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「 SNSの完全離脱」後に出会えた”本当の自分らしさ”とは【安藤美冬さんインタビュー第2回】

  • 2019.3.29

自分らしく働くためのツールとして、安藤美冬さんが最初に活用したのがツイッターでした。ところが今は完全にSNS社会からは離脱したと言います。SNSで道を開いてきた自負があるという彼女が、SNSを辞めた理由とは?

ツイッターで自分の考えや情報を発信。自分に興味を持つ人が増えて仕事に繋がった

ーーフリーランスになって自分らしい働き方を始めるために、具体的に何かやったことがあったら教えてください。

「SNSです。なぜかわからないけど直感的にツイッターにチャンスがあると思ったんです。自分の考えや役に立つと思う情報を発信することで自分を知ってくれたり、興味を持つ人が増えて、結果としていろんな仕事をすることに繋がると」

ーーツイッターをどう利用したんですか?

「まずツイッターの中でよく知られていて、たくさんの支持、共感を得ている人を徹底的に分析しました。当時の私はひまだけはありましたから、いわゆるSNSのビジネス書というか自分で教科書を作るつもりで、プロフィールの書き方、投稿する時間、プロフィールと投稿内容の整合性、1日投稿する回数どんな人をフォローして、どんな人にフォローされているのか……ありとあらゆることを分析しまくりました(笑)」

ーー分析して自分のツイッターに活かせばフォロワーは伸びてくると。

「こう話すとよく誤解を生むんですけど、フォロワー数を増やそうとするとうまくいかないんです。自分のアピールがうまい人って、あまり良い印象を与えないですよね(笑)。そうではなくて私の中にはこうしたいと思う生き方や働き方があったので、自分が本当におもしろいと思うもの、素敵だなと思うもの、これからの時代に自分が信じるものをSNSで出していこうと思いました。そのためには読み手の人にとって大事に思ってもらえるものって何だろうと考えたんです」

ーーツイッターを使ったのは仕事を増やすためだけではなかった。

「もちろん一番には自分が仕事をしていくためにやっていたんですが、ツイッターやブログを読んでくださる人が増えていくに従って、SNSをやる目的はその人たちと思いを共有することに変わっていきました。そして半年くらい続けているうちに私のツイートを拡散してくれる人が増えていったんです。“この人のツイートは思いがある”みたいなことを言われて、いろんな人のブログに取り上げられるようになり、個人のUstream番組から声がかかるようになりました。その状況はすごく不思議でしたけど、この道で間違ってない、まだ仕事は少ししかないけど、この道を歩いていけばいいんだって自信にもなりました」

TRILL×MIFUYU ANDO

 

おもしろいかどうか、価値があるかどうかを重視して自分の正直な気持ちを書いてきた

ーー正しいかどうかわからない自分の考えや意見をSNSとはいえ、発信していくのは不安じゃないですか?

「自分の意見に価値があるかどうかなんてわからないし、そもそも正しいか正しくないかなんてわからないですよね。メディアでは正しいか正しくないかではなく、おもしろいかどうか、重要なのはそれ一点なんです。そして読み手の人にとって価値がある情報かどうかが大事なことだと思って、私はSNSにもブログにも自分の正直な気持ちを書いてきました」

ーー例えば日常でも自分の意見が正しいか正しくないかわからないから、自分の意見は言わないという人も多いなと感じました。

「正しいか正しくないかって、その人の生い立ちを含むいろいろな価値観によるものであって、それは自分が判断するものではないと思います。だから自分の意見を言うのが怖いと思う人は、自分がおもしろいと思うかどうか、楽しいと思うかどうか、好きかどうかというふうに少し軸足をズラして考えてみるといいんじゃないかと思います」

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2年前に自分は冬の時期だと思って冬眠に。そして自分のペースをもっと守ろうと思った

ーーノマドワークスタイルの先駆者として多くのメディアで活躍されていましたが、最近は少し仕事のペースを落としていらっしゃったとか。

「自分らしさのひとつって、自分のペースを知っておくことだと思うんです。今は私は冬眠のとき。だから、発信を辞めた、冬のお休みの時期を楽しもうある一冊のネイティブアメリカンの詩集と出会って、私の名前が何で美冬なのか、ちょっとわかった気がしたんです。ネイティブアメリカンの生き方って冬の時期を大事にするんです。なぜなら冬の時期がなければ桜が咲くこともないし、生命が再び息を吹き返すこともない。だから冬を大事にしていると読んだときに感動して。そして2年くらい前に思ったんです。今私は冬の時期を生きているんだなって。私は自分らしさの一つって自分のペースを知っておくことだと思うんです。そう思えば、私は一通りいろんな仕事をさせてもらって、いろんなメディアで発信してきたけど、今は冬の時期に入ったんだなと思いました。だから冬眠することにしたんです。これからは自分のペースをもっともっと守っていこうと思いました」

TRILL×MIFUYU ANDO

昨年7月にSNSから離脱して、人を振り回すことも振り回されることもなくなりました

ーーSNSでも実生活でも他人の目って気になります?

「あまり気にならないです(笑)。でもここ数年くらいですかね。SNSのフォロワーさんの数が増えていくとプレッシャーにはなりました。こんなことつぶやいちゃダメだとか」

ーー炎上したくないし、いろいろ考えて何も書き込めなくなるのもわかる気がします。

「これつぶやいたらダメかなって勝手に先回りして考えたりしますよね。私はSNSを100%ビジネスツールとして使うことにも葛藤があったし、とはいえこれでいろんな仕事を作ってきたという自信もあったので、すごく悩みました。SNSとどう付き合っていこうかって。もともとすごく真面目な性格だから(笑)。それで私はSNSを辞めたんです。昨年7月に完全にSNSから離脱しました」

ーーSNSでのマウンティングを感じる人もいるようですが、どう思われますか?

「使い方、関わり方はもちろん人それぞれだし、私が例外とはまったく思わないんですけど、そうしようと思っていたわけではないけど、自分もマウンティングしたりされたりというのはあったと思います。だってツールはピュアなものでも使うのが人間である以上は、いろんな欲みたいなものが入って来るから、そうなっていくことは自然だなと思うんですね。そういうことも含めて、私は離脱を決めたし、離脱したのでSNSで人を振り回すことも振り回されることもなくなりました。

TRILL×MIFUYU ANDO

ーー友達がいきなりFBで「結婚のご報告」といきなり丁寧語になることがきになる人もいるんですよね。

「でも、それって落ち着いて考えたら、フェイスブックなんで友達なわけです。友達の結婚はうれしいこと。ご報告ってことにいちいち目くじら立てることじゃないじゃないですか。でもそのことにもイラっとしちゃうとか。インスタだってお互い様なはず。リア充の生活をアップするのは、自分のはよくて他人のはイライラする。それって余裕がないんですよね。自分に余裕がないと他人が気になってしょうがなくなっちゃうんですよね」

ーーでは、余裕があればどうなるんですかね?

「余裕がなくて、キリキリしているときは本当の自分ではないと思うんです。本当の自分、自分らしさって、自分が楽しいなとか充実してるなとか、好きなことをやっているとき、自分っていいなって思っているときに生まれるものだと思います。私これ好きだなとか、しっくり来るなっていうのが自分らしさだと思います。私個人的には「自分らしさ」も他人が見つけるものではなくて、自分が自分の中で発見していくものだと思います。だから、私はSNSからの完全離脱で、他人や社会に振り回されることも、振り回すこともなくなって。本当の自分に出会えた気がします」

 

▼前回の記事はこちら
WhatではなくHowで生きる「自分ブランディング」の作り方とは【安藤美冬さんインタビュー第1回】

インフォメーション「20代のうちにやりたいこと手帳」
プロフィール

Movie Director:Yohei Takahashi(f-me)
Writing:Yuko Sakuma
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)

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