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身体ナビゲーションVol.37 「幸せホルモンと呼ばれる“セロトニン”」

  • 2015.2.6
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こんにちは。健康管理士のSAYURIです。

今回はこれまでもさまざまな記事で取り上げてきた“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンについて医学的に解説したいと思います。

「理由がないのにイライラする」「なんとなく気分が落ち込む」そんなときは脳内のセロトニンが減っている可能性があります。

●幸せホルモン“セロトニン”

人間の感情の基本は“快”と“不快”の2つですが、それには脳内における“快”のドーパミン、“不快”のノルアドレナリンが影響を及ぼしています。

ドーパミンは脳幹にある腹側被蓋野(ふくそくひがいや)にあるドーパミン神経から分泌され、やる気や行動力の源となるホルモンです。一方のノルアドレナリンは脳幹の青斑核(せいはんかく)で分泌され、交感神経を働かせて体を覚醒させるホルモンです。

ドーパミンとノルアドレナリンはいずれも適度な分泌量であれば意欲や快感をもたらし、危険から身を守ってくれます。しかしドーパミンが過剰に分泌されると、満足できないストレスがたまって欲求が抑えられず、飲酒や買い物、ギャンブルが止められなくなるほどの依存症になったり、ノルアドレナリンが過剰に分泌されると、怒りやすくなったりします。

このようなドーパミンとノルアドレナリンの暴走を抑えて調整しているのが脳幹の真ん中あたりに位置する縫線核にあるセロトニン神経から分泌されるセロトニンです。セロトニンはきちんと分泌されていると、落ち着きや心地よさ、満足感などを感じることができます。またセロトニンはセロトニン神経以外にも、小腸の粘膜にあるクロム親和細胞内からも分泌されています。

●セロトニンと睡眠

自律神経の交感神経は起きているとき、副交感神経は寝ているときに優位に働きます。夜眠っている間の意識はなく、朝、起きると覚醒するのはセロトニンが副交感神経から交感神経への切り替えをスムーズに行うように働きかけているからです。

セロトニン神経は、朝、太陽光を浴びることで活性化され、脳の表面を覆っている神経細胞が集まった大脳皮質に作用しています。大脳皮質は膨大な情報を蓄積したり処理したりする機能を持っています。他にもセロトニンは血圧や消化、体温、痛みの軽減など多くの身体機能もコントロールしています。

セロトニンはメラトニンという“睡眠ホルモン”の原料にもなります。メラトニンは脳の松果体(しょうかたい)から分泌され、私たちの体にある体内時計に働きかけることで覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りをもたらす働きがあります。

体内時計は意識しなくても日中は活動状態に。夜間は休息状態に切り替わる働きをし、1日25時間が基準になっています。しかし地球の自転は24時間なので体内時計との1時間の時差をリセットする必要があります。

私たちは朝に太陽光を浴びるとセロトニン神経が活性化され、同時に体内時計の針が進み時差がリセットされメラトニンの分泌が止まります。そして目覚めてから15~16時間後にまたセロトニンをもとに合成が始まり、その後数時間で分泌のピークを迎えます。

その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになるのです。赤ちゃんや子どもが眠くなると手足が熱くなるのは深部体温を体外に放出して下げるために表部の体温が一時的にあがるといわれています。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

(ライタープロフィール)

SAYURI(心理食育インストラクター)/長年の医療機器メーカー勤務の経験から健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーの資格を取得し、健康管理士事務所『優縁』を設立。現在、食で愛を育む食愛ナビゲーターとして、食育の講演や執筆活動を中心に、NPO法人『予防医療推進協会』理事長として、成人向けの生活習慣改善のさまざまな提案を発信中。

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