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アニメ『呪術廻戦』 五条悟の回想シーンで“暗示”されているものとは

  • 2024.9.30
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(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

呪霊と呪術師の戦いを描いたダークファンタジー作品であるTVアニメ『呪術廻戦』。第2期にあたる「懐玉・玉折」の総集編が2025年に劇場公開することが発表され、大きな話題を呼んでいる。「懐玉・玉折」は五条悟(ごじょうさとる)と夏油傑(げとうすぐる)の過去が明らかになる重要なパート。総集編の発表を受け、改めて観返したくなったファンも少なくないだろう。振り返ったときに引っかかるのが、冒頭の洋館のシーンだ。なぜ、一見物語に関係ないように見えるこのシーンを長尺で描いたのだろうか。

「懐玉・玉折」の不穏さを匂わせるホラーな演出

「懐玉・玉折」の初回である第25話にて、呪術師である庵歌姫(いおりうたひめ)と冥冥(めいめい)が不可解な行方不明事件が起きている洋館を調査する。原作では短いパートだが、アニメではアニオリを入れてじっくりと描いているのが印象的だ。

アングルや演出など、ホラー作品と見間違うような洋館の探索シーン。なにか潜んでいると思ったらネズミだった……といったドキドキしてしまう場面があるなど、お化け屋敷のような怖さを演出している。このホラーな洋館のシーンが冒頭にあることによって、「懐玉・玉折」の不穏さが際立っているのだ。

五条と夏油の進む道を暗示?洋館からの脱出作戦

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(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

呪霊の結界術によって洋館に閉じ込められた歌姫と冥冥は、どうにかして脱出する方法を模索する。そこで歌姫が考え着いたのは、無限にループする廊下を走り抜けるという案だ。

冥冥の助言も取り入れ、左右同時に廊下を走り出す2人。すると、洋館はみるみるうちに崩壊し脱出に成功する。「助けに来たよ~ 歌姫」崩れ落ちた瓦礫の下で歌姫が目にしたのは、にやりと笑う五条の姿だった。

廊下を左右同時に走り抜ける作戦は、呪霊の結界術を解くためだけではなく他の意味も含んでいるように思える。歌姫と冥冥の2人が五条と夏油を表しており、反対の方向に走る姿が別々の道を進んだ彼らを暗示しているのではないだろうか。

だとすると、「懐玉・玉折」は冒頭の時点ですでに2人の行く末が暗示されており、洋館のシーンが伏線のような役割を果たしていると分かるのだ。

夏油との青春の日々を忘れられない五条が切ない

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(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

歌姫と冥冥が五条と夏油を表しているとしたら、なぜ2人は洋館に閉じ込められてしまったのだろうか。その理由は、夏油との青春の日々を忘れられない五条を表しているからだと読み解ける。

ラストで現在の時間に戻り、呪術高専1年のメンバーである虎杖悠仁(いたどりゆうじ)たちが話しかけて眠っている五条が起きる。つまり、「懐玉・玉折」は五条が見ていた夢の中の回想だったのだ。

夢に出てくるほど親友である夏油と過ごしたあの日々を忘れられない五条。まだ鮮明に残っている過去の思い出にとらわれ続けている彼を、出られなくなってしまった洋館と無限に繰り返す廊下によって表現したのではないだろうか。

メインストーリーに関係ないように見える洋館のシーンだが、キャラクターや今後の展開に繋がる意味を読み取ることができる。アニオリを入れて原作より長く描くことで、「懐玉・玉折」をより深みのある物語に仕上げているのだ。

そして、観れば観るほど五条と夏油の青春の日々が切なく、結末がやるせない。ただの過去編ではない「懐玉・玉折」を今一度ふり返ってみるのも面白いだろう。

呪術廻戦
ABEMAにて〜9月29日24時からアニメ第2期 渋谷事変を全話一挙無料放送
[番組URL]https://abema.tv/video/title/536-1
【(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、漫画のレビューを手がける。X:@kaku_magari