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大人が意外と騙される数学「クラスに同じ誕生日の人がいる確率は?」→答えは、“直感”とかなり違うかも?

  • 2023.11.28
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数学の単元のひとつである「確率」。

確率の問題では、「直感」と「計算結果」が大きく異なるということが度々あります。

「そんなはずはない」と思っても、数式で計算した結果が正しいのです。(もちろん途中の計算や論理に間違いがないのが前提です)

今回はそんな確率の問題に挑戦してみましょう。

確率は、投資や為替などでも使われるものです。直感に頼るのではなく、しっかり数式で理解することで、確率で騙されないようになるはず!?

問題

40人のクラスで、同じ誕生日の人がいる確率はいくら?

A. 約5%
B. 約20%
C. 約50%
D. 約90%

1年は365日(閏年は考えない)、クラス40人のうち誰かと誰かが同じ誕生日である確率です。

この確率、高いと思いますか?低いと思いますか?

 

さて、今回の問題の答えはなんと「D. 約90%」です。

解説

答えは約90%と、ほぼ同じ誕生日の人はいるだろうと考えられる確率です。

多くの方は、おそらくもっと低い確率を考えたのではないでしょうか。365日もあるのだから、なかなか同じ誕生日の人なんているはずはないと。

しかし、数式で計算すると約90%になってしまうのです。(もう少しだけ正確に計算すると約89%)

では、ここからは計算を考えてみましょう。

 

今回の計算のポイントは「全員の誕生日が違う確率」を求めることです。

「全員の誕生日が違う確率」が分かれば、100%からひき算すれば「誰かの誕生日が同じ確率」が分かりますね。
(例:「全員の誕生日が違う」のが30%なら、「誰かの誕生日が同じ」なのは70%)

いきなり40人の場合を考えるのは大変なので、2人の場合から考えます。

【2人の誕生日が異なる確率】

2人のうち、Aさんの誕生日が◯月×日だったとします。(いつでもよい)

Bさんは、365日のうち「Aさんの誕生日」以外が誕生日であればよいのです。つまり365-1=364日のどれか。

したがって、(2人の誕生日が異なる確率)=364/365

これは約99.7%です。

【3人の誕生日が異なる確率】

同様に、Aさんの誕生日はいつでもよい。それに対してBさんは364日のどれかになればよい。

さらに、3人目のCさんは「Aさんの誕生日」とも「Bさんの誕生日」とも異なる誕生日にならなければいけません。それは、365日のうち、365-2=363日のどれかということですね。

したがって、(3人の誕生日が異なる確率)=(364/365)×(363/365)

これは約99.1%です。

【40人の誕生日が異なる確率】

さて考え方は分かったでしょうか。

Aさんは、365日のどれでもよい。
Bさんは、365日のうち364日のどれか。(365-1=364)
Cさんは、365日のうち363日のどれか。(365-2=363)
Dさんは、365日のうち362日のどれか。(365-3=362)
Eさんは、365日のうち361日のどれか。(365-4=361)
・・・

確率にして計算すると

(40人の誕生日が異なる確率)
=(364/365)×(363/365)×(362/365)×・・・×(326/365)

これは約11%です。(コンピュータなどを用いて計算しています)

「40人全員の誕生日が異なる」のが、約11%なのです。

つまり「40人のうち、誰かの誕生日が同じ」になるのは100-11=89%

およそ90%程度という、とても高い確率になりました。

まとめ

これは意外な結果だったのではないでしょうか。

確率では、このように直感と反する結果になることがよくあります。

クイズやゲームだったら「自分の直感を信じる」のも、いいかもしれません。

しかし、現実では投資や為替などの分野で確率を用いて考えることもあります。数式で理解するというのも大切ですね!


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。