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後悔したっていい!猫が教えてくれた「前を向いて生きる」ということ

  • 2018.4.1

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。木工作家のサノアイさんものその一人。サノさんが発起人となり15名の著者で編んだエッセイ集『ちいさないきものと日々のこと』について聞きました。

いきものと暮らす15人のさもない毎日

ごはんを食べた後になぜか毎回抱っこをせがむ甘えん坊のキジ猫・ペコ(オス・15歳)。ペコへの愛情表現を片時も惜しまない元野良のジトミ(メス・推定8歳)。二匹の飼い主は木工作家のサノアイさんです。

サノさんは今年(2018年)の2月、自身がオーナーを務める「ショップ&ギャラリーもりのこと」で、【『君と暮らせば』〜ちいさないきものと日々のこと〜】というグループ展を開催しました。
猫をはじめ犬やカメと暮らす友人や知人に声を掛け、発起人であるサノさんを含めた15名の著者が、それぞれのいきものとの暮らしを綴ったエッセイ。その出版を記念した展示会でした。

本のテーマとなったのは、サノさんの友人であり編集者・ライターとして活躍する渡辺尚子さんが、飼っていた愛犬を亡くしてしばらくしてからSNSにつぶやいた言葉でした。サノさんが本を作るきっかけになった言葉でもあります。

「本当にそうだなって。渡辺さんの言葉がストンと腑に落ちたと同時に、私の心に抱えていた後悔や不安がそっと溶けたような気がしました。20年前、初めて飼った猫で、ガンで亡くしたロボへの『あれもしてあげたかった。これもしてあげたかった』という後悔。あと数年でやってくるであろうペコとジトミとの別れ。
わが家のことばかりではなく、SNSで知る、誰かに大切に飼われていた動物たちの死に対してもそうです。死は苦しいし悲しいけど、でも、それだけじゃないよと教えられた気がしました」

同居する「かわいい」と「せつない」

「動物を飼うって、同時に終わりを引き受けるってことなんです。いつもかわいいとせつないが同居している。渡辺さんの言葉をきっかけに、失うことを含めて動物を飼うということを、みんなはどう感じているのかな?と知りたくなりました。
そこで、普段は口にしないような思いを文章にしてもらえたらと友人や知人に声を掛け、渡辺尚子さんに編集を、装丁に信陽堂編集室の丹治史彦さんを、装画に片桐水面さんを迎えて、初めて本を作りました」

『ちいさないきものと日々のこと』は、主にサノさんの「ショップ&ギャラリーもりのこと」で購入できます。発起人であり著者であり、一番の読者でもあるサノさんは、大切に作られたこの本を読んで改めて言います。

「今ここにいる私は、ロボと過ごした時間が楽しかったから猫が好きになった私で、ロボがいたからペコとジトミと出会えた。ロボはもういないけど、ロボがいたから感じたたくさんのしあわせや、ロボに教えてもらったから大切にしたいと思えるいきものとの向き合い方は、ちゃんと今の私に含まれているなって。ペコもジトミもいつかいなくなってしまうけど、未来の私は、ロボもペコもジトミも含んだ私。
過去・今・未来は点じゃなくて、しっかりと線でつながっているから、後悔や悲しみや不安だけにとらわれて視野を狭くしないで大丈夫だよって、自分にも人にも言ってあげたいなと思います」

今が過去を含み、未来に含まれる

動物を飼っている人に限ったことではない。今が過去を含み、そんな今も未来に含まれていく。あの時こうしていれば…という後悔の上に立っている今だから、できていることが必ずある。サノさんの話に「だからね、大丈夫だよ」と頭をなでてもらったような気がしました。

ロボ、ペコ、ジトミ。そして、日当たりのいいサノさんの家のベランダに集まりまどろむ野良猫たちにも。たくさんの教えをありがとう。

writer / 宇佐見明日香 筒井聖子

取材協力

ショップ&ギャラリー もりのこと
http://www.sano3.net/3/mori/

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