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【税理士が解説】遺言書を書く前に亡くなった父。兄が「家は不要。現金だけくれ」と言ってきました。この場合どうしたらいいのでしょうか?

  • 2024.6.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

お金の絡む相続問題では、兄弟間でトラブルになることも少なくありません。遺言書などがあればいいのですが、急に亡くなってしまうなど用意ができていないことも…。

本記事では、父の葬儀後に起きた「遺産相続を巡る兄弟間のトラブル」についてご紹介します。

久しぶりに顔を出した兄

こちらのエピソードは、会社員の30代男性が教えてくれました。

 

5年前に父が亡くなったときのことです。

父が急死したことで遺言書もなかったため、遺産相続について兄弟間で揉めてしまいました。

私には兄と妹がいます。兄は、高校を卒業すると同時に家を出て行ってからまったく会っていません。一方で、妹とは実家の農業の手伝いで定期的に顔を合わせていました。

父の葬儀では、家を出て以来会っていなかった兄も参列。さすがに父の最期の顔を見に来たのか、と思っていたのですが、なんと兄は葬儀が終わるや否や遺産の話を始めたのです。

父を偲ぶ様子もなく、突然遺産の話を始めた兄に妹は激怒。妹が怒るのも無理ありません。兄は家を出てからこれまで、実家の手伝いを何もしないどころか、顔も出さなかったのですから。そんな兄が、葬儀に来ていきなり遺産の話をするなんて非常識だと思うのは当然ではないでしょうか。

どうやら兄は、親戚から父が数千万円ほどの資産があることを聞いた模様。そして兄は「家はいらないから、現金だけもらえればいい」と話し、私たちはさらにあきれてしまいました。

兄は、家だけを私と妹が共同相続する形にし、現金などは自分が全て相続しようと企んでいたのです。

結局は私が単独で家を相続しましたが、家の価値はあまり高くなく、弁護士と相談して兄に少し多く相続させる形で決着しました。兄は自分が少し多かったことに満足したのか、話が終わるとすぐに帰っていきました。

後から思えば、父の遺産がなかったとしたら、果たして兄は葬儀に来てくれたのか疑問です。兄は遺産相続の話をするために来たようで、父と最後の別れをする気持ちはなかったのではないかと思ってしまうのです。

昔から自己中心的な人ではありましたが、まったく変わっていないようでした。妹とも、もう二度と兄の顔を見たくないと話しました。

税理士さんに詳しくお話を伺いました

こういった場合、どのように遺産を分配するのが一般的なのでしょうか?

現在、中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を中心に税務業務に携わっている税理士さんに、お話を伺いました。

Q:こういった場合、どのように遺産を分配するのが一般的なのでしょうか?

A:遺言書がない場合は、兄弟3人であれば、三等分するしかありません。遺産分割協議の場合は、兄弟間の合意があれば必ずしも三分の一ずつにしなければならないわけではありませんが、こちらのお話を伺う状況では、三分の一ずつで進めるほかないと思われます。

Q:「実家の手伝いをしていた」ということや「家に一切顔を出さなかった」ということは、一般的に遺産の分配に関係してきますか?

A:生前の親御さんの介護等をしていれば、生前の寄与という、介護等にかかった労力や費用等を金銭に評価した上で、遺産分割の際に請求することは可能です。

Q:もし妹さんや投稿者さんが「実家の手伝いも一切せず音信不通だった兄に遺産は渡したくない」と主張した場合、どうなるのでしょうか?

A:上記の考え方の通りとなりますが、どうしてもお互いの感情で、納得できない場合は、双方弁護士等を介して協議することとなります。

遺産相続で揉めないために

親が亡くなり、子どもが遺産を相続することになった場合、揉めてしまうことは珍しくないようです。それまで温厚だと思っていた人が、お金が絡んだ途端に人が変わったようになってしまったという話を耳にすることもあります。

今回のケースではお父さんが急死してしまったので難しいでしょうが、自分の死後に子どもたちが揉めないように、元気なうちに相続について話し合うなり遺言書を残すといった対策が必要なのかもしれません。



提供:会社員/30代男性

※この記事では媒体で募集した体験談を掲載しています