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【女子のばんそうこう】男たちも、そろそろ逃げていいと思う。

  • 2018.5.31

日大アメフト部の次々に火に油を注いでゆく会見を見て、色んなことをぼんやり考えた。

勇気を出して正直な会見を開いた日大の若い選手に同情が集まり、監督や司会者や学長の、この期に及んでなお事の重大さを受け止めてない態度に批判が集まっていて、こうやって旧弊な組織にありがちな膿がどんどん出せるようになればいいなと思った。

(同時に「これが若い女ならここまで全面的には同情してもらえないだろうな…」と思ってモヤモヤもした。芸能人にわいせつ行為をされたあの女子高生のケースみたいに。今回の登場人物はすべて男性だけど、このどこかに女性が入っていたらもっと複雑で見当違いの批判とかも飛んできただろうな…と)

今回いちばん感じたのは、「これまで下駄をはかせてもらって己のやり方を押し通してきたおっさんが、変わりゆく世の中で古い価値観から一切アップデートできていない恐ろしさ」と「男たちの組織や絆の中で逃げ場のないつらさを感じている男も確かにいるということ」だ。

今回の件はパワハラだから性別関係ないけど、いかにもホモソーシャル(男性同士の強い連帯感や絆のこと)な組織の中で起こりがちなことだと思う。

女性たちの「NO!」の声は、横やりを受けながらも、遅々としながらも、少しずつ大きくなっている。でも男が男だらけの組織の中でNOと言うのは、きっとまだまだ難しい。というより男性自身がまだ「これは違う」「こんなのは嫌だ」と自覚しづらい段階なのかもしれない。

以前ここで『「男の中の女」が無意識に受ける傷』というコラムを書いた。

ホモソーシャルな輪の中に溶け込もうとした時に望ましい言動や立ち振る舞いは、女である私に無意識の傷をつけていたけど、じゃあ男であれば誰もが気楽に振る舞えてるかというと、きっとそうじゃない。けなし合いや下ネタや女の話をあけすけに語るのが嫌いな男性もいるし、そもそも「男同士の絆」という空気自体が苦手な男性もいるだろう。

だけど「俺そういうの嫌なんで」とするりとかわしてひとりになれる男性はきっとまだ少数だ。仲間内ならまだしも、組織の中だとなかなか逃げられない。正義の顔をした暴力的な支配に従いつつ苦痛を抱えている人もいる。または違和感を感じながらも「こういうものなんだ」と受け入れてしまってる人もいるだろう。組織の中で個人的感情で逆方向に動くことなど考えちゃいけないんだ…と己を押さえつけて。

今回の日大の選手の会見をみて、そんなことを思ってた。

女性が「男を陰で支えて優しく微笑むポジション」から降りようとしてるんだから、男性もおしなべて強く頼もしくあることもない。

メカに強くなくていいし腕っぷしが弱くてもいい。常に女を守る役でなくていいし一家の大黒柱にならなくてもいいし妻より収入が多くなくていい。男同士の中で男っぽく振る舞う必要もない。童貞捨てなくてもいいし彼女つくらなくてもいいし奥さんもらわなくてもいい。

「女をナメんなよ、女はナメられんなよ」と私はよく言うけど、同時に「男も弱くたっていいよ」と心の中でつぶやいてる。20代の頃は「は?奢らない男とか何なの?」とか思ってたけどもうそういう時代でもねえな、と思う。

男子よ。無理をしてるなら、つらくて仕方ないなら、違和感があるなら、その「男子たるもの」の呪いから全力で逃げていいと思うんだ。俺はそういうタイプじゃないしアンタの「男」概念に俺はまるきり同調できないと、身体をかわしていい。「草食男子か」とか「頼りない」とか言われてもほっといたらいい。自分が自分らしくいて、そして自分が大切に思う人をちゃんと大切にできればそれでいい。

男が男らしく、女が女らしくいた(というか強いられてた)時代の思い出は確かに時に美しい。だけどそれが古びて時代のかたちに合わなくなったなら、男も女もそれを無理して支える必要なんかないんだよ。えらそうな顔をして古い美徳を語る人は今の時代の私たちを守ってなんかくれないんだから。

というわけで、男子が男っぽくなかったとしても、女子のみなさんは「男のくせにー!!」とか言わずに、「ま、私だって女っぽくないんだからそういう人もいるよな」とか思いつつ(笑)お互いの強みと弱みをうまく理解し合って生きていきましょうぜ。

Written by こんどうあゆみ

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