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2024年大躍進…イケメン若手俳優の"演技の幅"に驚愕…『おむすび』『六人の嘘つきな大学生』などで見せた異なる魅力

  • 2024.12.28
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(C)SANKEI

2024年、特に下半期は佐野勇斗を毎日のように見ていたような気がする。朝ドラで、連続ドラマで、映画館で、はたまた駅のポスターで。世代交代の激しい、群雄割拠とも言える男性俳優の中で、間違いなく今年躍進を遂げた一人と言えるだろう。

筆者が佐野をはっきりと認識したのは、彼が主演を務めたドラマ『おとなりに銀河』(NHK総合)でのことだった。2023年4月と少し遅めなのは認めるが、それ以前の映画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』や『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)シリーズ、『テッパチ!』(フジテレビ系)に出ていた人物と合致していった。特に『かぐや様は告らせたい』は、同じ生徒会の四宮かぐや(橋本環奈)と石上優(佐野勇斗)として、後の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合)での再共演に続いていくことになる。

『おむすび』で演じた“ヨン様”こと翔也は幅広い視聴者から愛されるキャラに

佐野が『おむすび』で演じているのは、結(橋本環奈)の恋人でメジャーリーガーを目指している四ツ木翔也。大阪の星河電器に就職し、社会人野球選手として夢を追うが、肩を負傷し野球選手としての道が閉ざされてしまう。結を幸せにできないと感じた翔也は別れを告げるものの、好きな人と今この瞬間を大切に生きていくこと、2人で一緒に幸せになることを互いに再確認し、約束のプロポーズをまさかの結から翔也が受けるというのが、2024年最後の放送での内容だ。

自分の夢に向かってまっすぐに突き進む熱い高校球児として登場した翔也は、野球一筋で生きてきた。その人生をかけて打ち込んできたものと向き合えなくなることへの挫折は、計り知れない。マウンドで結に怪我を打ち明けたシーンは、翔也として佐野が初めて見せた悔しさからの涙だった。飾らない純真さは翔也の魅力であるが、佐野本人も涙もろいところや嘘がつけないところが自分自身と似ていると認めている。佐野も日記に朝ドラ出演の夢を書いていたというエピソードも、翔也のサクセスロードマップと重なるところがある。

『マイダイアリー』『六人の嘘つきな大学生』では、朝ドラとは異なる芝居のギャップを発揮

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そんな『おむすび』と同時期に放送されていた『マイダイアリー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)でも、佐野はヒロインの恋人役を演じている。徳永広海(佐野勇斗)は、知識欲旺盛で理学部数学科の3年生という、言わば翔也とは真逆のキャラ。天真爛漫な翔也に対して、広海はどこか寂しさと優しさを帯びており、恩村優希(清原果耶)と時間を重ねていくごとに笑みが少しづつ増えていく、心の機微が丁寧に描かれている点もまた翔也とは対照的である。ただ、広海も好きなことになると早口になるところは、『おむすび』で言う“ギャル魂”を持ち合わせていると言えるだろう。ちなみに、『マイダイアリー』で共演の吉川愛とは、今年3月配信の主演ドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』(Amazon Prime Video)でいわゆる恋愛相手を演じており、かなり早いタイミングでの再共演となっている。佐野が演じる犬飼忠士(ハチ)は、例えば『おとなりに銀河』の久我一郎を彷彿とさせるほどに表情豊かで、若干のコメディー要素が入った作品ほど、佐野の芝居の真骨頂が発揮される気もしている。

さらに佐野は現在公開中の映画『六人の嘘つきな大学生』にも出演中。演じる九賀蒼太は、慶應義塾大学総合政策学部の学生で、冷静かつ的確なリーダーシップを執る存在。最終選考まで勝ち残ったほかの5人に最初に話しかけるのも九賀。そして、フェアを愛する人物。浜辺美波、赤楚衛二らが演じる就活生の嘘が暴かれていく、何段階にも物語が分かれている中で、最も振り幅の広い芝居が求められるのが、九賀なのは間違いないだろう。

映画に、フィルムコンサートに、全国ツアーと2025年も多忙なスケジュール

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破竹の勢いで出演作を増やしている佐野。彼にとって『おむすび』は、世間一般に認知を広げるターニングポイントの作品となるはずだ。その後で、彼がM!LKのメンバーだということも。M!LKは、結成10周年を記念した初のアリーナツアー『10th Anniversary M!LK ARENA TOUR 2024「I CAN DRINK!」』で11月にさいたまスーパーアリーナ公演を成功させており、佐野の個人での活躍は必ずM!LKとしての活動にも繋がっていく。

佐野は今後も2月に映画『劇場版 トリリオンゲーム』の公開、3月には主演を務める『『アラジン』イン・コンサート』の上演、4月には『M!LK CONCERT TOUR 2025 "M!X"』の開催が控えている状態。人生の日記を読み返すのはまだまだ先のことになりそうだ。


ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。