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大人が意外と間違える数学「くじ引きではずれになる確率は?」

  • 2024.4.21
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確率は、くじ引きにも大きく関係してきます。

あたりを引く確率が大きいくじ引きなら、挑戦してみたくなりますよね。

しかし確率について誤った認識をしていると、損な勝負を見抜けない危険性があります。

この問題に挑戦して、正しい確率の計算方法を知りましょう。

問題

2個のあたり玉と6個のはずれ玉が箱に入っています。
2個同時に引いた時、どちらもはずれ玉になる確率を計算してください。

手元に紙や計算機がない場合は正確な数字を出さず、「解き方」を考えるだけでもOKですよ。

解答

今回の問題の答えは、15/28です。

つまり、半分(14/28)以上の確率ではずれ玉を2個引いてしまうということです。

2個ともはずれ玉を引くパターン数を求めます

確率は「特定のケースが起こる場合の数÷起こりうるすべての場合の数」で計算できます。

今回は、「2個ともはずれ玉を引く」というのが「特定のケース」にあたりますので、このパターン数を求めていきます。

はずれ玉は箱の中に6個ありますが、確率ではこのはずれ玉はすべて別のものとして考えます。

 

分かりやすいように、はずれ玉1、はずれ玉2、はずれ玉3、はずれ玉4、はずれ玉5、はずれ玉6とナンバーを振っておきましょう。

この中から2個を選ぶパターン数を数えます。

 

パターン数を数えるコツは、選ぶ玉の一つを固定しておくことです。

まずは、はずれ玉1を固定しましょう。

はずれ玉1とペアになるのはその他の5個のはずれ玉ですから、以下のようになります。

  • はずれ玉1、はずれ玉2
  • はずれ玉1、はずれ玉3
  • はずれ玉1、はずれ玉4
  • はずれ玉1、はずれ玉5
  • はずれ玉1、はずれ玉6

計5パターンです。

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次にはずれ玉2を固定するパターンを数えます。

これも考え方は同じで、はずれ玉2とペアになるのはその他の5個のはずれ玉ですから、同様に5パターンができます。

  • はずれ玉2、はずれ玉1
  • はずれ玉2、はずれ玉3
  • はずれ玉2、はずれ玉4
  • はずれ玉2、はずれ玉5
  • はずれ玉2、はずれ玉6

ただこの例では「はずれ玉1」と「はずれ玉2」のペアが2回登場しています。

  • はずれ玉1、はずれ玉2
  • はずれ玉2、はずれ玉1

どちらが先にきても、同時に取り出すのですから同じパターンですよね。

重複して数えてよいのか心配になるかもしれませんが、後から2で割るのでここでは気にしなくて大丈夫です。

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さて、同じことをはずれ玉1~はずれ玉6まで繰り返すとすると、それぞれのパターン数は5ずつあるので、総数は「はずれ玉の数6×5=30」になります。

最後に、「はずれ玉1」と「はずれ玉2」、「はずれ玉2」と「はずれ玉1」のように順番が変わっているだけの重複パターンをひとまとめにするため、2で割ります。

つまり30÷2=15、これが2個ともはずれ玉を引くパターン数です。

起こりうるすべての場合の数を求めます

次に、起こりうるすべての場合の数を求めます。

今度はあたり玉1、あたり玉2、はずれ玉1、はずれ玉2、はずれ玉3、はずれ玉4、はずれ玉5、はずれ玉6の8個から二つを選ぶパターンです。

先の例と同様、一つの玉を固定し、それ以外の7個の玉から一つ選ぶパターン数を数えると、玉の総数8×7=56パターン。

先のように選ぶ順番違いのペアを2度重複して数えているので、これを2で割って56÷2=28パターンです。

確率を求めます

最後に「特定のケースが起こる場合の数÷起こりうるすべての場合の数」の式にあてはめて、確率を計算しましょう。

15÷28=15/28

これで答えが出ましたね。

ポイント

この問題のポイントは、同じあたり玉、はずれ玉でもそれぞれを「別のもの」(あたり玉1、あたり玉2)(はずれ玉1、はずれ玉2、はずれ玉3、はずれ玉4、はずれ玉5、はずれ玉6)として考えることです。

よくある間違いが、次のような考え方です。

二つの玉を引くパターン(すべての場合の数)は以下の3通り。

  • あたり玉、あたり玉
  • あたり玉、はずれ玉
  • はずれ玉、はずれ玉

この中で、2個ともはずれ玉のパターンは一つだけ。

よって確率は1/3。

この考え方では、どれだけはずれ玉の数が増えても答えは必ず1/3になってしまいます。

例えばあたり玉が2個、はずれ玉が100個が入った箱を見せられて「2個ともはずれる確率は1/3だからあたり玉を引く確率はかなり大きいよ、やってみて!」とくじ引きに誘われたらどうでしょうか。

はずれ玉はあたり玉の50倍入っているのですから、そんなはずないですよね。

解答手順で見たようにはずれ玉100個をそれぞれ別々の玉(はずれ玉1、はずれ玉2...はずれ玉100)と区別して数え上げるなら、このような誘い文句は嘘だとすぐにわかります(実際は約96%の確率で2個ともはずれ玉になります)。

確率を計算する時は、同じ種類のものでも別のものとして区別し、数え上げることが大事です。

まとめ

今回は、「同じ種類のものでも区別する」タイプの確率問題に挑戦しました。

確率では、場合の数を数え上げる必要がありますが、この時に同じ種類のものを同一視しないことが大事なポイントです。

※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。



文:編集(監修):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。


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