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乗客「何をしようと俺の勝手だ!」酔った男性が起こした“機内で最も危険な行為”…CAも戦慄した“想像を超える事態”とは?

  • 2025.4.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

客室乗務員は快適で安全な空の旅をお過ごしいただくために、常に五感を研ぎ澄ませています。小さな異変も見逃さないよう、アンテナを張り巡らせている......といっても過言ではありません。
しかし、華やかな空の旅の裏側では、ときに信じられないような出来事がおこるもの。
そこで今回は、筆者でもある元国際線CAの私が実際に遭遇した、衝撃的な結末を迎えた機内迷惑行為のエピソードをご紹介します。

陽気なお客様の機内迷惑行為のはじまり

「これから海外出張で、大きな商談があるんだ」と、お食事とお酒を召し上がりながら明るく話される男性のお客様がいらっしゃいました。

ところが、食後も次々とアルコールを飲まれていたため、他の客室乗務員にも「少し飲み過ぎなようなので注意しましょう」と情報共有することに。

「ペースが少々お早いようですが、ご体調は大丈夫ですか?」と飲み過ぎであることをやんわりお伝えしつつ、チェイサーとしてお水を提供したりウィスキーの水割りを薄めに作ったり、できる限りの対応を試みました。

それでもお客様の飲酒ペースは落ちることなく、次第に酔いが深まっている様子が見受けられます。最終的には苦渋の決断として、アルコールの追加提供をお断りすることになりました。

そして、アルコールの提供をお断りするとそれまでの和やかな雰囲気から一変、「俺はビジネスクラスに乗っている客だぞ!酒を出さないなんておかしいだろ!」と怒りを露わに。

もちろんすぐにはご理解いただけませんでしたが、「アルコールは提供できない」という客室乗務員の強い姿勢に、最終的にはお客様も諦めざるを得なかったようです。

お酒からタバコへ......お客様の機内迷惑行為とCAの後悔

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「これで一件落着だろうか......」と安堵していた矢先です。

鼻先に漂うかすかな煙の匂いに気づきキッチンのカーテンを開けると、例のお客様が座席でタバコを吸われている姿が目に飛び込んできました。

「お客様、機内は禁煙でございます!」と厳しめの口調でお伝えし、どうにかタバコの火を消していただくのに必死でした。おそらくこの頃には、相当にお酒の酔いが回っておられたのでしょう。

お客様の飲酒ペースを適切にコントロールできなかったことが、これらのトラブルを引き起こした要因の一つであることはいうまでもありません。今でも深く反省するとともに、「もう少し、先手で対応できていたら......」と後悔しています。

「暗闇に光?」CAが目を疑った光景とは......

夜間飛行となり客室の照明も落とされ例のお客様もウトウトされる時間が増えて、客室内に静寂が戻りつつあると胸を撫で下ろしているときでした。

暗闇の中を巡回していると、チカチカと何かが光っているのです。目を凝らしてみると、先ほどのお客様がライターの火をつけたり、消したりを繰り返しているではありませんか。

すぐに「お客様、危険ですのでおやめください!」とお声がけしましたが、「うるさい!何をしようと俺の勝手だ!」と怒りがヒートアップするばかりか、手からライターを離そうとしません。

機内で火を扱うことは極めて危険な行為であり、安全運航を脅かす事態に発展することが容易に考えられます。万が一、機内で火災が発生した場合、大惨事は免れません。

この危険行為を阻止するために、お客様がどんなに暴言を吐かれても、私は必死でお客様の手からライターを奪い取りました。

航行中の最高責任者である機長からの警告!

この緊急事態は、直ちに機長に報告されました。

航空機の機長はPIC(Pilot in Command)とも呼ばれ、航行中の最高責任者であり、機内の安全に関する絶対的な権限を持っています。安全を脅かす行為をした乗客に対しては、身体の拘束や降機を命じることも認められているのです。

今回のケースでは、危険行為をやめなければ身体の拘束や、現地警察への引き渡しがある旨を説明した警告が発せられる事態となりました。

しかしながら、機長からの警告もむなしくお客様の騒ぎが収まることなく「安全阻害行為」と判断され、規定に基づき現地警察へ事態を連絡することとなったのです。

衝撃!!到着後に待っていたのは......想像を絶する逮捕劇

無事に着陸して飛行機のドアが開いた瞬間、私たちの目に飛び込んできたのは屈強な現地警察が数名で待ち構えている姿でした。

そして、例のお客様が機内から一歩足を踏み出すとほんの数秒で床に押し伏せられた上に、後ろ手に手錠がかけられてしまったのです。

私も初めて目にする映画のワンシーンのような衝撃的な光景に、全身が硬直するのを感じるほどでした。

突然の状況にお客様は大きな声をあげて抵抗しましたが、警察官によってすぐに連行されてしまったのです。

「お客様の海外出張と商談はどうなってしまうのだろうか......」と、なんともいえない重苦しい気持ちになったことを今でも忘れられません。

機内迷惑行為とは?

現在、航空法第73条によって機内での機内迷惑行為(安全阻害行為)が厳しく禁止されており、具体的には下記のような行為が挙げられます。

  • 正当な理由なしで機内ドアを開閉すること
  • トイレで喫煙すること
  • 乗務員の職務執行を妨げること
  • 航空機内の秩序や規律の維持に支障を及ぼすこと
  • 運航の安全に支障きたす恐れのある携帯電話や電子機器を、正当な理由なく作動させること
  • シートベルトを正しく装着しないこと
  • 離着陸時に座席の背もたれやテーブル、フットレストなどを所定の位置に戻さないこと
  • 脱出時の妨げとなる荷物を、通路や非常口座席に置くこと など

参照:航空法第 73 条の 4 第 5 項関係参照条文

今回のエピソードは、まさに航空機内における重篤な安全阻害行為に当てはまるケースだったといえるでしょう。

人生を狂わせることもある機内迷惑行為

後日談として、このお客様は一晩勾留されたのち、翌日の日本行き便で強制送還になったとのことです。その後の海外出張や商談がどうなったかは、誰も知る由がありません......。

今回の事例から、少しの気の緩みや立ち振る舞いで人生を大きく狂わせてしまうこともある、という事実を目の当たりにしました。自戒の念を込めて、この出来事を教訓として心に深く刻んでおきたいと思っています。

機内と地上とでは気圧や酸素濃度が異なることから、少量のアルコールで酔いやすくなります。空の上でのお酒は、飲み過ぎに注意してお楽しみくださいね。

今回ご紹介したエピソードが、改めて機内での飲酒マナーについて考えるきっかけになれば幸いです。

それでは、素敵な空の旅を!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、日々記事を執筆中。