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クリムトの世界に体ごと浸るアトリエ・デ・リュミエール。

  • 2018.4.19

1,500平米のスペースの壁と床をグスタフ・クリムトの絵画が埋め尽くし、拡大され、移動し……会場内の人々は言葉を失い、映像を追いかけてひたすら空間をうろつく。4月13日に開館したアトリエ・デ・リュミエールのオープニング展で、今起きていることだ。

大ホールでの35分のプロジェクション「クリムト」は6部構成。ワーグナーの「タンホイザー」にのせ、「ウィーンのネオクラシック」から厳かにスタートだ。

モチーフが拡大された中、クリムトも登場! 会場内でみられるプロジェクションには、3,000点以上のイメージを使用している。

ここはパリ初のデジタル・アート・センター。世紀末から20世紀初頭のウィーン分離派を代表する画家クリムト、そして同時代のエゴン・シーレの作品から創作された35分のプロジェクション『グスタフ・クリムト』、そして分離派に影響をうけた20世紀の作家の作品の7〜8分のプロジェクション『フンデルトヴァッサー、ウィーン分離派を訪ねて』が開館時間中、繰り返し行われている。いったん会場に入ったら、気の赴くまま何度でも鑑賞できるというのがありがたい。いずれも映像に合わせて選ばれた音楽が添えられ、作品の雰囲気を盛り上げる。クリムトにはワーグナー、ベートーベン、ショパン……。アートを体感するとは、このことか!という、驚きのパリ新名所といっていいだろう。

第3部は「クリムトとゴールド」だ。ベートーベン、ショパンに混じり、フィリップ・グラスの音楽も。

第4部の「クリムトと自然」に次ぐ第5部は「エゴン・シーレ」。

締めくくりの第6部は「クリムトと女性」! クリムトの作品に登場する妖しく官能的な彼女たちと、散りばめられたモチーフが拡大されて壁いっぱいに映写される様は、とにかく圧巻。

天井は10メートルあり、床と壁の合計3,300平米の表面積にプロジェクションが行われているそうだ。会場内部はただの四角い箱ではなく柱や壁があるので、それによって視覚的な遊びがプラスされている。会場全体を上階から見下ろす体験も、ぜひ。

上階でもプロジェクションの間を歩ける作りとなっている。

小さな鏡の間では、ホール内とはひと味異なるプロジェクションを楽しめる。また床の下の水の流れの中にプロジェクションが揺らめいて見える場所もある。

『フンデルヴァッサー』。床の映像がハイスピードで流れると、壁の映像が移動しているような錯覚がおきる。

会場の奥には、ひっそりと隠されたカフェ・バーが。ここの壁では21世紀のデジタル・アート、『Poetic_Ai』のプロジェクションが見られる。なおアトリエ・デ・リュミエールの入り口にはブティックが設けられ、クリムト・グッズを多数販売中だ。

『Poetic_Ai』はカフェ・バーにて。

ブティック。クリムトの作品集やオブジェなど……。photos:Mariko OMURA

「Gustav Klimt」展
会期:開催中〜2018年11月11日
会場:Atelier des Lumieres
38, rue Saint-Maur
75011 Paris
開)10:00〜18:00(金土〜22:00)
料金:14.50ユーロ
www.atelier-lumieres.com

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