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WhatではなくHowで生きる「自分ブランディング」の作り方とは【安藤美冬さんインタビュー第1回】

  • 2019.3.28

大手出版社を辞めてノマドワークスタイルという働き方の先駆者となった安藤美冬さん。30歳になる前に、自分はこれからどう生きていくべきかと真剣に考えたそう。安藤さんが選んだフリーランスで働く生き方とは?

人の才能は一つじゃないと思ったことがフリーランスで働き始めるきっかけに

ーー安藤さんといえばノマドワーカーという言葉を広めた方というイメージがあります。大手出版社をお辞めになり、フリーランスとして働こうと思った理由からお聞かせください。

「出版社を辞めて自分はこうしたい、こうありたいという思いやイメージはかなり明確にあったんです。例えば私は旅が好きなので、大好きな旅と仕事を両立できるような働き方や生き方はないかと思いました。そして今でいうノマドワークスタイル……働き方や場所にとらわれないで働くスタイルのイメージがパッと湧いてきたんです」

ーー会社を辞めることは勇気がいると思うんですが、何で辞めようと思ったんですか?

「私はよく“WhatではなくHow”ということを言うんですが、何をするかよりもどう生きるか、どう働くかということに関心が高かったんですね。本も文章を書くことも好きでしたし、有名な作家の方々と仕事をするのはやりがいがありましたし、Whatという部分だけを見れば、出版社の仕事は好きでした。でも私の中にWhatを追求していく仕事のやり方にある日疑問が湧いてしまったんです」

ーーどんな疑問が?

「人の才能は一つだけじゃない、と。例えばwebデザイナーが料理がすごく上手だったり、人前で話すことが得意だったりすることってよくありますよね。だとしたらもっと自分に自信を持って、複数の才能というものを表現できるように、もっといろんな仕事をしていけばいいんじゃないかと思ったんです。そうなると会社じゃないなと思って、30代になる前にこれからどうやって生きていこうかすごく考えました。そして答えはまだ見つかってないけど、私の中に湧いている違和感にもっと正直になって、どう生きるかどう働くかということにもっと正直になろうと思いました。そして思い切って道なき道に一歩踏み出してみようと思ったんです。それが29歳のときでした」

TRILL×ANDO MIFUYU
当たり前のことをきちんとやった上で、印象に残る自分のブランディングを考える

ーーフリーランスとして働くときに、まずどんなことから始めました?

「印象に残るようなブランディングをすごく考えました。目の前のことを一生懸命やる、ちゃんと結果を出せるようにがんばる……そこを丁寧にやるのは大事なんです。それがあって初めてブランドになるということは強調しておきたいんですが、そういう当たり前のことをやった上でどう自分をブランディングしていくか。私の場合は最初にテーマカラーをオレンジに決めました。他にもワンポイントのファッションを決めたり、後はニックネームを決めるのもいいと思います」

ーー仕事を始めたばかりの頃は記憶してもらうことが大事ということですね。

「はい。そしてもう少し進んで中級編になると、才能や自分をどう出していくかということになります」

ーー自分は「これ」と自慢できる部分を作ればいいんでしょうか?

「よく100万分の1になる方法と言うんですけど、一つのことでナンバー1を目指すのはすごく大変だと私は思います。それなら何か3つのもので勝負すればいいんです。例えばカメラ、料理、レシピを考案すること、プレゼンの資料は誰よりもうまくきれいに作れる……そういう他の人より得意だと思うことを自分の中で探すんです」

ーーその3つを見つける方法は?

「具体的に言えば100人の中でいちばんが獲れるものは何だろうと考えるといいと思います。それは10代、20代、30代の10年ずつかけて3つ探してもいい。30代の人がまだ1個しかないというなら、10代、20代のうちに自分が得意としていたものが必ずあるはず。それをまず真摯に自分と向き合って見つけていく。そして最後の一つ、あるいは二つをこれから作っていけばいい。そうすると100人中の1位×100人中の1位×100人中の1位=100万分の1になるんですね。この方程式に関しては、私自身が実際にこういう発信の仕方をしてきたし、そうやって自分のポジションを作ったという自負もあります」

TRILL×ANDO MIFUYU
自分を優先に人生を選択していくことによって、周りの人と調和できるようになる

ーー今、安藤さんにとって自分らしさって何だと思いますか?

「私は最初から“自分らしさって何だろう?”と考えるところから始まっているんですよね。つまり“WhatでななくHow”というのも私の軸。私どうなりたいんだろう、どんな働き方をしたいんだろうということから入っていったのも自分らしさだし、新しい一歩を踏み出したときにツイッターにチャンスがあると思ったのも私らしさ。つまりすべて自分中心に選択しているんです。ただ“自分らしさ”ってすごく誤解を生んでいるような気がして……」

ーー誤解とはどういう意味でしょうか?

「自分らしさを出すとなると、自分勝手に思われないか、自分を出すことによって周りと調和しなくなるんじゃないかと恐れている人がいっぱいいるじゃないですか。むしろ自分を優先せずに他人に調和しようとして、人のやることなすこと同意したり、他人から言われることを受け入れてしまう人が悩んでいるんだと思います。でも今の私の人に対するスタンスはまったくその逆。実は私も20代はそうやって生きてきて不調和ばかり起こしていたんですね。だからこそ29歳のとき、30代を目前にして心を決めたんです。本当に自分を生きることが周りと調和する生き方なんだって。なぜか直感でそう思いました。だったらそこからブレずに生きようと思いました。それが生き方の転換でしたね」

TRILL×ANDO MIFUYU
やりたくないことを考えて書き出してみると、本当の自分が見えてくることもある

ーー今30代になろうとしている方々にやっておいたほうがいいと思うことは何かありますか?

「やりたくないことを考えることですかね。今を生きている現代の女性って好奇心がある限り何でもやりたいと思う方向に行きがちなんじゃないかと思います。でも自分らしさに繋がるやりたいこと発見する方法っていろいろあるんです。好きなことがしっくりくる場合もあるけど、嫌いなこと、やりたくないことから発見する方法もある。私はこっちがおすすめです。なぜかというと好きなことはわからないけど、嫌いなことははっきりすることってよくあるから。だからイヤなこと、やりたくないことを書き出していくと反対に自分が見えてくることもあります」

ーーそうすることによって、徐々に自分がやりたいことが浮かんでくるかもですね。

「私はやりたくないことややりたいことをリスト化しようと思って手帳の中に書いています。書き出してみた上で人生を俯瞰してみる。そして自分を人生のプロデューサーだと思って自分がやるべきことをやるようにすればいい。それがやりたいこと、自分らしさに繋がるんじゃないかと思います」

TRILL×ANDO MIFUYU
3泊4日を自分のために使って日常を振り返ってみる。それが自分らしさへの第一歩

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

「このインタビューを読んだ方におすすめしたいのですが、金曜にお仕事が終わって、月曜の朝出社するまでの間スケジュールを空けて欲しいんです。そしてその時間を100%自分のために使ってください。とにかく時間が許す限りひとりになれる時間を確保して、何をするかというと自分を見つめるんです。そしてノートでも手帳でもいいから書くものを用意する。自分は何が好きで、何が好きじゃないのか。何がしっくりきて、何に違和感を覚えるのか。そして今ある人間関係のどんな人に会いたくて、誰に会いたくないのか、それはSNSの付き合い方も含めてです。そしてどんなときが幸せで、どんなときに心が乱されてしまうのか……日常生活のいろんな瞬間を振り返って、正直に書き出してみてください。その自分のための3泊4日を持つだけで人生は変わります。この作業をすることによって、自分がだんだん見えてきます。これが自分らしさを具体的にする第一歩だと思うので、ぜひ実践して欲しいと思います」

 

▼第2回の記事はこちら
「 SNSの完全離脱」後に出会えた”本当の自分らしさ”とは【安藤美冬さんインタビュー第2回】

20代のうちにやりたいこと手帳
プロフィール

Movie Director:Yohei Takahashi(f-me)
Writing:Yuko Sakuma
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)

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