1. トップ
  2. 「愛助さん」がトレンド入り『ブギウギ』の悲しすぎる展開にネット騒然。「ワテも死にたい」とこぼすスズ子(趣里)に山下(近藤芳正)は…

「愛助さん」がトレンド入り『ブギウギ』の悲しすぎる展開にネット騒然。「ワテも死にたい」とこぼすスズ子(趣里)に山下(近藤芳正)は…

  • 2024.2.2

言葉にならないとはこのことか、と痛感するような週だった。1月29日〜2月2日にかけて放送された連続テレビ小説『ブギウギ』の第18週「あんたと一緒に生きるで」では、スズ子(趣里)の出産と、愛助(水上恒司)の闘病の様子が並行して描かれた。「あんたと一緒に生きるで」の“あんた”に込められた想いと、名曲『東京ブギウギ』がリンクする。
衝撃的な18週はX(旧Twitter)でも「愛助さん」がトレンド入り。「悲しすぎる」「愛助さんロス」などの声が寄せられている。

失意のどん底……スズ子の生きる糧となるものは

undefined
(C)NHK

少しずつ病状が悪化していく愛助。出産が迫りつつあるスズ子。両者の様子を交互に見ながら、視聴者はそっと覚悟を決めていたのではないだろうか。史実を知っていればなおさら、この二人が家族として生きる未来はないと予想できてしまう。

後に愛子と名付けられた、二人の娘が生まれた瞬間に、息を引き取った愛助。その瞬間の彼の表情が映されることはなく、その死を静かに見守った母・トミ(小雪)や矢崎(三浦誠己)の痛ましい涙に焦点があたる。大阪と東京、死と生の対比が濃く鮮やかで、その落差が深まれば深まるほどに、スズ子の失意が浮き彫りになってしまう

愛助の死を知ったスズ子は、しばらくまともに食べることも、愛子の面倒をみることもできなくなった。大切なものがぽっかりと失われた空洞は、何をもってしても埋められない。それほどまでに、愛助の存在はスズ子にとって、替えの効かない唯一のものだったのだと思い知らされる。

母を失い、弟を失い、「この人」と決めた相手も先にいってしまった。スズ子が茫然自失に「ワテも死にたい」と口にするのも、さもありなん。愛助がスズ子へ宛てた最期の手紙と、「ボンの分まで生きられるのはあなたしかいない」と涙ながらに訴えた山下(近藤芳正)の言葉が、スズ子の胸を埋めるのはいつになるだろう。

名曲『東京ブギウギ』に乗せるスズ子の想い

undefined
(C)NHK

いつも二人で過ごした縁側で、生まれたばかりの娘・愛子を抱き、代表曲『ラッパと娘』を口ずさむスズ子と愛助。ここまで明確に思い描くことができるのに、実現しない未来。

2月2日に放送された第18週「あんたと一緒に生きるで」は、翌週「東京ブギウギ」につながっていく。

きっとスズ子は、愛助の死を悼むのと同時に、愛子の育児に追われるのだろう。大阪からやってくるであろうトミ、そして羽鳥(草彅剛)とはどんな言葉を交わすだろうか。

スズ子の新たな代表曲となる『東京ブギウギ』の誕生、そして、あらためて世に知らしめられるスズ子と羽鳥の名コンビ。戦後の空気を明るく、熱く盛り上げた彼らの物語は、早くも最終回に向けリスタートを切ろうとしている。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_