日常生活ではあまりお目にかからない負の数。だからこそ、計算方法を忘れてしまっている大人は多いのではないでしょうか。
今回は、負の数の掛け算と割り算をする問題を用意しました。あなたは正しく計算できるでしょうか?
問題
次の計算をしなさい。
−10×(−10)÷(−5)
解答
正解は、「−20」です。
答えが負の数になる理由は分かるでしょうか?
次の「ポイント」で、負の数の計算ルールを復習してみましょう。
ポイント
今回の問題のポイントは、「掛け算と割り算の答えの符号の付け方」です。
掛け算、割り算では、次のルールに従い、答えにマイナスの符号を付けるかどうかを決めます。
<マイナス符号の付け方ルール>
・同符号どうしの掛け算・割り算→答えは正の数になるので、マイナス符号を付けない
例:(+)×(+)=(+)、(−)×(−)=(+) ※割り算の場合も同様
・異符号どうしの掛け算・割り算→答えは負の数になるので、マイナス符号を付ける
例:(+)×(−)=(−)、(−)×(+)=(−) ※割り算の場合も同様
例えば、−5×(−5)は負の数どうしの掛け算、つまり同符号どうしの掛け算なので、答えにはマイナス符号を付けません。
−5×(−5)=25
一方、−5×5は、負の数×正の数で、異符号どうしの掛け算ですから、答えにはマイナス記号を付けます。
−5×5=−25
これを踏まえて、今回の問題を見てみましょう。
−10×(−10)÷(−5)
まずは冒頭の−10×(−10)ですが、「負の数×負の数」と同符号どうしの掛け算なので、答えは正の数の「100」になります。
−10×(−10)÷(−5)
=100÷(−5)
次の割り算は「正の数÷負の数」で、異符号どうしの割り算です。よって、答えは負の数になります。
100÷(−5)
=−20
これで答えを出せました。
おまけ:登場する負の数の個数で答えの符号を決める方法
実はこの問題、一目見ただけで答えの符号がマイナスだと分かります。
先に登場した同符号どうし、異符号どうしの掛け算・割り算のルールを拡張すると、次のようになります。
・掛け算・割り算内の負の数が偶数個→答えは正の数
・掛け算・割り算内の負の数が奇数個→答えは負の数
掛け算・割り算内の負の数が偶数個の場合、負の数が二つずつのペアになり、負の数が余ることはありません。「負の数×負の数」「負の数÷負の数」の計算式でペアを作れない負の数はないため、答えは必ず正の数になります。
一方で、掛け算・割り算内の負の数が奇数個の場合、「負の数×負の数」「負の数÷負の数」の計算式でペアを作れない負の数が必ず一つ存在するため、どこかで正の数と負の数(異符号どうし)の計算が発生します。よって、答えは必ず負の数になります。
今回の式には、負の数が三つ(奇数個)含まれているため、答えは必ず負の数になるのです。
よって、次のように計算することも可能です。
−10×(−10)÷(−5)
=−(10×10÷5) →計算の前にマイナス符号をつけてしまう
=−20
まとめ
今回は、負の数の掛け算・割り算に挑戦しました。
負の数の掛け算と割り算では、異符号どうしの計算は負の数に、同符号どうしの計算は正の数になります。
他にも負の数の計算問題に挑戦してみましょう。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
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