「30分じゃ足りない」火曜23時の新ドラマがアツかった！歳の差＆禁断の恋を解決した驚きの方法とは

SF、タイムトラベル、歳の差＆禁断の恋。どうしてこのドラマは「見たことのある」モチーフばかりなのに、こんなに新鮮なんだろう。「30分じゃ足りない」と思わせる満足感、そして、テンポの良さと内容の濃厚さが成り立っている。

2話、「辻褄合わせ」が得意なアートディレクター・廻（吉岡里帆）が、歳の差＆禁断の恋に悩むカップルのために仕掛けた粋な戦略も、見どころだ。

毎クールごとに、必ず制作される不倫または略奪愛ドラマ。有名人が不倫をしたら諸手をあげて叩きまくる世間だけれど、フィクションはまた別なのだろう。たとえ何十年、何百年経とうと、許されない恋は蜜の味なのかもしれない。

2話で焦点があてられるのは、工場で働く青年・古市ヒロキ（南出凌嘉）と、その恋人・西キョウカ（鳴海唯）だ。二人はともに未来人で、違法タイムトラベラーとして令和にやってきた。なんと、未来では教師と生徒だったという。

高校教師であるキョウカが手を染めた罪は、未成年を無許可で連れ出したこと、違法タイムトラベルで過去に身を隠し、そのまま二人で暮らそうとしたこと。未来も過去も関係のない大罪と見なされてしまう行為である。しかし、年齢や立場という壁を越えて、二人が思い合っている事実もまた間違いのないものだ。

タイムパトロール隊員としては、前回のように二人の記憶を消し、また未来へ送り返すのが正しいのかもしれない。

しかし、廻はそうはしなかった。キョウカだけを即座に10年後の未来へ届ける。そしてヒロキには、我慢して10年の時を過ごしてもらうことに。そうすれば、17歳と27歳である二人の歳の差が埋まり、高校教師と生徒という禁断の関係も解消される。二人が恋愛をする“障壁”は、消えてなくなる。

キョウカにとっては一瞬でも、ヒロキにとっては10年を待たなければいけない。ともに苦渋の時を過ごすわけではない恋人同士は、はたから見ると歪（いびつ）だろうか。

いや、これは『時をかけるな、恋人たち』なのだから、恋人たちは時をかけない。未来でも、人の恋愛にああだこうだ言う世間はそのままなのだ……そんな脱力感をも抱えながら、恋人たちは強く、与えられた時代を生き抜くのである。

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ライター：北村有（Kitamura Yuu）
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter：@yuu_uu_