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「外見は人の魅力の5%」ワールドワイドに活躍するクロアチア人女性、マルチナさんにインタビュー!

  • 2019.7.14
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-食べることから知る、多様な世界-胃袋TRIP。第17回のクロアチア料理に続き、クロアチアのさまざまなカルチャーについてご紹介します。今回は特別編として、クロアチア出身で現在ワールドワイドに活躍するマルチナさんに文化やお国柄について教えていただきました。

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マルチナさん
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『クロアチア共和国基礎データ』(外務省)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/croatia/index.html)をもとに作成、The World Factbookから引用 


クロアチアがあるのは、イタリアの東に位置するバルカン半島。西側にはアドリア海、中央部にはバルカン山脈がある自然豊かなエリアです。ただ、この地域は古くからさまざまな民族や宗教が混ざっていたため、度々戦争が起こり「ヨーロッパの火薬庫」とも呼ばれていました。

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canadastock / Shutterstock.com

以前、クロアチアはユーゴスラビアの構成共和国の一つでしたが、1991年に国家として独立。その後も1995年まで民族間の独立紛争は続きました。しかし現在はヨーロッパをはじめ世界中から観光客が押し寄せるほど治安も良く人気の国に。一体どんな文化が広がっているのか、マルチナさんに伺いました!


ーーまずはマルチナさんのプロフィールについて教えてください。

「私は両親ともにクロアチア人ですが、生まれと育ちはドイツです。ただ、幼い頃から2カ月に1度は家族みんなでクロアチアに帰っていたので、幼い頃からクロアチアの文化に触れながら過ごしてきました。

現在は『IMGアカデミー』という世界80カ国以上のトップアスリート達が利用するトレーニング施設で、インターナショナル部門のグローバルマネージャーを務めています。日本出身の選手ではテニスの錦織圭さんが当校を卒業しています」

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ーー現在はスペインのバルセロナ在住とのことですが、クロアチアにはどれくらいの期間住まれていましたか?

「大学時代の4年間をクロアチアの首都ザグレブで過ごしました。将来はグローバルな世界で活躍したいと思っていたため、ドイツの高校を卒業後、イギリスに1年間留学をしました。その後は、自分の中にもクロアチアの血が流れているのだから、人生で1度はこの地で過ごしてみたいという思いが湧き、進学を決めました」

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ーークロアチアでの生活はいかがでしたか?

「幼い頃から『ドイツとクロアチアのカルチャーは全く異なる』と感じていました。ドイツ人はマナーを重視し、クロアチアはとてもアグレッシブな人が多いという印象です。実際にクロアチアの人々はとっても自信に溢れ、社交的でそんな仲間と過ごした大学生活は大変充実したものになりました。

クロアチアはスポーツ強豪国としてもとても有名です。人口が400万人ほどの小さな国ですが、2018年のFIFAワールドカップでは準優勝という好成績を残しています。他にもバスケットボール、陸上などさまざまな分野で多くの選手が活躍しているんです。テニスの世界ランキング3位まで上り詰めたマリン・チリッチもクロアチア出身です。少数の中でこれだけ多くのアスリートを輩出していることは、この国の誇りだと私は思っています」

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ーークロアチアは、国としてスポーツ部門を強化しているのでしょうか?

「いえ。サポートは他の国と変わりなく、特別なものではありません。ここまで結果を出している大きな理由は、戦争下を生き抜いてきた国民性にあると思います。クロアチアはユーゴスラビアからの独立のため、長い間戦争が続いていました。その中で国民は大変苦しい思いをしましたが、そのネガティブな気持ちをポジティブに変換させるものとして、スポーツが最適だったのです。世界で活躍できれば、有名人になり、国を盛り上げることもできます。そこで国民の誰もが有名選手になることに憧れて、スポーツにのめり込みました。クロアチア人は『血はスポーツでできている』と言うくらい、外に行けばみんながスポーツをしています」

ーー先ほどのお話にあったクロアチア人の「アグレッシブ」な面がここにも表れているんですね。大学卒業後はどうされたのですか?

「国際ビジネスを専攻していましたが、スポーツの関心も自分の中で非常に高まり、より深く学ぶためにアメリカの大学院へ進みました。在学中にIMGアカデミーを知り、1年で修士課程を取得したので、その後は本腰を入れて仕事に打ち込んでいるうちに働きぶりを認められ、現在ではインターナショナル部門の顔として米国フロリダ州を拠点としながら、世界を飛び回っています。フロリダでゴルフアドバイザーを経験後、バルセロナに渡り、約2年間そこでIMGアカデミーのコーディネーターをしたあとフロリダに戻って、グローバルマネジャーに就きました」

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ーー今ご活躍になる中で「私にもクロアチアの血が流れているな」と感じる瞬間はありますか?

「もちろんありますよ!私の中にはクロアチアの外交的、情熱的な部分とドイツのプロセスやシステムを重視する部分の両方を持ち合わせています。ですが、やはりクロアチア的に熱くなって決断することが多いです。例えば、アメリカのビジネスでは今もなお男性が優位な状況です。そこにいるとクロアチアの血が騒いで『ここで私自身が活躍し、男女関係なく能力が発揮できるようにしていかなければ』という気持ちになるんです!」


ーークロアチアらしさがマルチナさんの原動力になっているのですね。そして、大学時代からお付き合いされていたクロアチア人の彼とご結婚されるとのことですが、クロアチア人の恋愛観についても教えてください。

「平均的には27~30歳で結婚する女性が多いと思います。男性は知性と自信を持ち合わせる、味のある人がモテていますよ。クロアチア人は男女ともにスタイルが良く、とてもキレイな人が多いですが、大切なのは見た目やステータスよりも中身です。私自身は外見は人の魅力の5%にも満たないと思います。内側から溢れ出るものが全てです。その95%の部分を見つめることで幸せが何かが見えてくると思います。私と彼も時には厳しく批評し合いますが、お互いにとってそれぞれがナンバーワンのファンですよ」

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ーー女性が結婚後も活躍していくためには何が重要だとお考えですか?

「これは既婚者だけでなく、どの女性に対しても伝えたいことなのですが、よく会話の中で『かわいいね、服がオシャレだね』といったやり取りがありますよね。そういった会話も良いとは思いますが、社会進出をしたり、リーダーとして活躍するためにはもっと重要な話が必要です。国籍や見た目ではなく、自分自身の能力を証明するためには行動で示すしかありません。

私はドイツに住んでいた頃は『クロアチア人』、クロアチアに住んでいた頃は『ドイツ人』とどこにいても『Stranger(よそ者)』扱いをされてきました。だからこそ努力を重ねて実力で自分の存在を示すしかなかったのです。今アメリカでは職場での面接でも出身などはあまり問いません。大事なのは『できるか、できないか』それだけです。きっとクロアチアやヨーロッパ、そして日本もそこがもっと重視される時代が近いうちにやってくると思います」

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ーー女性たちへのアドバイスをありがとうございます。では最後に、今回のお話を通してクロアチアに興味を持った方々のためにおすすめの観光スポットを教えてください。

「クロアチアは自然が豊かで食べ物もおいしいので、とっても魅力的な国ですよ!まずアドリア海に面した街、ドブロヴニクはぜひ足を運んで欲しいです。ヨーロッパ中からも多くの観光客が訪れる人気のエリアです。まるで映画の舞台のようなオレンジの屋根がとっても印象的です。街をグルリと囲む城壁に登ることができ、そこから一望する青い空と海はもう絶景です!

他にも1000以上の島々があるので、ボートに乗って島を巡るのもオススメです。辺り一面がブルーに包まれる、青の洞窟はとても神秘的です。

温暖な気候なので、トリュフやワイン、オリーブオイルなど名産品がいっぱいありますよ。アドリア海側では魚介類もよく調理され、どれも絶品。ぜひゆっくりとクロアチアを巡って魅力的な街並みや食事を堪能してくださいね」

 


世界から注目されるほどパワフルな活躍をみせるマルチナさんの原動力は、ご自身の中に流れるクロアチア人としての誇りにあったようです。小さな国ながらもスポーツでも大活躍する、このパワー溢れる国が今後も見逃せませんね。次はウズベキスタンをご紹介。知られざる独自の文化についてお伝えします!7月下旬配信予定。お楽しみに!

 

Writing: 竹林佑子(エフェクト)
Photo: @martina.knezevic
Edit+Design: TRILL

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