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初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家― 【箱根・岡田美術館】

  • 2018.6.9
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初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家― 【箱根・岡田美術館】

 

 

田中一村(たなか いっそん)という日本画家をご存知でしょうか?奄美大島を心から愛し、「昭和の若冲」と称賛される画家です。現在、日本・東洋美術を豊富に取り扱う、箱根の岡田美術館で、2018年9月24日までの期間、田中一村の特別展『初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家―』が開催されています。一村にまつわる関連作品が一堂に会した、見応えたっぷりの本展。その魅力をお届けします。

 

 

 

 田中一村ってどんな画家?

 

 

 

田中一村という名前自体が初耳、という方もいるかも知れません。それもそのはず、一村は、近年、評価が高まっている画家です。一村は1908年生まれ。中国画や琳派などから深い影響を受けました。南国の風物に魅せられ、50歳のときに移住を決意し、1977年で生涯を終えるまで奄美で過ごしました。奄美に移ってからの一村のモチーフは、亜熱帯ならではの鮮烈な色を持つ魚や、鳥、たおやかな草木でした。一村は大変な完璧主義であり、制作期間に多大な時間を費やし、満足がいく作品しか残しませんでした。よって、現存する奄美時代の作品数は、約30点ほどしかありません。

 

 

 

 一村と若冲は沢山の共通項を持つ、時代を超えた好敵手

 

 

 

田中一村「花菖蒲」岡田美術館蔵 ©2018 Hiroshi Niiyama

 

 

 

近年、江戸中期の画家・伊藤若冲(1716~1800)が大きなブームとなっていますが、一村と若冲の類似点にいち早く着目したのが、岡田美術館の館長・小林忠氏です。若冲の作品は、鳥や自然といったモチーフを好み、写実的で緻密な筆致が特徴です。圧倒的な画力を誇る一村も然り、ひいては、絵画だけに身を捧げ、生涯独身だったことも共通しています。本展では若冲の作品も展示されており、彼らの絵を見比べることが可能です。その他にも、一村が影響を受けた琳派の絵画や仏画、さらに花鳥つながりということで、同じく花鳥をモチーフにした屏風や陶磁器、工芸品などが網羅されています。東京美術学校の同級生であった東山魁夷の作品も見逃せません。

 

 

 

長沢蘆雪「牡丹孔雀図」(部分) 江戸時代 岡田美術館蔵

 

 

 

一村ワールドを一気に体感できる稀有なチャンス

 

 

 

田中一村「白花と赤翡翠」昭和 42 年(1967)岡田美術館蔵 ©2018 Hiroshi Niiyama

 

 

 

「白花と赤翡翠」「熱帯魚三種」といった一村の代表作から、傑作「アダンの海辺」まで公開。(「アダンの海辺」の展示は、8/24~9/24になります)ギャラリートークも頻繁に開催されているので、事前にHPでチェックしておいてはいかがでしょうか。

 

 岡田美術館自体が、一村が終の棲家に選んだ奄美に似た、緑豊かな場所です。『初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家―』を鑑賞したあとは、足湯カフェや広々とした庭園へ足を伸ばすのがオススメ。週末には、是非、岡田美術館へ足を運んでみて下さいね。

 

 

 

【開催概要】
展覧会名:初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家―
会期:開催中~2018年9月24日(月・祝)
休館日:会期中休館日なし
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷 493-1
開館時間:9:00~17:00(入館は 16:30 まで)
入館料:一般・大学生 2,800円 小中高生 1,800円
庭園入園料:300円
公式HP:http://www.okada-museum.com/

 

 

 

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138年の時を経た”歴史的再会”を見逃すな!―歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」

 

 

 

【若冲が登場する他の記事はこちら】
『生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村』展@サントリー美術館

 

 

 

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田中一村「熱帯魚三種」昭和 48 年(1973)岡田美術館蔵 ©2018 Hiroshi Niiyama

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