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米津玄師が“まさかの”逆オファー!本人も「全人類読んでください」と大絶賛のフィギュアアニメ

  • 2025.2.4
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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

オープニングは、アニメの顔だ。たった1分半ほどの尺の中に作品の魅力をぎゅっと詰め込み、私たちの心をつかみにくる。現在放送中のTVアニメ『メダリスト』のオープニング主題歌である米津玄師の「BOW AND ARROW」は、彼の高い解像度によってアニメの世界観を見事に表現。そして、楽曲を紐解いていくと『メダリスト』の主人公・結束いのりの“未来の姿”が見えてくるのだ。

パーカーの紐をつかむ成長途中のいのり

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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

いのりの好きなもののひとつがミミズだ。第2話では、初級のバッジテストを受ける直前、ミミズを探して安心するいのりの姿が描かれた。そんな彼女が「ミミズみたいで安心する」という理由でつかむようになったのが、コーチ・明浦路司(あけうらじつかさ)が着ているパーカーの紐だ。

いのりは、初級バッジテストの本番前にも司の紐をつかんでいた。第4話で描かれた初めての大会である名港杯の本番直前でも、緊張した面持ちでぎゅっと司の紐をつかむいのり。

「つかむ」という動作は、成長途中であるという意味を持っているように思う。赤ちゃんが人や家具などにつかまって自力で立とうするつかまり立ちがわかりやすいだろう。スケートを始めたての大半の人も、つるつるの氷の上で転ばないように壁をつかみながら練習するのではないだろうか。

「放す」のは成長した証

「BOW AND ARROW」の歌詞には、「見違えていく君の指から今 手を放す」というフレーズがある。オープニング映像でも、同じタイミングでパーカーの紐から手を放すカットが映し出される。

「つかむ」と「放す」は対になる言葉だ。そして、不安をまぎらわすようにパーカーの紐をつかんでいるいのりに対し、その紐を放すことは成長や自立を意味する。本番前に紐をつかまずとも緊張せず、すばらしい滑走ができたとき。その瞬間こそが、いのりが一人前の選手になったと言えるのではないだろうか。

「BOW AND ARROW」は、いのりを応援し見守る司の視点の楽曲だと受け取れる。「見違えていく君の指から今 手を放す」という歌詞も、フィギュアスケート選手としてたくましく成長したいのりをスケートリンクに送り出す司が想像できる。

一方で、パーカーの紐を放すカットがあることで、いのりの視点としても受け取れる。オープニング映像の補完もあり、「BOW AND ARROW」は司といのりを行き来するような楽曲になっているのだ。

本番前、まだ司のパーカーの紐をつかまないと緊張してしまういのり。しかし、きっとこれから彼女は挫折や成功を積み重ね、大きな成長を遂げていくのだろう。「BOW AND ARROW」は、誰もが見とれてしまうような美しい滑走を披露する未来のいのりの姿が見えてくるようだ。

「BOW AND ARROW」は原作ファンの米津にしか書けない

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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

主人公の未来の姿が思い浮かぶという、想像をかきたてるようなすばらしい楽曲をつくり上げた米津。彼は『メダリスト』の原作ファンであり、「できることなら曲を作らせて頂けないだろうか」と打診したのがきっかけで「BOW AND ARROW」が生まれた。

「とにかく素晴らしい漫画なので全人類読んでください」と熱いコメントを寄せている米津は、相当なファンなのだろう。大好きなものを布教したくなる気持ちは、米津も私たちも変わらない。その一面が、音楽以外にもイラストやダンスでも才能を発揮する米津からにじみ出る人間味になっており、親近感がわく。

「BOW AND ARROW」は、原作の大ファンである米津にしかつくれないような解像度の高い楽曲になっている。飛ばしてしまう人も少なくないオープニング。だが、毎回観てしまうオープニングに変えたのは、米津という一人のファンによる熱量のおかげではないだろうか。

メダリスト
ABEMAにて毎週木曜26時より無料放送
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/25-279
【(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari