日本はまだまだ男性優位の社会。だからこそ、女性同士が本音で語り、支え合う場が必要だと、「Lean In Tokyo」は提案する。そもそもLean Inとは一歩踏み出すこと、挑戦することを意味していて、「Lean In Tokyo」は女性が「一歩踏み出すきっかけ」を応援する活動をしている。創立者鈴木伶奈さんは、会社員として働きながら、この団体を立ち上げた。そのワケとは?
女性の参加者同士が濃密な関係性を築ける場所を作りたかった
ーー「Lean In Tokyo」の活動目的と立ち上げたきっかけを教えてください。
「日本の女性が、本当にやりたいことをやれる社会を作る!それが目的です。
きっかけは、自分のキャリア志向が婚約を機に一変して、専業主婦になろうと思ったことです。それにしても、なぜこうも180度、考え方が変わってしまったんだろう? と自分をよく振り返ったんですよね。そしたら、理由は2つあることに気がつきました」
ーーその理由とは?
「一つは今の男性主義の社会環境の中で、自分がリーダーになれるイメージができなかったこと。そしてもう一つは世の中の当たり前として、『やっぱり結婚したら家庭に入らないといけないのかな』と感じたからです。大学生までは、そんないわゆる“世の中の当たり前”なんて考えもしなかったんですけど。いざ社会に出て結婚する場面になったら、その女性性を非常に強く突きつけらました」
ーーご自身が意外と女性性や社会の当たり前と言われる価値観に縛られている、と気がついたことが、「Lean In Tokyo」の立ち上げにつながったんですね。
「はい、ちょうどそのころ、FacebookのCOOであるシェリル・サンドバーグが書いた『Lean In』という本を読んだんです。『女性が一人ではなく、お互いが支え合うことで、一歩踏み出す勇気を応援し合う、そして社会を変えていく』というその考えにとても感銘を受けたんです。そもそもLean Inはアメリカに団体としてあり、これこそ今の日本に必要な考え方ではないか、私も参加したいと思ったものの、Lean Inは日本にはなかった。では作ろう! という流れになったんです」
ーーなるほど、女性同士が支え合うコミュニティですね。
「はい、私自身もこれから先、どんなふうにキャリアを積んでいきたいかと考えた時、ロールモデルのような存在の方がいるといいなと思ったんです。そして、それは一人ではないと思うんです。いろんな活躍をしている女性を見て、自分なりの理想像を作っていけばいい。そうしたときに、いろんなロールモデルとなり得る女性と出会える機会を作りたかったんです。単なる楽しいイベントではなく、参加者同士がゆくゆくはサポートし合っていける、そんな濃密な関係性を築ける場所にしたいと思いました」
ーー女性が声を上げる団体を立ち上げるということだけでも十分思いきりがいいと思いました。
「それでも自分の中では立ち上げることについてプレッシャーはありましたよ。『2年間続くかな、5年間続くかな……』って勝手に悩んだりして。『やっぱりやめた方がいいんじゃないか』ともたくさん考えましたけど、でもそんな時に夫が『なんでもいいからやってみなよ』と背中を押してくれました。『2か月で終わったっていいじゃん』と。それで『じゃあやってみようかな』と決めました」
女性が何も言わなければ社会は何も変わらない
ーー鈴木さんは副業というか、普通に企業で働きながら、このLean Inの活動を精力的にされていますが、なぜそこまでやろうと思えるのですか?
「普通に企業で働きながらの活動だったので、昔も今も時間的にとても辛いこともあります。でも、私がやらないでどうする的な使命感が強かったというか。女性って言いたいことをなかなか言えない人が多いと思うんですけど、でも誰も何も言わなければ、きっと何も変わらない。では、自分ができることは何だろうと考えたら、『Lean In Tokyo』を通じて、社会のおかしいなと思うこと、変えたいと思うことを発言することだと思いました。誰かがやるのを待つんじゃなくて、自分がその変革者、まずは行動しないと!と思ったんです(笑)」
小さな目標を毎日達成することが自己肯定感につながる
ーー自分に自信を持つことが大事と鈴木さんは提唱されていますが、なかなか、自分に自信を持てない人も多いと思います。
「どうしたら自信を持てるか、その質問はよく受けますね。私のオススメは『前日に、明日の小さな目標』を作ることです。そして次の日の夜に、その目標が達成できたかどうかを振り返る。達成できたときもできなかったときも、その理由を考えるんです。そして毎日繰り返していく。その小さなステップをこなしていくことで、自信って積み重なっていくと思うんです」
ーー最初から大きな目標に向かうのではなく、小さなことからコツコツと、ですね。
「大きな目標を持つのも大事ですが、それが大きければ大きいほど成功するまでは遠くなりますよね。そうすると『自分は何もできていない』と感じてしまいがち。それよりもまず毎日少しずつでも小さな目標を達成していることを実感して、自信につなげていくことの方がいいと思います」
ーーこれは鈴木さんも実行していらっしゃることですか?
「はい、私も半年ぐらい前に始めましたが、すごく自己肯定感を感じられるように変わってきました。今でこそ講演など人前に立って話す機会も多いですが、元々は自己肯定感がすごく低くて、全然自信を持てないタイプだったんです。私もいろんな体験をしてきて、『心配してたけど、意外と上手くいったな』という成功体験の積み重ねが今の自分に、自信につながっていると思います」
ーー自信を持つこと=自己肯定につながる、と。そうできるだけで、何事に対してもモチベーションが上がるのかもしれませんね。
「そうですね、あともうひとつ大事なことは、自分をサポートしてくれる仲間、コミュニティを見つけることだと思います。特に『Lean In』はメンバーみんなが本当にポジティブなんです。そもそもお互いをサポートし合うと集まっているグループなので肯定し合えるし、応援し合える。周りに背中を押してもらうことで、自分一人では迷ったり、自信がなくてできなかったことも『やってみよう』と一歩を踏み出すことができるんですよね。例えば、やることが100個あったとして、2個ぐらいやってみようかなとかでもいいんです。それが少しずつ積み重なって、ゴールにつながると思っています。大事なのは最初の一歩を踏み出してみることです!」
鈴木伶奈さんの他のインタビュー記事を読む
〉〉【第2回】「Lean In Tokyo」創立者・鈴木伶奈さんに聞く「自分らしさ」と「自信」の作り方
Movie Director:Yohei Takahashi (f-me)
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)