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「何人って言われたら正直わからない」ロシア生まれ日本育ちの2人が語る、自身のアイデンティティとは…?

  • 2025.1.2

東京都内で、さまざまな国の人が安心して暮らせる国際交流シェアハウス“サムフラハウス”。そこで暮らす仲間たちが、外国人から見た“日本の魅力”や、海外の現状などをYouTubeにアップしています。チャンネル登録者数は33万人(2024/12/16時点)を誇ります。

今回は、YouTubeチャンネル『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』にある数多くの人気動画の中から『外国人が完全に日本人化するとこうなります?』をピックアップ!80万回以上再生(2024/12/16時点)されているこの動画では、ロシア生まれ・日本育ちのブラスさんとアラさんが“アイデンティティ”ついて話す様子を紹介しています。

ロシア生まれ・日本育ちだと、アイデンティティとなる国は…?

今回動画に登場するのは、ロシア生まれ・日本育ちのブラスさんとアラさん。生まれた国と育った国が異なる2人が、自身のアイデンティティについて話します。

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出典:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』(YouTube)

ブラスさんは6歳の時に日本へやって来たのだそう。以来、ロシアには夏休みにおじいちゃん、おばあちゃんへ会いに行く程度しか訪れていなかったため「日本的な感覚が圧倒的に強い」と言います。

ブラスさんのお母さんは、ロシア語を忘れないよう、家の中ではロシア語で会話してくれたり、ロシアの映画を取り寄せて見せてくれたりしていたのだとか。そのおかげで、ブラスさんはロシアの専門家よりもロシアについて詳しいと自負しており「ロシアに詳しい日本人みたいな感じかな」と自己分析。アイデンティティは日本人だと言います。

一方アラさんは、10歳の頃に日本に来たそうで、ロシアでの暮らしもなんとなく覚えているそうです。日本での生活の方が長くなり「感覚はやっぱり日本寄りだけど、何人って言われたら正直わからない」と、現状ではまだ曖昧に感じているようです。

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出典:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』(YouTube)

ブラスさんは、第一言語が日本語であることがアイデンティティに大きく影響していると言います。「ベッドの中に入って『宇宙ってどのくらい広いんやろう?』とか『私の人生ってどう今後生きて行くんやろう』とか『死ぬ時ってどんな感じやろう』とか、それを考える時の言葉が母語やと思っている」と考えているそうです。

それを聞いたアラさんは「そこは一緒。夢は日本語で見るし、頭の中で『え~と300円足りひん』と言ってるのも日本語になっている」と納得しています。

ブラスさんの持論では、母国語は生まれた時の国の言葉で、頭の中などで何か考える時に使う言葉が母語。母国語と母語は違うものだそうで「日本語を喋ることによって日本的な要素が加わっていく」と感じているのだとか。

さらに、ブラスさんは「自分が表現したい言葉の母語のレベルが高ければ高い方が良い」と言います。母語のレベルが高ければ、自分の気持ちも、自分がなぜこのような気持ちになっているのかも、論理的に理解できると考えているそうです。

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出典:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』(YouTube)

そのようなブラスさんの考えを受け、アラさんは自身の経験談を話します。10歳の時に日本を訪れたアラさんは、ある程度ロシア語が身に付いていたそう。

来日してからは、日本語を覚えながら学校の勉強にも追いつこうと必死で努力しました。しかし、結果として日本語もロシア語もうまく使えないという、“母語がぐちゃぐちゃ”の状態になってしまったと言います。自分の伝えたいことを自分でも理解できなくなり、苦しんだそうです。

アラさんの経験談を聞いたブラスさんは「(日本では)子供の時から英語を学ぶのは大事やって言われてるけど、だからといって母語として今後使っていく言葉をおろそかには絶対したらあかん」と考えを述べました。

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出典:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』(YouTube)

アイデンティティは日本人だと自身では感じているブラスさんですが、見た目は“外国人”なので「100%日本の人と全く同じ感じではない」と言います。恩恵を受けることもありますが、家が借りにくかったり、壁を作られてしまったりなど、外国人として扱われるため苦労することが多いそうです。

「いつか日本が外国人やからって別に得する部分がなくなったら、外国人やからって損する部分もなくなる国にはなるやろうなと思っている」と続けます。日本での今の自分の立ち位置は理想の形ではないとしつつも「私という人をちゃんと知っていただいたら、どんどんみんな変わっていく」と話しました。

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出典:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】』(YouTube)

動画にはたくさんのコメントが!

この動画のコメント欄には以下のようなコメントが寄せられていました。母語と母国語の違いや、重要性を感じた人が多いようです。

語学力よりも中身の知識量が大事なんだと思った。
母語のレベルが上がると頭の中で考えた時に自分の感情への理解が深まる、わかります。
日本の子供たちは幼児の時に英語の勉強より、母国語である日本語の勉強に力を入れるべきという忠告に共感します。
母国と母国語を使い分けているところとか、さすがだなあと思いました。

今回の動画では、生まれた国と育った国が異なる外国人の経験談から、自身のアイデンティティを確立するには母語が大切だと学ぶことができました。


動画:『外国人が完全に日本人化するとこうなります?
協力:『サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】

サムライフラッグ【SAMURAI CHANNEL】
東京都内で、さまざまな国の人が安心して暮らせることを目的とした国際交流シェアハウス“サムフラハウス”。イタリア人のテシさんなど、シェアハウスの住人や友人たちが立ち上げたYouTubeチャンネルに多くの動画をアップしています。外国人から見た“日本の魅力”や海外の現状などを紹介中です。

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。