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「2万円を渡されて…」深夜の酔った男性客に20代女性タクシードライバーが言われ“驚いた一言”

  • 2025.5.20
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写真:photoAC(イメージ)

タクシー乗客は千差万別です。

中には運転席から思わず構えてしまうような第一印象の方もいれば、逆に意外な一面を見せてくれる人もいるといいます。

今回ご紹介するのは、東海地方で乗務する20代の女性タクシードライバーであるAさんが、乗務3年目に体験した忘れられない深夜の乗客との出来事です。

タクシーのボンネットを叩く酔った男性客

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ChatGPTにてTRILL作成(イメージ)

これは、私が深夜のお客様にまだ慣れていなかった頃の話です。

深夜の乗務でドキドキしながら車を走らせていたある日、23時ごろにスナックから呼び出しが入りました。

現地に着いてお店に声をかけると、「ちょっと待ってて」とのことだったので、車に戻って待機していました。

左後ろのお店の扉を気にしながら10分ほど待っていると、突然“バンッ!”という音がして、ボンネットを叩かれたんです。思わずビックリして前を向くと、60代くらいの男性が立っていました。泥酔ではないけれど、明らかに酔っている感じでした。

「タクシーを呼ばれた方ですか?」と声をかけたら、「そうそうー」と軽い感じで答えられて。行き先を尋ねると「どうしよっかなー、俺バカだからさ〜、◯◯駅まで行こうかな〜」って。いや、そこ、50キロも先ですよと…。

困惑した私は「かなりメーター回っちゃいますが大丈夫ですか?」と聞きました。

するとお客様は「おぅ、金は持ってるから大丈夫だよー。早く出してー。俺バカだから◯◯まで行っちゃうだよー」と言ったのです。

バイク談義で意気投合→驚きのサービス

正直、第一印象は最悪でした。

そのため、車中でのコミュニケーションは道の確認だけにとどめようと思っていました。

しかし、走ってるうちに、その道が昔バイクでよく走ってた道だったらしく、そこからバイクの話で一気に盛り上がったのです。ちなみに私自身もバイクに乗るので、まさかそんな共通点があるとは思わず道中はバイクの話で盛り上がりました。

そして、1時間半ほど走って◯◯駅に到着。メーターは15,000円ほどだったのですが「楽しかったからこれでいいよ〜、ありがとな!」って、2万円をポンと渡されました。

「では、おつりが4千と…」と返そうとしたら「それは運転手さんとっといてー!楽しかったからそのお礼!」といってチップとしてくれたのです。大きな額のチップは初めてだったので、本当に受け取ってよいものかを一度営業所に確認しました。

すると「お客さんの好意だから、受け取って大丈夫だよ」と言っていただいたため、ありがたく受け取りました。

最後には「気をつけて帰れよ〜」と言い上機嫌で降りて次のお店に消えていきました。

第一印象だけではわからない

ボンネットを叩くという少々乱暴な登場でAさんに警戒心を抱かせたこの男性でしたが、実は気さくで話好き、そして律儀に感謝を示してくれる一面を持っていたのです。

夜のタクシーには、時にこうした“人間味あるギャップ”に満ちた出会いがあるのかもしれません。

運転手と乗客、交わる時間は人生においては短いですが、その中で交わされる会話の中に人となりや人生の片鱗が垣間見える瞬間――。それこそが、タクシー乗務という仕事の奥深さかもしれませんね。



《取材協力》
現役女性タクシードライバー・Aさん
東海地方で2022年から昼勤のタクシードライバーとして勤務。夫もタクシードライバー。タクシードライバーとしてのモットーは「その場にあった接客を」。好きな道路は国道1号線。

※サムネイルおよび記事内の画像はイメージです。