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貫地谷しほりさんに聞く「女が感じる10年の変化」20代の自分と30代の自分

  • 2019.9.24

映画『アイネクライネナハトムジーク』で声しか知らない男性に恋心を抱く美容師・美奈子を演じている貫地谷さん。物語では10年間の経過がキーワード。
貫地谷さんにとっての“10年の変化”を、TRILLだけに語ってくれました。TRILL世代に響く、素敵なインタビューを2回に渡ってお届けします。

――今回、演じる上で意識されたことなどを教えていただけますでしょうか?

「そうですね。監督は、私が『芝居をしちゃったな』っていうのだと絶対にOKが出なくて。やっぱりそこに自分の本当の気持ちが乗っていないと、ダメな現場でしたね。なので、自分の気持ちに正直に演じるということを意識しました」

――貫地谷さんが演じられている美奈子は、職場と家の往復で、なかなか出会いがないっていうことがありました。TRILLのユーザーの方もそういう悩みを持っている方が多いのですが。

「私自身は友達がいればどこにでも出掛けるタイプですね。やっぱり外に出ないと何事も始まらないんだろうなっていう気はしますね。でも現実的に忙しいとなかなかという気持ちも分かります」

――映画では、声しか知らない男性、会ったことのない男性との恋愛が始まりますが、どういう風に思われていますか?

「すごくロマンチックですよね。本当に肩書きとかも関係なく、その人の話し方、その雰囲気を感じ取って恋に発展するという、そういった役なんですけど。実際は、声だけっていうのは大人になってからは難しい気もします」

――今回の映画は出会いをテーマにされている映画だと思うんですけども、貫地谷さんにとって今までの人生で一番印象深かった出会いはなんですか?

「私は今のチーフマネージャーと出会わなかったらこの世界にいないので。そこが一番大きな出会いだったかなと今は思っています」

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演じることがどんどん自分の中で大きな存在になり、意義を考えるようになった

――デビューされてから、女優として活躍され続けている貫地谷さんですが、ご自身にとって演じることは、どんな意味合いがありますか?

「どんどん演じるということが自分の中で大きな存在になっています。20代の頃は、それこそ息を吸うように、それが当たり前のようにやっていましたけど、今は、自分にとっても社会にとっても、いろんな意義を考えるようなことが増えましたね。そこに自分がやる意義というか、やっぱり自分の思いがどこにあるかということがないと、今は演じちゃいけない気もしています」

――今回の映画は、10年越しの恋っていうテーマですが、貫地谷さんご自身は今までの10年間を振り返って、いかがですか?

「やっぱりすごくいろんな変化があったなと思います。20代はやはり仕事が命みたいな。仕事に生きたいっていう思いがすごく強かったんですけど。30代に入ってからは、だんだんと自分の生活というか、自分が生きていくこと、それを取り囲む家族だったりとか友達だったりとか、そういうことがすごく大事で。その中の一つという風に今は仕事を捉えている部分があるので。これから先また変わるかもしれないんですけど。どんどん自分のスタンスが変わっていった濃密な10年だったなと思います」

――20代から30代は女性にとって大きな変化のある時でもあると思いますが、例えば、何かを選択しなくてはいけないときの判断基準などは、どうされていましたか?

「判断基準…そうですね。このお仕事を始めた最初の頃、20代の時なんかは、悲しいとか辛いとか悔しいことがあると、全部無視して前に進んできたんです。その時には大事なことだったというか、そこで立ち止まってしまったら一生前に行けないような、そんな感覚にも陥ったりして…。でも、30歳になる時に、いろんな思いがあったんですよね。『このまま私は、こういう風に生きていっていいんだろうか?』とか」

――いろんな思いですか。

「いろんな思い、辛い思い、悲しい思いっていうものにも向き合った時に、初めて周りの人とか、社会で起きる物事に対してとか、今までとは違う、優しい目線を持てるようになった気がしたんです。起きていることは全て、自分にとって悪いことは起きないと思っているので、辛いことはその時受け止めて、その時もらって。そこでもらった何かがきっと次の選択を後押ししてくれるのかなって思ってます」

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30代に入ったのは大きな転機。自分自身の今を大切にするようになった

――貫地谷さんにとって、人生の転機というものはありますでしょうか?

「いろいろな人との出会いで、様々な転機が訪れていたと思うんですけれども、やはり30代になる、そこに差し掛かる時に、多くの大先輩方にいろいろなお声をいただきました。その時に『女優というお仕事は生活が忙殺される仕事だから、プライベートこそ大切にした方がいいよ』っていうことを教えていただきましたね。20代の頃は、全くその意味が分からないというか、言葉では分かってるんですけど、あまりどういうことなのか理解できなかったんですが、30代になってその言葉の意味を実感しました。仕事以外の興味の幅も広がりましたし、自分の今を大切に。30代に入るっていうのは私の中ですごく大きな転機でしたね」

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世間のいう幸せにがんじがらめになるのではなく、自分の心に聞いた方がいい

――30歳というのが貫地谷さんにとっても節目だったのですね。TRILLのユーザーも貫地谷さんと同世代の女性が多いのですが、『30歳までに結婚』だとか『35歳までに子どもを産む』といった、年齢による様々な社会的プレッシャーを感じている方もすごくいらっしゃいます。何か、こう考えるといいよ的なヒントみたいなことがあれば、教えていただけますか?

「そんな偉そうなことは言えないのですが、でもやっぱり世間のいう30歳で結婚するとか、世間のいう幸せっていうものを本当に自分が求めているのかっていうのは、1回自分に聞いた方がいいかなって思いますね。それにがんじがらめになって、『こうできない、あれができない』ってできないことばかり考えてしまうっていうループに陥ってしまうこともあると思うので。自分の心が本当に今結婚したいのかとか、今仕事を頑張りたいのかとか、とにかく自分の心がどこにいるのかは常に考えていた方がいいんじゃないかと思います」

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30歳は若くもないし、年を取ってもない。自分が分からなくて流される部分もあった

――自分の心がどこにいるかを常に考えるとのことですが、貫地谷さんご自身が30代に入って感じられた変化などを教えていただけますか?

「30代は20代のように、若いヒロインみたいな感じでもなく、かといってすごい味のある先輩たちのような感じでもないし、30代って若くもないけど年取ってもいないっていう。何かしようと思えばできるけど、だからといって、すぐ行動的なことでもないというか。
流されるっていうとちょっと聞こえが悪いんですけど、流れに乗ってみんな自分の人生を生きていると思うんです。知らず知らずのうちに辿り着いた部分もきっとあると思うんです」

――辿り着くの感覚ですよね。

「辿り着いたという感覚でいると、自分が何をしたいのか、それが分からなくなってしまうというか。でも分からないっていうのが私は一番不幸だなと思っているんです。分からないとどこの道に進んでいいかも迷うし。30を迎える時はそんな葛藤もありましたね」

――そういった悩みを脱するために、どうされましたか?

「やっぱり私はとことん悩んで。もちろんネガティブな感情もありましたけど、悩むことはいいことだと思います、自分と向き合うことができますし。でも、やっぱりその中でもやりがいというか、ぽっと現れる出会いで、もうちょっと頑張れるかもっていうことがあるんですね。それに押され、押され、ちょっとずつ進むというか」

――“悩むことはいいこと”という言葉、勇気がもらえますね。この映画でも悩み苦しむ10年間の人間模様が描かれていますが、貫地谷さんは10年後の自分はどうありたいと思われますか?

「20代前半の頃に思っていた今の年齢、つまり10年後の今が想像していたものと全然違うので、きっとここからの10年後もまた全然違うのかもしれないんですけど…。『雨ニモマケズ』って詩があるじゃないですか? なんか、ああいう風に強くしなやかに生きたいなとは思います」

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Movie, Photography & Design:dely
Writing:Rika Iwasaki
Edit:TRILL編集部

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