一桁ならまだしも、二桁の掛け算や割り算が混じっている長い式を暗算するのはなかなか難しいものです。しかし、式の特徴をよくよく観察すれば、簡単に計算するためのポイントが見えてくるかもしれませんよ。
さて、今回の問題、あなたならどうやって計算しますか?
問題
次の計算をしなさい。
23+23+23×23÷23
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「69」です。
時間内に暗算できましたか?
この問題を10秒以内に計算するにはどうしたらよいのか、次の「ポイント」で確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「計算の回数を極力減らすこと」です。
まず、この問題はどこから計算すればよいのか考えてみましょう。
23+23+23×23÷23
四則(足し算・引き算・掛け算・割り算)が混じった式では、「掛け算・割り算」を「足し算・引き算」よりも先に計算するというルールがあります(同じ優先度の計算がある場合は、左にあるものから先に計算します)。
つまり、今回の式では「23×23」から計算するのが正解です。
23+23+23×23÷23
ただし、23×23を暗算でスピーディーに計算するのは難しいですね。そこで、直後の「÷23」に注目してください。以下のように、掛け算の直後に「掛ける数(B)」で割った場合、その答えは「掛けられる数(A)」になるからです。
A×B÷B=A
例えば、100円を5人から集めて再び5人(掛ける数)に分けると、一人当たりの金額は100円(掛けられる数)になるのは当然ですね(100×5÷5=100)。
今回の式(23×23÷23)もこのパターンに当てはまるので、計算するまでもなく答えは「掛けられる数の23」になると分かるのです(※)。
23+23+23×23÷23
=23+23+23
※A×B÷A=Bも成り立ちます。今回は掛けられる数も23なので、「掛け算の直後に掛けられる数23で割ったので、答えは掛ける数23になった」と考えてもOKです。
これで面倒そうな二桁の掛け算、割り算の計算を回避できました。
後は足し算だけです。地道に一つずつ足していっても良いのですが、より計算を簡略化したいなら次のように計算しましょう。
23+23+23
=23×3
=69
「23+23+23」は23を三回足している式です。同じ数の足し算は掛け算として計算した方が効率が良いですね。「23×3」として計算すると、すぐに答えを出せますよ。
まとめ
今回は、「掛け算の直後に掛ける数で割った場合、その答えは掛けられる数になる」「同じ数の足し算は掛け算にできる」という二つの視点から、計算時間を節約しました。
これは、式の中に23が繰り返し登場するからです。このように同じ数が何度も出てくる式は、計算の工夫がしやすいですよ。
他にも計算の工夫がカギになる問題を用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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