9で割る割り算には、簡単に答えを出す方法があります。この方法を使えば、今回の問題のような四桁の割り算も暗算できますよ。
どのような方法か気になる人は、ぜひチャレンジしてみてください。
問題
次の計算を暗算でしなさい。余りがある場合は、余りも求めなさい。
2025÷9
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「225(余りなし)」です。
2025は9の倍数なので、余りなく割り切ることができます。とはいえ、答えを10秒以内に暗算するのはなかなか難しそうですよね。
どのような暗算方法を使えばよかったのかは、次の「ポイント」で確認できますよ。
ポイント
今回の問題では、「各桁の数字を順番に足す」という暗算方法がポイントになります。
具体的な手順は、次のようになります。
<四桁の数1000a+100b+10c+d÷9の暗算方法>
※aは千の位、bは百の位、cは十の位、dは一の位の数を表す(aは1以上の整数、b,c,dは0以上の整数)
以下の手順で、答えの各桁と余りの数を計算します。
手順1:答えの一番大きい位(ここでは百の位)=a
手順2:答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=a+b
手順3:答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=a+b+c
手順4:余り=a+b+c+d
※手順1〜3の計算の途中で答えが10以上になった場合は、繰り上げる。
※手順4で余りが9以上になった場合は、一の位に9の個数分の数を繰り上げる。
さっそく、この暗算方法を利用して、今回の問題を計算してみましょう。
<2025÷9の暗算方法>
1.答えの一番大きい位(ここでは百の位)=2
2.答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=2+0=2
3.答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=2+0+2=4
4.余り=2+0+2+5=9(9以上)9÷9=1余り0なので、以下のように答えの一の位に1を繰り上げる。
答えの一の位4に1を繰り上げる→5
余りは0になる。
答え:225(余りなし)
これで簡単に答えを出せたのではないでしょうか。
この暗算方法が成り立つ理由
さて、この暗算方法はどうして成り立つのでしょうか。
四桁の数を表す1000a+100b+10c+dという式を、9の倍数が現れるように変形していくとその理由が分かります。変形する部分を強調した太字部分に注目してください。
1000a+100b+10c+d
=900a+100a+100b+10c+d ←1000aを900aと100aに分解
=900a+100(a+b)+10c+d
=900a+90(a+b)+10(a+b)+10c+d ←100(a+b)を90(a+b)と10(a+b)に分解
=900a+90(a+b)+10(a+b+c)+d
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c)+d ←10(a+b+c)を9(a+b+c)と(a+b+c)に分解
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)
「9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)」を9で割ると、答えは「100a+10(a+b)+(a+b+c)」になり、余りが(a+b+c+d)になります。これは、先に紹介した暗算手順と一致しますね。
繰り上げについて
ここで、aや「a+b」、「a+b+c」は答えの各位の数を表しているので、10以上になったら繰り上げが起こることになります。
また、余りとなるパートの「a+b+c+d」が9以上だった場合、「a+b+c+d=9×e+f(e≧1、0≦f<9)」とすると次のように変形ができます(e,fは整数)。
9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+9×e+f(e≧1、0≦f<9)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c+e)}+f
暗算の手順4で余りが9以上になったときの繰り上がりも、説明ができますね。
まとめ
今回は、9で割る割り算の暗算方法について紹介しました。各桁を足していくだけで答えが出るので、筆算を使うよりずいぶん計算が楽になるはずです。
また、手順4に注目すると「各桁の足し算(a+b+c+d)が9の倍数であれば、その数は9の倍数である」ことが言えるのも分かります。この9の倍数となる数の特徴はさまざまな場面でよく使われますので、ついでに覚えておくとよいでしょう。
なお、このような暗算方法はインド式計算法の一種として知られています。インド式計算法に登場する他の暗算方法についても調べてみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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