動物に配慮し“ハトっぽい何か”を被った研究員　本人に“実際の効果”を取材しました

自然界の生物の行動や生体を深く探求する専門家である動物研究員。

研究員さんたちは、野生動物の保護や生態系の維持のための重要な役割を果たしています。ではその研究はどのようにされているのでしょうか？

シジュウカラやその仲間の鳴き声（言葉）を研究されている鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さんが、シジュウカラに警戒されないためにとったある秘策をX（旧Twitter）上に投稿すると、2.5万いいねを集め、「山で出会ったら泣く」「コワイw」と話題になっています。

いったいどんな秘策だったのでしょうか？

その驚きの秘策がこちら！

※下記の日付のリンクをクリックするとX（Twitter）に移動します

鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki@toshitaka_szk 2023年8月22日
一昨年から一緒に研究している研究員。シジュウカラに警戒されないよう配慮した結果こうなった（意味はなかった）

と、鳥人間…！？これは森で遭遇したら叫んでしまいます！！

しかしこの秘策は決してふざけているわけではなく、研究のためにされていること。鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さんは、次のように補足されています。

一応経緯を説明しますが、本件、至って真面目です。

当時、僕と研究員は、長野の森でシジュウカラの鳴き声（言葉）を研究していました。そのなかで、巣箱を開けてヒナの体重を測る必要がありました（環境省の許可取得済）。

しかし、鳥たちは賢く、人間の顔を覚えるとの研究結果も知られています。

親鳥に顔を覚えられたら、その後、その巣で鳥の言葉を研究することができなくなります。なぜなら、親鳥は我々に警戒し、「ピーツピ（警戒！）」とばかり鳴くようになるからです。

観察してる鳥たちにどうしても顔を覚えられたくないと思い、ハトの被り物を購入しました。

ハトを被って、できるだけ親に警戒されないように、こっそりと巣箱を開けてヒナの体重を測定しました。

ですが、努力も虚しく、僕たちは親鳥に覚えられてしまいました。翌日、ハトを被らずに観察に戻ったところ、「ピーツピ、ピーツピ！」と怒られてしまったんです。顔以外も見てるんだと思います。

シジュウカラは人のことを覚えるのだそうです。警戒されずに研究するために考え抜いた結果だったのですね。

シジュウカラの反応は？

今回の投稿について、鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さんにお話をお伺いしました。

---こちらは何の鳥をモチーフにされているのでしょうか？

鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さん「ハトっぽい何かです。Amazonで購入しました！」

---研究するときにこの格好をすることのメリットとデメリットを教えてください。

鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さん「メリットは顔を隠せること。鳥は賢く、ヒトの顔を覚えることが知られています。覚えられるとその後の観察がしにくくなることも。鳥に顔を覚えられたくない時には役に立つと思いました（実際は意味がなかったです）。デメリットは眼鏡をかけられないことです」

---シジュウカラはこのかぶりものを見てどんな反応をしましたか？

鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さん「被り物自体に警戒することはなかったです。被った状態で巣に近づくと、普通に人に対する警戒行動を示していました」

---シジュウカラの判断基準は顔だけでなく、人間の全体像だったわけですね。

秘策に驚いた人が多数！

この投稿を見た人たちからは、次のようなコメントが寄せられました。

「山で出会ったら泣く」

「この方を森で見かけたら絶叫して驚く」

「『鳥のかぶりものをかぶった怪しいやつが来た』という、新しいシジュウカラ語が発見されるかもしれませんね」

「同じ鳥として認識するのか…人として認識しているのか…とても興味深いですね」

シジュウカラの性質を考えてとられた秘策…。

結果は「意味がなかった」とのことですが、研究への強い信念が感じられましたね！

---

---

文／構成：TRILLニュース

提供：鈴木俊貴 Toshitaka Suzuki（@toshitaka_szk）さん