小学校で習う算数の計算で「なぜ」という疑問を持ったことはあるでしょうか。
「こうやって解くんだ」と解き方を教えられ、なんとなくそういうものだと思っているうちに大人になってしまい、それが「当たり前」になってしまっていることもあるはずです。
今回は「何も知らない小学生になった」もしくは「小学生に教える」というつもりで「解き方」を考えてみましょう。
問題としては簡単ですが「なぜ」ということを聞かれると、戸惑ってしまうかもしれません。それを考えることによって、より深く理解できるようになるでしょう。
問題
(小学5年生の問題)
1mの値段が70円のリボンがあります。これを3.2m買いました。代金はいくらですか。
大人の方なら、簡単に式を作って、筆算の計算をしてしまうでしょう。では、これを初めて習う小学生に教えるならどのように教えるでしょうか。
「2倍、3倍・・・なら分かるけど、3.2倍ってどういうこと!?」なんて言われてしまうかもしれません。
単純に答えを出すだけなら、次のようになります。
(式)70×3.2=224
(答え)224円
今回は説明の仕方まで考えてみましょう。
今回の問題は、小学5年生の「小数のかけ算」の単元で学習します。
小学4年生では、「1を10等分すると0.1(10分の1)」「0.1を10個あつめると1」などの小数の概念を学習しています。
解説
「説明の仕方」はもちろんひとつではありません。人によって分かりやすいと思う説明はそれぞれです。
ここでは、今回の問題の代表的な解説を紹介します。
0.1mの値段から考える方法
リボンを10等分すると0.1mになります。
そうすると、値段ももちろん10分の1になりますね。「1mの値段が70円のリボン」ということは、「0.1mの値段が7円」です。
3.2mというのは、「0.1mが32個分」なので、その値段は7×32=224円
32mの値段から考える方法
「1mの値段が70円のリボン」なので、32m分だと、70×32=2,240円です。
3.2mというのは、32mの10分の1の長さです。したがって、金額も10分の1にしましょう。
2,240円÷10=224円
3mと0.2mに分けて考える方法
「1mの値段が70円のリボン」なので、3m分は70×3=210円
そして「0.1mの値段が7円」なので、0.2m分は7×2=14円
これらを合わせて、210+14=224円
いかがでしょうか。これらは「10等分する」「何個分」という考え方で小数を表していますが、いずれも計算式の中には小数が出てきません。
「70×3.2=224」という計算ができるようになることも大切です。
しかし、これまでに習ったことを使って考えるということは、さらに重要です。このような練習をすると、未知の問題に出会ったとき、問題解決をする力が育まれます。
まとめ
算数の問題としては簡単でも、「もし小学生に教えるなら?」という観点で問題をみると、新しい発見があるかもしれません。
ぜひ「なぜ」と考える習慣をつけてみましょう。算数・数学の面白さに気がつくはずです!
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」