1. トップ
  2. 子連れの美術館鑑賞で“客同士のトラブル” ネット上では「判断が難しい」「気持ちは分かる」と様々な声 集まる

子連れの美術館鑑賞で“客同士のトラブル” ネット上では「判断が難しい」「気持ちは分かる」と様々な声 集まる

  • 2023.11.14
undefined
画像:PhotoAC

フルスタックアーティストである齋藤恵汰(@_satoketa)さんが、1歳半になる息子さんを連れて美術館へ行った時の出来事をX(旧Twitter)上に投稿すると、「判断が難しい」「気持ちは分かる」などさまざまなコメントが寄せられ、美術館でのマナーについて議論が繰り広げられています。

こちらの投稿をご覧ください。

※下記の日付のリンクをクリックするとX(旧Twitter)に移動します

齋藤恵汰@_satoketa 2023年11月7日
美術館で1歳半になる子が少し騒ぎ中年の男性に「迷惑です」と言われた。
一度はすみませんと謝ったものの別の階で二度目の遭遇。
見つけるなり「二人で来て交代で鑑賞するなど工夫できませんか?」と言われた。
すかさず美術館の指示ですか?と応答し館の職員に仲裁を依頼。無事に男性に注意いただいた。

美術館での鑑賞マナーとしてある「大声を出さない」。展示室内に足を踏み入れると多くの人が静かに鑑賞しており、時には足音さえ響いてしまうこともありますよね。しかし実際は、私語を禁止している美術館は少なく、作品に対する感想や意見の共有は周囲に配慮しながらであれば問題ないのだそう。

ただ、作品と静かに向き合いたい、という人もおり、子どもの声が「迷惑」にあたるかどうかは個々の判断となるため正解はありません。今回は鑑賞にあたり特に年齢制限もなかったということで、「自分が同じ立場だったら…?」と考えさせられる内容だったのではないでしょうか。

子連れによる障害の多さ

こちらの投稿をされた齋藤恵汰さんに、この出来事について詳しくお話をお伺いしました。

---美術館の方が仲裁に入ってくださったとのことですが、齋藤様やお子さんに対してはどんなご対応をされていらっしゃいましたか?

「美術館職員の方が男性に『当館ではお子様をお連れの来館者にも鑑賞を制限いたしません』とコメントされました。それを聞いた男性がいくつか『静かにするのがマナーである』といったコメントをされ、職員の方から『先ほどの程度ではマナーの範疇である』とコメントいただきました。その後、男性が立ち去られたのを見送り『もしまた何かお困りのことがあれば、すぐにお声かけください』とお話しいただきました」

---こちらのご投稿にさまざまなリアクションがありましたが、印象的だったコメントや、それらへの感想を教えてください。

「コメントを読み1歳半の子に対する具体的なイメージを持つことの難しさを感じました。私自身、自分の子どもが生まれる前には全く想像できなかったさまざまな具体的障害が社会にはあり、しかもそれは子育てを終えれば大半は忘れてしまう、気にならなくなってしまうと感じています。そのような盲点や忘却に抗い社会について考えることの難しさと重要性を感じました」

美術館の「静かに鑑賞する」というルールには明確な基準がなく、個々の判断によるところが大きいため、今回のように意見が分かれるのかもしれません。

賛否両論のコメントが続々

こちらの投稿を見た人たちからは、次のようなコメントが寄せられました。

注意した男性が間違っているかどうかは難しいが、問題提起は有意義。私は、子が他人の迷惑になるのは嫌だから、静かにできるようになるまでは連れて行かなかった(小学校にあがるまでは難しかった)。
違う考えの人もいるだろう。
そうやって、既存のルールを見直していくのは大事だと思う。
美術館という場所をわきまえる事も確かに必要かな…お子様の騒ぎ方次第やし、ダメって訳じゃないけれど、まぁ静かに鑑賞などしたい方も居られるから、遠慮や鑑賞の方法は必要かな…
言われてしまうとモヤモヤするし…
はっきり禁止と言われてないけど、親になると独身の時のように映画館、美術館、スタバ、気軽に行ける場所が減りますよね。でも、それは仕方ないと思ってます
子供が大きくなるまでは。
子連れ大歓迎の場所がもっと沢山増えたらいいなと思います。

さまざまな立場からの意見が集まりましたが、「子どもがうるさいと周囲に思われるのは(親の)自分が嫌だから連れていかない」「言われてモヤモヤしたくない」という意見が多かったのも印象的でした。また、子どもだけでなく大人同士の話し声も気になるので耳栓やノイズキャンセリングのイヤホンをしながら鑑賞しているという人も。

また、こんな提案もありました。

乳幼児デー、子供デーを作ったらどうでしょう。
基本は、静かに鑑賞する所ですが、子に芸術の刺激を与えたい、早くから親しませたい、一緒に観たい気持ちもわかるので。
逆に大人のみデーを作るのもあり。
静かに鑑賞したい人を悪、はしゃぐ子供を悪にするのではなくてどちらも楽しく素敵な1日を過ごせるように「お子様デー」を作ってもらえたらいいのにな

最近では赤ちゃんなど小さな子連れOKの上映回を設ける映画作品や映画館も増えてきました。子連れでも気兼ねなく楽しめる日があれば安心して行くことができる、という人もいるでしょう。

ちなみに今年の夏休み時期には、「周囲が気になって美術館に子どもを連れていきづらい」という声を反映し、国立美術館7施設で「こどもファスト・トラック」という特別企画も実施されていました。子連れの方を支援する取り組みも進んでいるようなので、気になる方はチェックしてみてくださいね。



取材協力:齋藤恵汰(@_satoketa)さん