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震災で壊れた自転車を押して歩いていたら…「必要かと思って」おじさんの“神対応”に、30年経った今も「ありがとう」

  • 2025.6.19
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災から30年。多くの人が困難な状況に直面する中で、人々の温かさや助け合いの精神に触れた体験を持つ方も少なくないでしょう。

今回は、50代女性のAさん(仮名)が震災当時に体験した心温まる出来事について紹介します。

地震で壊れた自転車、修理先が分からず困っていた時に…

阪神淡路大震災が発生した1995年1月、私は三重県から就職で兵庫県内の病院の職員寮で一人暮らしをしていました。

車の免許は持っていたのですが、田舎者が慣れない街で車を運転する自信はなく、通販で自転車を購入し、買い出しなどは自転車に乗って出掛けていました。

ところが、その自転車があの地震で壁に打ち付けられたのか、ベルが壊れ、ハンドルが歪んでしまったのです。

一人暮らしをして3年目でしたが、土地勘がなく今のように生活の中で利用できるネットもなく、自転車をどこで修理してもらえるかも分かりませんでした。

地震から暫くして、ハンドルが歪んだ自転車を押して、スーパーへ食料品の買い出しに出かけました。そのスーパーの駐車場で、少し脚の不自由なおじさんに声をかけられました。

話を聞いてみると、その方は街の自転車屋さんだそうですが、「店にいても誰も来ないから、スーパーなら必要としてくれる人に気づいてもらえるかもしれない」と思って、修理道具などを持ってスーパーの駐車場の片隅に待機してくれていたそうです。

そこへ、自転車を押して歩いている私を見かけて声をかけたとのこと。

おじさんは私のハンドルの歪みを直し、ベルを新品に交換して、他も壊れていないかチェックしてくれました。そしてなんと、料金はベルの実費代のみにしてくださったのです。

その自転車は、私の勤務先の病院の先生に貸しました。先生は、道路が通行止めになった影響で、市外から車で通勤できなくなってしまったからです。自転車のおかげで、先生は休まず遅刻もせずに病院に通勤することができました。

あの時の自転車屋さんのおじさん、スーパーの駐車場で自転車の“救護所”のような役割をしてくださり、ありがとうございました。

結局どこの自転車屋さんだったのかは分かりませんが、地震から30年経った今も、その自転車は我が家で活躍しています。

困った人を見つけて手を差し伸べてくれた優しさ

震災という非常事態の中で、自分の店が機能しなくなった状況でも、困っている人の役に立とうと駐車場で待機してくれていた自転車屋さん。この行動には、他者への思いやりが感じられますね。

Aさんが自転車を押して歩いている姿を見て声をかけ、丁寧に修理してくれただけでなく、実費のみという良心的な対応。その自転車がその後、通勤手段を失った病院の先生の役にも立ったというのは、一つの善意が次の善意を生み出した美しいエピソードといえるでしょう。

震災から30年が経った今でも、その自転車が現役で活躍しているということは、お人柄が素晴らしいだけでなく、修理の腕前も確かだったのでしょうね。

災害時には多くの人が困難に直面しますが、そんな中でも他者への思いやりを忘れない人がいる。その温かさが、時を経ても色あせることなく心に残り続けているのですね。


※本記事では読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。

アンケート実施日:2025年6月14日
投稿方法:TRILL 募集フォームより
投稿者:50代女性・会社員