辰砂（しんしゃ）の釉薬がとても美しい灰皿は、島根県の森山窯の古い作品です。呉須（ごす）を使った同作品は何度か見たことがありますが、このような雰囲気のものは珍しいように感じます。いっちんで厚く盛られた白い装飾も、なんとも言えない表情を醸し出していますね。僕は喫煙家ではありませんが、もしそうだったらスウェーデンのスティグ・リンドベリの「ドミノ」に次いで、この灰皿を使ってみたかったなと想像します。

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2023.5.17

1960年代にブルーノ・ムナーリによってデザインされた、イタリアの〈DANESE〉のトレイ。「Maldive」と名付けられたこの製品は、平たいスチール板の4箇所に切り込みを入れ、それを少し重なるように折り畳んだようなデザイン。とてもユニークかつ単純な構造でありながら、鉄なのにどこか温かさを感じさせる、不思議な魅力があります。

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2023.5.10

一見バッグのように見える帆布製のバケツは、昭和を代表するキャンプグッズメーカー〈HOPE〉の水汲み。このような道具は船舶や防災用品としては多く存在していますが、キャンプ用品というカジュアルなものになると、また見え方が変わってくるのです。捻って潰すように畳むと平たくなり、持ち運びにも便利。ちょこんと付いた注ぎ口がなんとも可愛らしく、まったく古さを感じさせないデザインです。

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2023.5.3

民藝世代の先人の作品は、現代より大きめなサイズのものが多く見られます。でも、中にはこのように日常使いに便利なものもあったりするのです。これは倉敷の陶芸家であった武内晴二郎による作品で、料理を取り分けたり副菜を盛ったりするのに最適な小鉢。小さいながらもずっしりとした存在感があり、手の中にちょうどよく収まるので、さまざまなシーンで食卓を彩ってくれます。

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2023.4.26

1970年代にオーストリアの〈Ostovics〉から発売された、ブルーの琺瑯の蓋付き鍋。意外にもデザインはカール・オーボックによるもので、明るいカラーと楽しげな形が目を引きます。日本製品ではあまり見かけないヴィヴィッドな発色のものは、生活に馴染みのある定番の日用品だからこそ、また違うイメージを与えてくれますね。

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2023.4.19

2022年に〈アルテック〉から発売された、カリフォルニアを拠点とするセラミックメーカー〈ヒースセラミックス〉のタイルを纏ったテーブル。両者を知る人にはたまらないコラボレーションですが、数色のタイルにより浮かび出たグラデーションがとても美しく、2社の魅力が見事に融合していると感じます。しっかりとした重量と安定感があり、食器や花器などのデリケートなアイテムを安心して置いておけるのも、使い勝手が良く嬉しいポイントです。

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2023.4.12

黒い釉薬と白い“いっちん”のコントラストがどこかモダンな雰囲気を醸し出す、丹波焼の徳利。丹窓窯（たんそうがま）の市野茂良によるもので、「いろはにほへと」の漢字が一筆書きで描かれているのですが、その美しい筆跡は思わず目と指で追ってしまうほど。大ぶりでどっしりとしたサイズのため、花器としても活用できます。少し大きめの枝物を入れてもきっと映えるはずです。

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2023.3.29

なめらかな白い“いっちん”が施された、島根県松江市の湯町窯の小皿。古い焼き物ならではの色合いと、朗らかな雰囲気が魅力の一品です。湯町窯に限らず、益子の濱田窯にも饅頭皿と呼ばれる小ぶりな器がありますが、このような小皿はいくつあっても重宝するもの。収納しておいてもかさばらず、調味料や漬物、豆菓子など何を入れても使える万能選手のような日用品です。

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2023.3.15

さまざまな絣や綿生地を継ぎ接ぎして作られた、日本の古い巾着。なんとも言えない温かみがあり、このような袋に入れられたお弁当はさぞかし美味しかったに違いありません。このような手の込んだ巾着は、現代ではあまり見かけないような気がします。この弁当袋のように、昔ながらの日用品もずっと大切にしたいものですね。

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2023.3.1

優雅な気分にひたれる、MOKICHIKAMAKURAの店内。鎌倉には常に新しいお店が続々とオープンしているが、その中でも今、話題の的となっているお店が２軒ある。どちらも古い建造物をリノベーションした空...

madame FIGARO.jp

2023.2.21

インパクトのある見た目をした円錐型のポットは、〈象印〉の古い製品。おそらく1980〜1990年代の製品で、とにかくポップなデザインが目を引きます。商品に貼られたステッカーに「Milano Design」と書かれているとおり、ポストモダンを彷彿とさせる雰囲気。もしかすると、イタリアのデザイナーに外注をして作られたものなのかもしれません。使い勝手はさておき、こんな日用品を身近に置いておくのも楽しいものです。

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2023.2.15

以前にも紹介したことのある陶芸家、キム・ホノさんの花器。ある展覧会で一目惚れして持ち帰ったものです。唐津や信楽でもなく李朝でもなく、どこにも属さないなんとも不思議な佇まいの器は、掻き落としによる色分けがされています。それは遠くから見ると凛としていて、近くで見るとどこかカジュアル。眺めていると、まるでキムさんに魔法をかけられたかのような感覚になります。

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2023.1.25

海からほど近い鎌倉の長谷に、1月15日（日）、衣・食・住・遊・働、さまざまなジャンルの探求者が集まる複合施設「WITH Kamakura」（ウィズ カマクラ）がオープン。岐阜県白川郷から移築された合掌造りの古⺠家をかつての趣を残しながらよりユーザビリティーの高いデザインにリノベーションした。

VOGUE

2023.1.12

小ぶりなサイズが可愛らしい陶器の蓋物は、益子焼のもの。濱田庄司の作品をはじめとする、柿釉が特徴的な益子焼は、僕に陶芸への興味を抱かせてくれた原点のような存在です。さらに、このような四角い蓋物には「箱」としての魅力も感じます。少し歪な形や釉薬の垂れ方にも人の手を感じることができ、見かけると思わず手に取ってしまうのです。

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2023.1.11

「たたら製鉄」の名所として知られる島根県の安来（やすぎ）市の鉄製品が、ここ数年とても気になっています。これは河井寛次郎のキセルを製作していた金工、金田勝造による餅焼き。炭やストーブの上に置き、熱して使うシンプルな日用品です。美しく抜かれた透かしや持ち手の装飾にも、とても惹かれます。こんな道具を使って人々が餅を焼いている光景を想像するだけで、なんだか心温まるのです。

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2023.1.4

九州地方で多く見られる藍胎（らんたい）漆器の手紙入れ。藍胎漆器とは、竹を編んだ素材を芯とする漆器のことで、編み方によって漆の濃淡を繊細に表現できるところが特徴です。この手紙入れのように紋様を入れたり、さまざまな柄を作り出すことができるのです。また、漆器でありながら耐久性に優れていて、日常的に気兼ねなく使えるところも頼もしいですね。

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2022.12.28

とあるオークションで手に入れたアメリカ製のペン立ては、好き嫌いが分かれそうな、なんともユニークなデザイン。頭部には、スリープアイとピンで形どった鼻と口が付けられています。コルク製の頭部は首の部分で回転可能で、小さなメモなどをピンで留めておけるので、実はとても機能的。デコレーション要素の少ないデスク周りに置けば、圧倒的な存在感を放ってくれる一品です。

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2022.12.21

ジャムポットのように見える蓋付きの壺は、実は灰落とし（灰皿）。倉敷に釜を構えていた陶芸家・武内晴二郎によるものです。このような形になった経緯にはどうやらタバコ税が関係しているようで、砂糖壺として販売することで課税から逃れていた歴史があるのだとか。押紋の装飾も美しく、手に収まりやすい丸い形も魅力。蓋をしておくことでタバコの臭いを飛ばさない点も機能的です。

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2022.12.14