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大人が意外とわからない数学「143は素数?」《中学校で習う》

  • 2023.12.7

「素因数分解」は、中学校の数学で学習します。

しかし実は、この素因数分解をするのに、「カンタンな手順」というのはないということをご存知でしょうか。

シンプルな問題にもかかわらず、意外と苦戦する素因数分解。どのように解けばいいのでしょうか。

今回は、奥が深い素因数分解の問題に取り組んでみましょう。

問題

143は素数ですか。素数ではない場合は、素因数分解しなさい。

143という数が素数なのかどうか。2、3、5…と順にわり算を考えてもわれそうにありません。

…ということは、素数なのでしょうか?

 

さて、今回の答えは「143は素数ではない」です。143=11×13と素因数分解ができます。

解説

素因数分解というのは「ある整数を素数の積の形で表すこと」です。

中学生のときに学習する素因数分解は、比較的わり算のしやすい数が問題になっていたのではないでしょうか。

例えば、3桁の数であっても「120を素因数分解しなさい」となれば、2や3や5でわり算ができるだろうと予想するのは、難しくないはずです。

実際に120を素因数分解すると次のようになります。

120=2³×3×5

では、今回の問題「143の素因数分解」はどのように考えるとよいのでしょうか。

 

実は、144が「12²」であることがわかれば次のように解くことができます。

143
=144-1
=12²-1
=(12-1)(12+1)
=11×13

いかがでしょうか、この解法に納得できたでしょうか。

「12²-144というのが、すぐに思い浮かばない!もっとカンタンな解き方はないの!?」と思われるかもしれません。この解法で素因数分解ができるのは、かなり限られた場合のみとなってしまいます。

では、どのような手順で素因数分解をすればよいのかというと、なんと「地道に小さな素数でわり算を試していく」という方法しかないのです!(スーパーコンピュータを用いた素因数分解はさまざまな研究がされていますが、人間が手計算でできるものではありません。)

まとめ

中学校で習う「素因数分解」ですが、数字によっては、とても難しい問題になってしまいます。

地道に素数でわり算を試さないといけないので、もちろん素数も知っていなければいけません。

2、3、5、7、11、13、17…。どこまで素数を言えますか!?


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。