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5年前のヒット作品で当時22歳の美人女優が演じた"女子ウケゼロ"役に再注目!再び脚光を浴びる彼女の可能性に迫る

  • 2024.11.18

粘り強くひとつの物事に向き合い、倦まず弛まず前に進む人の姿に、フッと絆される瞬間がある。俳優・唐田えりかを取り巻く状況や世間の視線は、長らく手厳しいものが続いた。一度ついたイメージを拭い去ることは難しいが、それでも、彼女が長与千種を演じたNetflix『極悪女王』は、間違いなく代表作の一つとなるだろう。5年前にドラマ『凪のお暇』(TBS系列)で演じた市川円も、その凛とした涼しげな様子が再注目されている。

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(C)SANKEI

過去を思い出す?女子ウケゼロな役柄

黒木華主演のドラマ『凪のお暇』は、主人公・大島凪がとある出来事をきっかけにスッパリ会社を辞め、新しい土地で人生のリスタートを切る物語。

会社の人間関係に気を遣い、本心とは違っても空気を読んで発言を調整し、仲間はずれを恐れて24時間常にSNSを監視していた凪だったが、ある日、恋人の我聞慎二(高橋一生)が社内で声高に凪を貶めている現場に遭遇してしまい、過呼吸で倒れてしまう。

空気を読まねばやっていけないような職場環境、信じていたはずの人間関係が一瞬で瓦解する様、すべてから自分を解き放して一人の時間を持ち、紆余曲折ありつつも心を豊かに保つことを諦めず、人生を取り戻していく凪の姿に共感が集まったドラマだ。

唐田が本作で演じたのは、凪の元恋人・我聞の後輩として大阪から東京本社に異動してきた女性社員・市川円。いわゆる“女子アナ”然とした清楚なルックス、相手の立場や性別を問わず、何事にもにこやかにソツなく接する態度に、さっそく社内では「八方美人」「男に色目を使っている」と陰口が飛び交う。

視聴者として第三者の視点から見ていると、円が陥りそうになっているのは、そのまま凪が甘んじていたポジションである。仕事や人間関係を円滑にするため、ひたすら空気を読む潤滑油としての存在。凪も辟易としていた女性社員同士のコミュニケーションに対し、円も当初は距離感に戸惑う様子を見せる。

しかし、ともにタクシーに乗り込んだ我聞に「八方美人な人についてどう思うか」と問いかけ「八方ブスよりは良いんじゃない」と返ってきたのを聞くや否や、円の目が変わる。あえて凪と円の違いを挙げるとするなら、二人は同じ八方美人であることには変わりないが、そんな自身をどう捉えてもらっても構わない、と腹を括れるか・そうじゃないかで、進む道が分かれたとも言える。

その直後、円は我聞の左手にさりげなく自身の右手小指を絡ませ、積極的なアプローチに入る。清楚なルックスでありながら、自分の生き方にしたたかに突き進む円の佇まいは、凪とはまた違う示唆を視聴者に与える。

『ナミビアの砂漠』『極悪女王』で新境地

『凪のお暇』出演後、唐田の活動は下火になってしまう。しかし、2024年公開映画『ナミビアの砂漠』そしてNetflix配信ドラマ『極悪女王』で、自力のある俳優であることを着実にアピールした。

『ナミビアの砂漠』は山中瑶子監督、河合優実を主演に迎えた、答えも正解も不鮮明な現代でたおやかに生きる女性を捉えた映画だ。唐田は、主人公・カナの住む部屋の隣室に暮らす謎めいた女性・遠山ひかりを演じている。ともすれば暗く塞ぎ込んでしまいそうな現代の空気に、ふとした光を投げ込むような涼やかさを伴っていた。

『極悪女王』では、80年代に活躍した女子プロレスラータッグであるクラッシュ・ギャルズの一人、長与千種を演じた唐田。特訓や減量を経て撮影に臨み、その気迫は画面に反映されている。全力で、全身で相手にぶつかっていき、血を流しても倒れても「勝利」に繋がる糸を掴んで離そうとしない迫力は、そのまま俳優・唐田えりかの再評価の礎になっている。

年齢で語れることは皆無だが、唐田の年齢は2024年時点で27歳。成長の余白、進化の余地の双方が残されている事実が、より彼女の可能性を予感させてやまない。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_