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「嫌いを好きに変えるには?」人気ヘア&メイク河北裕介さんに聞く ”私らしい美しさの引き出し方”【第2回】

  • 2019.3.9
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まずは自分の美しいところを見つけること。そしてコンプレックスを受け入れること。そうすると自ずと自分に似合うメイクや生き方が見えてくる。

“河北メイク”が女性を美しくしてくれる理由。
それは、その人が持つ美しさを引き出してくれるから。だからこそ、私たちがまずすべきは自分と向き合うこと。でも、本当に私にも美しいところはあるの…? ヘア&メイクアップアーティストの河北裕介さんに、その見つけ方を伺いました。

――メイクはアラを隠すものじゃなく、自分の“美しいところを活かす”ためのものだと前回のインタビューで教わりました。

何かを隠そうとするメイクって、どんどん厚くなってしまう。そうするとあなたらしい美しいところも一緒に隠れてしまう。それじゃ本末転倒です。

――“美しいところ”と言っても、私にはそんなのない…。と思ってしまう女性は多いかもしれません。

そりゃ誰もが皆ぱっちり二重で、小顔で、鼻もシュっとして唇もボリュームがあるわけじゃない。
でも、この本の出版イベントに来てくださった皆さんや、雑誌の読者メイク企画に応募してきてくれた方も含めて、本当にたくさんの女性の顔を見てきたけれど、その人だけの美しさっていうのは、絶対にありました。美しいところがない人なんて、本当にただのひとりもいないです。

――勇気が出るお言葉ですが…、本当に、美しい部分は、誰にでも必ずありますか?

あります、必ず。美しいところ、つまり自分の「ここは好き」っていうところって絶対にあるはずなんですよ。フェイスラインでも、髪の質感でもいいし、ちょっとしたパーツだっていい。大事なのは、そこから、どうしたらその部分が引き立つか考えること。そのためのメイクをしてあげることが“河北メイク”の本質なんです。

TRILL × YUSUKE KAWAKITA

――もしかして、河北さんにメイクしてもらった女性がみんな“河北メイク”の虜になる理由は…そこ?

うーん(笑)。でも、僕はやっぱり相手の顔を見てパパパっと計算をしています。あ、この人は唇が魅力的だな、それならチークを外してリップを際立たせた方がいいな、とかね。

――隠したい部分を軸に考えるんじゃなくて、際立たせたいところを軸にメイクしなくてはいけないんですね。

例えば「憧れている顔」って皆きっとありますよね? でも、その女優さんやモデルさんにもコンプレックスは絶対にあります。だけど、美しい部分の方を際立たせているから「美しい顔」の印象になれる。

TRILL × YUSUKE KAWAKITA

――多分、「自分の美しいところ」は知らなくても、「嫌いなところ」ならすぐに言える女性は多いと思います。すぐに見つけちゃうんですよね。

僕自身もそうだったから気づいたけど、「自分が嫌い」って言ったところで、どうにもならないんですよ。だって、親からもらった体と顔があって、その上に今まで生きてきた知識や経験、自身で培ってきたもので“自分”になっているわけだから。それを嫌いだ嫌いだって言ったって、何か変わりますか? 「じゃあどうやって今の自分を好きになっていくか」っていう思考にならないと、何も変わらない。

――でも、「自分の顔が嫌い」という女性は本当に多いんです。

美しさの伸びしろがあるのに、もったいない!
「ここが嫌い」なんて、そんなところばかり見つけないで、ちゃんと好きなところを見つけてあげてほしい。それを見つけられるだけでメイクはがらりと変わりますから。

TRILL × YUSUKE KAWAKITA

――河北さんご自身は、コンプレックスはないのでしょうか。

実は僕も昔はコンプレックスの塊でしたよ。例えばもう、こんなに顔がでかくて手足が短くて、親からも「なんでお前はこんなに顔がでかいんだ?」って言われて育って(笑)。だからコンプレックスは強くて、隠そうとしていました。

――ルックス以外でも、そして女性に限らず、コンプレックスに縛られている人は多いですよね。それが理由で恋愛や仕事にも臆病になってしまっていたり…。

まわりに全てを包み隠さずさらけ出せとは言いません。でも、そのコンプレックスを自分自身で受け入れてあげることはすごく大切だと思います。自分の嫌なところと向き合うのは苦しいことかもしれないけれど、「これが自分なんだ、これでいいんだ、これがいいんだ」って思えて初めて自由な考え方ができるし、自分のしたいことにも気づけるし、自分に似合う服やメイクにも気づける。少し考えただけでも、すごく魅力的な人間になれそうでしょう?

――河北さんも、コンプレックスを受け入れられたんですね。

いつだったか「それでも堂々と生きていこう!」って思うように意識したんです。そうしたらもう全く気にならなくなって。
「だから僕なんだ」って思えるようになった今は、すごく気分良く生きていますよ。今では自ら過去のコンプレックスをギャグにできてますから(笑)。

TRILL × YUSUKE KAWAKITA

――“自分を愛する”って、自分自身だけで完結することなのに、すごく難しい。

コツは、絶対に人と比べないこと。人と比べるから、自分のここが嫌いとか、ここがああいう風になればいいのにとか考えちゃう。“自分と人を比べるのをやめる”っていうのは、すごく大きな一歩だと思う。

――SNSなどで、他の人の生活や持ち物だったり、環境まで見ることができてしまう。そうするとやっぱり自分のそれと比べてしまうんですよね。

まず、“自分がどうなりたいか”ってことに向き合うときに、人の生活をのぞいて、この生活をしたいっていうのはちょっとずれていることで。自分がどういう生活をしたいのか、どう生きていきたいのか、どんな環境をつくっていきたいのか。それは自分で決めるしかないですよね?
もちろん、人から影響を受けるのも大切なことだけど、それで卑屈になってしまうのであれば、その時点で必要のないもの。

――もっとメイクが上手になりたいならば…。

何度も言うけど、すごく大事だなと思うのが、自分をちゃんと認めてあげるってこと。さらにいうならば、認めた上で、ちゃんと“自制する”こと。自分を愛することと、甘やかすことは根本的に違う。何をしても愛してるよ、何をしてもいいんだよ、っていうのは、自分を大事にできていないですよね。愛しているからこそ、「これはしちゃいけない、自分のためではない」という自制をしてあげるべきだと思う。

――最後に、TRILLユーザーにメッセージをお願いします。

「持っていないもの」だけを見て自信を失わないで。今自分が持っているもの、持てるもので自信を見つけていけばいいんです。
僕は、教科書通りの美人にはならなくていいと思っていて。「じゃあ本当の美人ってどこにあるの?」っていうこと、そして、自分の美しさにまだ気づけていない人が「私の美しさって?」ということを考えてもらうきっかけになれれば嬉しいです。
ぜひ、“最高の私”を見つけてください。必ず見つかりますから。

 

▼前回の記事はこちら
「○○を制すれば美人見え!」【河北メイク】の極意とは?【第1回】

河北裕介プロフィール
『ただの美人にならなくていい。“最高の私”になればいい 読む河北メイク』インフォメーション

Movie Director:Yohei Takahashi(f-me)
Writing:Kaoru Isobe
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)

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