日本を舞台に犬と少年の絆を描く。ウェス・アンダーソンの野心作『犬ヶ島』【今月のプロ押し映画！】

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第87回アカデミー賞で４部門を受賞した『グランド・ブタペスト・ホテル』（14年）で独特の世界観で熱狂的なファンを獲得しているウェス・アンダーソンの最新作『犬ヶ島』。『ファンタスティックMr.FOX』（09年）以来の、ミニチュアのパペットを動かしてコマ撮りするストップモーション・アニメ２作目となる。

舞台は未来の架空の日本の都市。犬インフルエンザの蔓延により、ごみの島に隔離された犬たち。親友の愛犬スポッツを探しにひとりゴミの島に降り立った12歳の少年アタリは、出会った犬たちと共に旅をしながら、愛犬を探し、さらには犬たちの権利を主張し人間と対立する……という冒険活劇だ。

黒澤明監督や宮崎駿監督など日本映画ファンを公言するウェスは、歌舞伎から相撲、浮世絵など日本の文化を盛り込み、レトロフューチャー的な日本を作り上げた。『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞したアレクサンドル・デスプラが、和太鼓を取り入れて作り上げた音楽も秀逸。犬たちは英語を話し、人間たちは日本語を話すという構成などあちらこちらに“冒険”が見受けられる野心作だ。

ダイバーシティへの目配りの効いた練れた脚本だが、少年と犬との冒険譚というメインストーリーは、大人だけでなく子供も十分に楽しめるはず。
『犬ヶ島』
公開中
配給／20世紀FOX映画
http://www.foxmovies-jp.com/inugashima

参照元：VOGUE JAPAN