「確率」というのは、しばしば直感とは異なる結果になることがあります。
直感では「これくらいの確率かな」と思っても、きちんと計算すると実は違っています。
きちんと整理して、数式を交えて考えることで、その理由も納得できるはず。
今回はそのような確率の問題に挑戦してみましょう。
問題
ある道路では、30分以内に車が通る確率は95%である。 では、10分以内に車が通る確率は?
(正確な確率計算は複雑な数式になるので、およそどれくらいになるかを予想してみましょう)
30分以内で95%なら、その1/3の10分以内は30%くらいの確率になるのでしょうか。実はそれは違います。
さて、今回の問題の答えは「約63%」です。
解説
今回の問題で気をつけないといけないのは、「30分以内に車が通る」がどういうことかという点です。
これは「30分以内に、少なくとも1台(1台以上)の車が通っている」ということですね。「30分以内に1台だけ車が通る」とは違います。
「30分以内に車が通る確率」が95%ということは、「30分以内に車が全く通らない確率」は5%です。
ここで「10分以内に車が全く通らない確率」を考えてみましょう。この確率をPとすると、これが3回連続で起これば「30分以内に車が全く通らない」となります。
つまり、
P×P×P=0.05 (5%)
P³=0.05
このとき
P=0.368・・・となります。
(この計算は、電卓を使用しています)
よって、「10分以内に車が全く通らない確率」は約37%ということです。
全く通らないという確率が約37%なので、「10分以内に車が通る確率」は100-37=63となり、約63%が答えとなります。
今回の問題は条件などが簡略化されていますが、経済学などではとても重要な考えのひとつです。
「あるお店で、1時間以内にどれくらいのお客さんが見込めるか」ということを数式を用いて考えることができるのです。
まとめ
直感で求めた確率は合っていたでしょうか。意外と違うかったという人が多いのではないでしょうか。
確率というのは、目に見えない現象を数式で表しているため、しばしば直感とは異なる結果となります。
騙されないように、しっかり数式を用いて確認をしましょう!
※解き方は複数ある場合がございます
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」