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『地面師たち』で話題のおじいちゃん俳優 XやYouTubeに「コメント返信」をし続ける“深いワケ”

  • 2024.9.13
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Netflixシリーズ『地面師たち』©新庄耕/集英社

Netflixで独占配信中の大ヒットクライムサスペンスドラマNetflixシリーズ「地面師たち」(大根仁監督 / 全7話)。7月25日に配信開始した本作品だが、今なお勢いは留まることを知らずNetflix週間TOP10で日本だけでなくグローバルにおいてもTOP10入りを果たすなど、現時点で2024年もっとも話題の作品といっても過言ではない。

架空の不動産取引で買主である不動産会社から巨額の金を奪う集団、通称「地面師グループ」。交渉役の綾野剛、グループのリーダー役の豊川悦司、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、対する警察には池田エライザ、リリー・フランキー、など地上波では実現しなさそうな資金力のあるNetflixならではの豪華俳優陣が名を連ねる。

“イッキ見”や“即リピ”の視聴者が続出するなど彼らの演技に釘付けになったが、負けじと鮮烈な印象を残したキャラクターがいたのを覚えているだろうか。第1話に登場し、東京・恵比寿の一軒家の物件の売主・島崎健一になりすました老人(佐々木)である。

この役どころを演じたのが、五頭岳夫(ごず たけお)さんだ。第1話の本人確認シーンでの、五頭さんの演技はXでも大きな話題を呼んだ。御年76歳になる五頭さんはこのSNS“狂騒曲”に自ら飛び込み、視聴者であるフォロワーと積極的にコミュニケーションを取っている。そこで今回、五頭さんにXでのコミュニケーションについて聞いてみた。

「おれのやったことは間違ってなかったんだな」

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インタビューに笑顔で応える五頭さん(撮影 / 柴田愛子)

──『地面師たち』が配信後、大きな反響が五頭さんの元にも届いているかと思うのですが、実感している変化はありますか?

五頭岳夫(以下同) SNSで皆さんの反応を見させてもらっていると「おじいさん可愛い!」みたいな感想が多かったですね。僕が演じた佐々木はなりすまし役ですから、立ち位置としては“ワルモノ側”なんですけど、かわいそうで憎めないって声が多かったように思います。

僕としては、この作品の第1話は、第2話に繋げるバトンのようなものだと考えながら演じていました。大根(仁)監督が僕に当て書き(その役を演じる俳優をあらかじめ頭で決めたうえで、その後に脚本を書くこと)してくれた役だということにも注意しながら……。いや、それでも、まさかこれほど多くの方が一気見してくださるとは、思ってなかったですね。

 

──Xでは「ライフのほうが安いので」のシーン写真に合わせてセリフを変える大喜利を行う現象が発生しています。

そうそう(笑)。改めて『地面師たち』の反応のすごさに驚きましたが、あれを見たときには嬉しかったです。あのシーンは、NetflixのCMにも使われて。これらを見たとき「ああ、おれのやったことは間違ってなかったんだな」って思いました。

Xで「コメント返し」をする意図

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──Xはリポストだけでなく、積極的にコメントを返したりしていますがご自身でやっているのですか?

全部自分でやってますよ。なにか僕の演技について言及してくれる投稿があったらその返事を書く。それは“当たり前の行為”だと思っています。

 

──いつからSNSをやっていらっしゃるのでしょうか?

Facebookの方が早くて5年前、Xは2年前からですね。

 

──ご自身で『教誨師』や『火花』など、過去の出演作についてのXの投稿が大きな反響を呼びました。

 

※コメント、リポストが相次ぎバズった五頭さんのXでの投稿。

 

そうです。「地面師見ました!」というものだけでなく「えー!あの作品にも出てたの?」というコメントが相次いだんです。反響の大きさには驚きましたね

 

──Xでは視聴者であるフォロワーと相互フォローを、YouTubeのコメントにはコメント返しを積極的にしています。なぜあそこまでフォロワーの方とコミュニケーションを取るのでしょうか?

これは全国津々浦々を回っていた新劇の劇団時代の名残なんですよ。1年に1回行く場所もある中で、楽しみに待ってくれている方に向けて「いつもありがとうございます。役者冥利に尽きます」という感謝の気持ちと、今回の舞台の魅力を伝える“絵はがき”を在籍した約20年間続けていたんです。それを今回Xでやっているというワケです。

 

SNSでフォローしてくれる俳優となった五頭岳夫さん。その背景にあった理由は、あまりに深かったのである。


五頭岳夫(ごず たけお)
1948年2月7日生まれ。劇団「青年劇場」に20年間在籍し、全国47都道府県を巡演。その後、映画『教誨師』(佐向大監督)で文盲でお人よしの死刑囚を好演。彼の演じる「味のある枯れた老人」には定評があり、数多くの名匠の作品に出演する。方言のレパートリーは津軽・南部・越後・新潟・熊本・京都弁。『地面師たち』ではなりすまし役を演じ話題となる。GMBプロダクション所属。

撮影・柴田愛子