移動してもらうことが日常茶飯事。もちろん病棟に来た時点で、部屋の移動がある可能性については、すべての患者さんにあらかじめ説明しています。

Aさんに「今から急患が来るため部屋移動をお願いしたい」とお伝えしたのですが、「前日とか前もって言うのが当たり前」「急に言われても困る」などと言って、拒否されてしまいました。

すると、それを聞いていた同じ部屋のとても温厚で優しい患者さんが、

いつもそうやって怒ってるけど、そんなにあんたは偉いんか!そんなに怒ると看護師さんも委縮するやろ!

と、指摘してくれたのです。

まさか患者という、同じ状況の人から怒られるとは思ってもみなかったのでしょう。Aさんは鳩が豆鉄砲を食ったように、びっくりしていました。

そして「えらいすまんかったな…」と看護師にも謝罪してくれたのです。

患者さんは反省し、看護師に叱責することがなくなった

それからというもの、Aさんはすっかり丸くなり看護師を叱責することはなくなり、看護師間でもストレスが緩和されました。

上司も「Aさんは看護師に対して少し求めすぎだね。部下の子達のメンタルを守るためにも、私たち上がもっと早く対応するべきだったね」と反省していました。

クレーム対応の大事さを痛感した

どの職業にもクレームはつきものです。真摯に対応することは大切ですが、無理難題を言うお客さんにすべて「YES」と言うことは、スタッフや会社のためにもなりません。

同じクレーム繰り返さないためにも、日頃から「こういうことがあった」ということをスタッフ全員周知し、報連相をしていくことが大事だなと思った出来事でした。



ライター:saori
2011年に正看護師を取得し、急性期病院と施設内訪問看護を経験。現在は子どもに関わる仕事に従事中。看護師×webライターとして活動中。「言葉」で人を救いたい!と、心に響くような発信を意識しています。3人の子どもを育てながら働くパワフルママ。