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俳優・音楽・声優とマルチにこなす“北村匠海の表現力”の源とは?

  • 2019.12.19
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アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」で主人公の声を担当している北村匠海さん。俳優だけでなく、音楽や声優など、着実に表現の幅を広げている北村さんに、自分が成長するために大切にしていることを教えてもらいました。

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俳優と声優のアプローチは真逆。自分の声と向き合うきっかけに

ーー10月公開の『HELLO WORLD』に続き、声優は二度目の挑戦になります。今回の鈴原守というキャラクターをどうやって作っていきましたか?

「初めて声優の仕事をした『HELLO WORLD』は、絵がない状態で録るプレスコという収録方法だったので、アフレコ(絵に合わせて声を録っていく収録方法)は『ぼくらの7日間戦争』が初めてでした。ひたすらがむしゃらでしたね。アフレコは普段やっている映像のお芝居とはまったく違うアプローチなので、みなさんに付いて行くのに必死だった気がします。今回はプロの声優さんと一緒に録ったので、みんなで会話しながら作っていくことができました。そういう意味ではいつもの芝居と近いところで演じられたかなと。守という人間をキャストのみなさんと一緒に作り上げていった感じがします」

ーー俳優と声優のアプローチはどんなところに違いがあると思いました?

「僕らがやっているお芝居はゼロから作るものなので。役について自分で考えて現場に行きますが、最終的に間や表情ひとつとっても、現場でできあがるものだと僕は思っていて。本番中に突然起こることもあるし、俳優として表現できることは無限にある。それに対して、アニメの絵には表情が描かれているし、喋るスピードもほぼ決まっているんですね。声優さんはそこに自分の感情を積み上げていくんです。つまり声優さんは正解がある上で、声の表現をされていて…。ゼロから正解を導きだすのが俳優だとしたら、正解はすでに出ていて、100点満点に近づけていくのが声優さんなんじゃないかと。真逆ともいえる方法だなと思いました」

ーー今ふり返ると、プロの声優さんとの掛け合いはどんな経験になりましたか。

「プロの声優さんは本当にすごいです。みなさん収録していないときに喋る声ですらすごい。良い声だし、芯があって、声というものにものすごくフォーカスを当てた表現をしている。現場でもすごく引っぱってもらいました。普段僕らは声だけではなく、いろんなところを使って芝居をするので、プロの声優さんと声だけで掛け合いをしたことによって、自分の声というものにものすごく向き合うことができたと思っています」

成長するためにいちばんなのは人と出会うこと。日常での人との会話を大事にしています

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ーー北村さんは俳優、音楽活動、そして声優と、表現の幅を着々と広げていらっしゃると思います。それぞれのお仕事が互いに影響を与え合っていると感じることはありますか?

「感じます。ステージも違えば、使っている媒体も違うけど、俳優、音楽、声優は全部が表現という括りの中にあるもの。だから今回声優という自分の声にフォーカスを当てる表現をして、これから歌うときに自分の声や言葉に対するアプローチが変わるんじゃないかと思っています。そして改めて俳優というステージに戻ったときに、自分の声に向き合うきっかけにもなるんじゃないかと。そう思うと、自分の中でものすごく自然にそれぞれが還元し合っているし、影響し合っているなと思います」

ーー俳優として表現力を高めるため、自分を成長させるためにしていることがあれば教えてください。

「いちばんは人と出会うことだと思います。こうして喋っているだけでも、『自分はこんなこと思っていたんだ』って、自分の持っている感情に改めて気づけたりもします。僕らは言葉や喋るということをツールとしてお仕事しているので、日常や仕事じゃない場所での人との会話というものをものすごく大事にしています」

人が見つけてくれた自分らしさに気付くことができれば、迷っても自分らしい選択ができる

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ーーTRILLは自分らしさを大切にしているメディアですが、22歳の北村さんが思う“自分らしさ”とはどんなものですか?

「自分らしさって改めて聞かれると難しいんですが……結局はそれにいかに気付けることなのかなって思います。だって“らしさ”って、意外と相手のほうがわかっていることが多いから」

ーー確かに、人から「あなたらしい」と言われて気付くことってありますよね

「例えば、一緒にお芝居をした方に『匠海らしいお芝居だった』と言われたら、自分の中では当たり前のことだったのにその瞬間“僕らしさ”に変わっている。その自分の当たり前に気付くことがすごく大事で。それによって自分に自信が持てたり、生きていて迷っていたときに自分らしい選択ができるようになるんじゃないかと思うから。だから人と会話することが、自分らしさに繋がるきっかけになる気がします。そう考えると、僕はまだ自分らしさというものはイマイチ思い浮かばないかな。ただ『匠海らしい』と言われることは多いんです。それに気付くことが、自分らしさというものを味方につける方法だと思います」

ーー人が見つけてくれた自分らしさに気がつくことが大事であると。

「家族、友人、会社の人……誰でもいいから誰かに自分らしさを見出してもらえることによって、自分を見つめ直すみたいなことになるのかなって。それは多分、自分だけでは発見できないものだし、そうすることで今まで自分が思っていた“自分らしさ”は違うのかもって気がつくこともあるかもしれない。だから僕はひとりで考えるのではなく、周りのみんなとお互いの“らしさ”みたいなものを見つけ合うだけでも素敵なことだと思います」

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人生は一度きりだから楽しいことをしたい。直感で「いいね」と思ったことを選びます

ーー生きていると選択しないといけない場面にたびたび遭遇します。そういうときに自分らしく選択するための基準はありますか?

「大きいこと、小さいこと、いろんな選択肢があると思うんですけど、自分の人生は一度しかないんだなって言葉に尽きると思います。終わってしまったら、もう始まりはこないんだって、ここ最近本当に思うようになりました。だから僕は今楽しいことを取りたいです。それが過去に自分が楽しいと思っていたこととは変わっていたとしても、今を尊重して選択してきたと思います」

ーー今、これをやったら楽しいと思えることを常に選んでいるということですね。

「今を大切に生きると、未来の自分もきっとその未来の今を大切にして生きているだろうと思うんです。今を大切にする……その連続が人生を楽しくしてくれるんじゃないかと思います。そう考えると、直感で選択しているのかも。“これいいね”と思ったことを選ぶ。だから迷った時点で選ぶことをやめます。考えて利益を出すよりは直感で“いいね”と思ったことを取り込んでいく。それが自分らしい選択かなって思います」

 

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Photography & Design:dely
Writing:Yuko Sakuma
Edit:Kotomi Takahashi(TRILL編集部)

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