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「地面師たち」なりすまし老人役でブレイク 76歳俳優に“普段行くスーパー”を聞いてみたら

  • 2024.9.12
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Netflixシリーズ「地面師たち」©新庄耕/集英社

動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」にて独占配信中のNetflixシリーズ「地面師たち」(大根仁監督/全7話)が話題沸騰中だ。

7月25日の配信開始以降、日本におけるNetflix週間TOP10で6週連続1位、週間グローバルTOP10入りを果たすなど、日本の枠を超えて世界中で多くの視聴者がくぎ付けに。国内作品としては類を見ないスケールの大きなケイパー・ストーリー(※犯罪作品、強盗作品のジャンルのひとつ)であり、スリリングな展開や視聴者を没入させる仕掛けの数々が、熱狂的な支持を集めている。

中でも、作中に登場する“名優”たちの演技は最大の見どころ。知的でありながら狂気をはらみ、それでいて最高に魅力的な悪役・ハリソン山中を演じる豊川悦司、そんなハリソンに見い出され、時に翻弄されながら「地面師」という生業に引きずり込まれていく辻本拓海を演じる綾野剛。ダブル主演の二人だけでなく、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、染谷将太、山本耕史といった実力派俳優が個性豊かなキャラクターを演じ、ストーリーに厚みをもたらしている。

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Netflixシリーズ「地面師たち」©新庄耕/集英社

そんな日本を代表する“名優”たちに決して引けを取らない存在感を示したのが、第1話で「なりすまし老人」の佐々木役(島崎健一になりすます。以下佐々木)を演じた五頭岳夫(ごず・たけお)さんだ。

出演シーンこそ1話のみと限られているが、犯人側=悪役側でありながら、どこか憎めないキャラクターとリアルな「なりすまし演技」がSNSを中心に話題に。

TRILLではそんな五頭さん本人にインタビューを行い、『地面師たち』の撮影エピソードやご本人の素顔に迫った。

 

※【ご注意ください】以下、『地面師たち』の一部ネタバレを含みます。

もっとも“テイク数”が多かったシーン

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この日、かけていたメガネは伊達メガネだという(撮影 / 柴田愛子)

──『地面師たち』は、シーンによっては30~40テイクも重ねることがあったそうですが五頭さんの出演シーンで一番リテイクが多かったシーンは?

買主側との本人確認の中の、綾野さんにお茶をかけられトイレに連れて行かれる際に耳に挿れられたイヤホンを使って話すシーンです。ストーリー上は「イヤホンから指示を受けてそのまま話す」のですが、実際には私もセリフを覚えてしまっていたので、どうしても“リアルさ”が出なかったんです。何度やっても「ダメ、ダメ」となるので最後は(豊川)悦司さんの音声を実際に耳で受けて、それを声に出すことでOKが出ました

 

──たしかに、改めて見返すと佐々木が話し出すまでに少しタイムラグがあったり、すごくリアルで緊迫したシーンでしたよね。

SNSでもあのシーンが「観ていて一番緊張した」といった反響が多かったですね。

 

──大根監督からはどんな演技指導があったのでしょう。

基本的には自由にやらせてもらいました。たとえば「ここ、もう少し間を詰めて」といった指示はありましたけど、本当に楽しく演じることができましたね。

 

実生活でも利用する“あのスーパー”

──五頭さんご出演シーンで一番テイクを重ねたという本人確認の場面ですが、「ピーコックではなくライフに行く」「ライフのほうが安いので」というセリフは本作でも指折りの名セリフとしてSNSでも話題となりました。

やっぱり実在するスーパーの名前ということもあって、よりリアルに緊迫感が出たんでしょうね。それ以外も、作中では実在の企業や、それを連想させるような社名が出てきますけど、それも作品に真実味を持たせている理由のひとつ思います。

 

──ちなみに…五頭さんご本人はふだん、どのスーパーを利用されるんですか?

家から1分かからない場所にライフがあるので、よく行きますよ(笑)。

 

──なんと!実生活でもライフに行かれているんですね!

僕が住んでいるのは下町なので、ピーコックはあまりないです。やっぱりライフは「安い」ですからね(笑)。

 

──本当にライフに行かれているのは、一視聴者としてもなにかうれしいです(笑)。あのシーンはSNS上でも大喜利化するなど、大きなムーブメントも生みました。改めて、『地面師たち』の反響をどう感じていらっしゃいますか?

まずは、うれしかったです。僕が出演した第1話は2話目以降の「次の事件」へ繋げる話で、地面師たちがどんな集団なのか、どんな手法で詐欺を行うのかを視聴者に説明する役割があるんですけど、作品を改めて見て、自分がやったことは間違いじゃなかったんだと改めて思うことができました。あとは、予告編で自分のシーンが使われていることも驚きましたね(笑)。

 

──『地面師たち』をキッカケに今後も様々な作品で五頭さんに注目する機会が増えていくと思うのですが、ふだん、お仕事がお休みの時はどうやって過ごされているんですか?

みなさんと変わらないですよ。普通の生活をしています。ただ、手術で胃を全て摘出しているので、あんまり沢山は食べられないんです。「ウナギ食べたいな」「すき家行きたいな」とは思うんですけど、結局食べても残しちゃう。それだと食品ロスになっちゃうので、やっぱりライフに行って買い物するのが一番ですね(笑)。


五頭岳夫(ごず たけお)
1948年2月7日生まれ。劇団「青年劇場」に20年間在籍し、全国47都道府県を巡演。その後、映画『教誨師』(佐向大監督)で文盲でお人よしの死刑囚を好演。彼の演じる「味のある枯れた老人」には定評があり、数多くの名匠の作品に出演する。方言のレパートリーは津軽・南部・越後・新潟・熊本・京都弁。『地面師たち』ではなりすまし役を演じ話題となる。GMBプロダクション所属。

撮影・柴田愛子