算数と数学にはさまざまな面で違いがあります。その一つが「負の数」を扱うかどうかです。
日常生活でもよく登場する正の数とは違い、負の数の計算はイメージしづらいという人も多いかもしれません。しかし、基本の計算ルールを思い出せば、負の数の計算も簡単にできます。
負の数だらけの今回の問題に、ぜひ挑戦してみてください。
問題
次の計算をしてください。
−10×(−10)÷(−10)
解答
正解は、「−10」です。
問題に登場する数字は−10ばかりでしたが、答えも−10になりました。
正しく計算できたでしょうか?
次の「ポイント」で計算の方法を解説していきますね。
ポイント
この問題のポイントは、「負の数の掛け算・割り算のルールを覚えること」です。
負の数が登場する掛け算と割り算をするときは、次の二つのルールを覚えておきましょう。
・同符号どうしの掛け算・割り算→答えは正の数になる
・異符号どうしの掛け算・割り算→答えは負の数になる
例えば、「−3×(−3)」は同符号どうしの掛け算(負の数×負の数)なので、答えは正の数「9」になります。
一方、「−6÷3」は異符号どうしの割り算(負の数÷正の数)なので、答えは負の数「−2」になります。
このルールを踏まえて、今回の問題を見てみましょう。
−10×(−10)÷(−10)
最初に、−10×(−10)を計算します。これは同符号どうしの掛け算なので、答えは正の数になります。
−10×(−10)÷(−10)
=100÷(−10)
次は、「正の数÷負の数」なので、異符号どうしの割り算になります。よって、答えは負の数になります。
100÷(−10)
=−10
これで答えを出せましたね。
別解
実はこの問題、負の数の計算方法が分からなくても、式の「ある特徴」に注目することで正解にたどりつけます。
その特徴とは、掛けた数と同じ数で割っていることです。
−10×(−10)÷(−10)
一般的に、ある数で掛けた直後に同じ数で割ると、掛け算がキャンセルされたような状態になります。
例えば、「3×2÷2」の答えは、3です。3に2を掛けた直後に2で割ったので、答えは掛け算する前の「3」に戻っています。
どうしてこのようになるのかについては、以下のように分数で考えると分かりやすいですよ。
3×2÷2
=(3×2)/2
=(3×1)/1 ←分子と分母を2で割って約分
=3
今回の問題でも、−10を掛けた直後に同じ−10で割っているので、答えは掛け算する前の「−10」になるのです。
まとめ
今回の問題では、負の数の掛け算・割り算に挑戦しました。
負の数の掛け算と割り算のルールは、「同符号どうしの掛け算・割り算は正の数になる」「異符号どうしの掛け算・割り算は負の数になる」という二点を抑えておけばOKです。
ただし、負の数の足し算・引き算になるとまたルールが異なってきます。負の数の計算ルールについて、もっとよく知りたいという人は、他の問題にも挑戦してみましょう。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
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