二乗とは、同じ数どうしを掛けることです。3×3のような一桁の二乗はすぐに計算できますが、二桁の二乗は筆算を使わないと難しそうですよね。
しかし、ある方法を使えば暗算でも計算が可能です。今回の問題では、二桁の二乗の暗算方法をご紹介します。
問題
次の計算をしなさい。
63×63
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「3969」です。
答えは大きな数になりましたが、どうすれば暗算できるのでしょうか。
次の「ポイント」で確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「二乗する数の一の位を0の形に変形すること」です。
まず、具体的な暗算方法を確認してみましょう。
63×63を暗算で簡単に計算するには、次の三つを計算して足し合わせましょう。
<暗算方法>
1.63の一の位を0にして掛けた結果 60×60=3600
2.60×3(63を60と3に分解して掛けたもの)を二倍した結果 60×3×2=360
3.一の位の3同士を掛けた結果 3×3=9
1~3の合計は「3600+360+9=3969」となり、正解と一致するのが分かります。
では、どうしてこのような方法で二乗の結果が算出できるのでしょうか。
問題の式は「63×63」ですが、これが「60×60」という形をしていたら、計算はずっと楽になりますよね。そこで、次のように変形を行い60×60の部分を作り出します。
63×63
=(60+3)×(60+3)
ここで以下の「分配法則」を使います。
<分配法則>
a×(b+c)=a×b+a×c
(c+d)×e=c×e+d×e
a=(60+3)と考えて、()の中を展開しましょう。
(60+3)×(60+3) →最初の(60+3)をaと考えて次の(60+3)の中とバラバラに掛けていく
=(60+3)×60+(60+3)×3
=60×60+3×60+60×3+3×3
=60×60+2×(3×60)+3×3
式の中に暗算方法で紹介した1~3の計算部分が登場しているのが分かります。
このように二桁の数の一の位が0になる掛け算で式が構成されるように工夫をすると、二桁×二桁の計算がとても楽になります。
まとめ
今回の問題で紹介した暗算方法は、どのような二桁の数の二乗にも使えます。
10a+b(十の位がa、一の位がbの二桁の数)の二乗を暗算する方法
- 10a+bの一の位の数を取り除いて掛け合わせた結果 a0×a0
- 10a×b(10a+bを10aとbに分解して掛けたもの)を二倍した結果 10a×b×2
- 一の位のb同士を掛けた結果 b×b
色々な数の二乗を計算して、この方法が使えることを試してみましょう。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP)
「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。
類似の数学問題にもう1問挑戦!