食事制限や私生活の我慢も、良かれと思っていたことが太る原因につながっているかも?
テレビをつけっぱなしで寝る
ダイエットに大切な要因として挙げられる食事と運動。そしてその二つを支える土台といっても良い行動が睡眠。
睡眠時間と肥満の関係は様々な方面で叫ばれているが、時間以外にも睡眠で大切にするべきことがあると林さん。
「睡眠時間だけでなく部屋の明るさなどの環境も大切な条件です。概日リズムが狂うと、ホルモンバランスの乱れによる食欲調整不能などが起こり、食べ過ぎを招いてしまうことも考えられます」
睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは、朝日を浴びることで分泌が抑制され、夜にかけて再び分泌がはじまる。メラトニンは生体リズムに大きな影響を与えるため、夜間に強い光刺激を受けることはできれば避けたい習慣の一つ。
早食い
忙しい日はランチタイムも思うように取れず、いち早く仕事に戻るために短時間で食事を終わらせる人は多い。
咀嚼回数が少ないと唾液の分泌が少なくなり、口腔内での糖質の分解も少なくなる。その結果、胃腸での消化にも負担をかけてしまい、基礎代謝の低下につながる。
「噛むことは肥満を防いで輪郭を整える、顔の筋トレとも捉えることができます。表情を作る筋肉の働きにも関係するので、見た目の若々しさを保つためにも重要です」
ゆっくりと食べることで満腹感を感じ、食べ過ぎを防止することはもちろん、食後のエネルギー消費量である食事誘発性熱産生も増加するので、太りたくない人は食事量と合わせて食事時間のコントロールも大切だと林さんは語る。
「摂取エネルギーの抑制と、消費エネルギーの増大が一石二鳥で行える運動は咀嚼以外にありません。運動をする時間がないという人は、せめて食事の時間を10分でも長くするように心がけて見ましょう」
超加工品の食べ過ぎ
近頃よく耳にする超加工品。
ブラジル研究者の食品分類(NOVA)によると、5種類以上の原料からできた製品であり、様々な添加物を含み、工業的な加工工程を経ている調理が容易な食品。
「菓子パンやスナック菓子、アイスクリームやチョコレートなど挙げ出せばキリがないほどですが、私たちの身の回りに溢れており、食事のほとんどがそういった食品になっている人も多いのではないでしょうか」
ダイエットのために食べるような完全栄養食やシリアル、プロテインやプロテインバーももちろん超加工品。エネルギー密度が高く、複数の添加物が消化などのプロセスにも悪影響を与えるため、できる限り控える方が望ましい。
「今や生活から排除することは不可能ですが、超加工品の摂取量は肥満度に直結します。カロリーの低い食品だけがダイエットにとって良い訳ではありませんので、家では未加工の食材を自分で調理するようにしてみましょう」
長期の食事制限
ダイエットのための食事制限。
2ヶ月などの短期集中ダイエットがまだまだ主流だが、その体重減少が嬉しくなりダラダラと長期的に続けてしまう人もいる。
長期間に渡る食事量の制限は、筋肉量や代謝の低下により痩せにくい体質になることはもちろん、唾液分泌量の低下により、免疫力が下がったり虫歯になりやすくなったりする。
「筋肉量の低下はリバウンドにも繋がるので、食事制限が太る習慣を招いている場合があります。何度も食事制限を繰り返したり、食事量や回数が減っているのに体重が減らないという人は、改めて食べることにフォーカスすることでダイエットがはかどるかもしれません」
一度でも食事制限ダイエットにチャレンジしたことがある人は、今一度現在の自分自身の食事量をしっかりと見直してみて。
私生活の犠牲
友人や家族とのパーティーや飲み会の誘い。太りたくない一心で、そういった場も我慢することが多いという人こそ、肥満への大きな引き金を引きかねないと林さん。 「気晴らしに食べてしまったり、無意識に食べてしまったりする代理摂食や過食は、心理的要因から起こることも多いです。過度な制限は大きな心理的ストレスを引き起こし、食行動異常から肥満症やうつ病につながる可能性もあるので注意してください」 あるアンケート調査では、女性の約70%が食べ物を我慢する傾向にあるという。しかも我慢した後にドカ食いしてしまう割合は50%。つまり女性の約3〜4割は、すでに太りやすい習慣に足を踏み込んでいるとも言える。 「テレビを見ながら手の届くところにある食べ物を食欲と関係なく口に運んでしまう、お腹が空いていないのに食べてしまうという経験は誰にでもあることかもしれません。しかしそういった行動が日常化している人は、その手前の我慢がついやってしまいがちな太る習慣の正体かもしれません」